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勝手に1日1推し 157日目 「べんりなふたり」
「べんりなふたり」あやき 漫画
緑豊かな山間部で移動スーパーを営む柏森悠馬(かやもり・ゆうま)、24歳。
ある日の仕事終わり、馴染みの店に顔を出すと小学生の頃に突然姿を消した親友・陸斗と最悪な再会をする。ひょんな依頼をきっかけに、町の住人から様々なことを頼まれるようになるふたり。お悩みな女子高生に父親の浮気調査を頼まれたり未確認な飛行物体を発見したり……。
いいなあ、って思います。あやき先生の作品って、登場人物たちが生きてるんだよな、ほんとに。人となりに筋が通ってると言うか、何と言うか。出てくる人たちが本当に愛おしいのよ。何がどうってことはなくて(褒めています)、人として近くにいるって思える人たちなんだよなぁ。
この度、初連載、単行本ですと!!!わーい。
地元で移動スーパー、にこにこスーパーを営む栢森なんですが、そんな田舎町に成人した若者は少なくて、みんなから頼りにされまくっているわけです。スーパーとして以外にも便利屋的に何でもかんでも頼まれちゃうし、何でもかんでも受けちゃうの。電球の替えから浮気調査まで・・・。
そこにかつての同級生陸斗が現れ、ふたりで町を巡ることになるんですが、陸斗からしたら、何でそんなこと?って言うような依頼や珍事件が起きるわけです。くすっと笑えて、ほんわ~か♪♪します。人好きのする栢森とかわいげのない陸斗。正反対なふたりがトラックで山を行く・・・と言うこじんまりとしたストーリーです。
でもでもいわゆるバディものとは言い切れないんだな、これが。読まないと良さが分からないんよ。言葉じゃ伝えきれない!本当にいいんだから、嘘じゃないんだから!!
独特でクセになるんですよ、作画もプロットも。味がありまくりです!ほんと、好き。めちゃくちゃ好きです!壮大なロマンやファンタジーもいいけれど、ご近所の日常を掬い上げて描いている親近感がたまりません。人の営みや社会との関わりがあっけらかんと自然に、多少の歪みが交じっていたとしても、あくまでニュートラルに描かれている温かさが心地良いんです。
そんなにこにこスーパーのお仕事ハプニングと並行して、栢森と陸斗の関係性が描かれているところにもドラマがあって、そのバランスがGoodです。
元々、あやき先生の少年、青年期の描き方が本当に素晴らしいなって思っていました。pixivで先生の他の作品も読めるんですが、幼少期~思春期、青年期の、謎の思考から派生する突拍子のない行動や未分類の感情から来るであろう抑えがたい初期衝動、痛い自己探求などなどを抱える若者たちを肯定的というか当たり前的に描いているのが、めちゃくちゃいいんですよ!!
きっと自分もそうだったはずだけれど、忘れてしまっていて、でも知ってるって言う、そんな感情や思考回路を持つ少年&若者が生き生きとしていて、胸がぎゅっとなるんです。
先生、子供の生態を知り過ぎている!!どうして?!ってなっちゃいます。
本作でもそんな少年期の、小学生時代の栢森と陸斗が描かれていますが、そのとりとめのない日常から、ふたりの家庭環境や人格形成が伺い知れて、どのようにして大人になったのかが容易に想像できるんですよね。きっとこの時代のエピソードもどんどん掘り下げられるんだろうなと思うと次巻も楽しみでなりません!
描きおろしの少年期にも歓喜です!ザリガニって臭いよね・・・可愛い~。
ほっと一息、喫茶店で珈琲でも頂きながらのリラックスのお供にご一読、オススメです。
ということで、推します。