
勝手に1日1推し 237日目 「音を視る 時を聴く 坂本龍一」
「音を視る 時を聴く 坂本龍一」東京都現代美術館 芸術
こんなにも年齢、性別、国籍、障害の有無関係なく、たくさんの方々が集っている展覧会会場、なくない?ってなりました。いいなあって思いました。どれだけ坂本龍一さんが多くの人たちに愛されていたかを思って、いいなあって思いました。
本展は生前ご本人が構想していたものを軸に構成されているそうです。ますます素晴らしいですね。
さて、坂本龍一さんと言えばやっぱり音楽ですよね。YMOからの映画音楽ってイメージが強く、正直最近の動向までは追っていませんでした。インストというか、ピアノ曲が多い印象です。
かなり前から様々なアーティストとコラボレーションして作品を発表されていたなんて、今回初めて知りました。
そして、改めて彼の紡ぐ旋律と物語との親和性の高さに驚きました。行間のある旋律からは、様々なイメージ、感覚、感情が溢れ、映像から得る視覚情報を補って自分だけの物語を完成させてくれます。素敵だなあって思いました。
坂本龍一=映画音楽は、必然というか相思相愛で一心同体な気がしました。作品を補う可視化出来ない何かを確実に担っている!「戦メリ」、ほんと凄いよ・・・。坂本×ボウイも絵面も耽美よの。「トニー滝谷」も好き。
アーティストや作家に果てしないインスピレーションを与える調べを奏で続けている存在だったんですよね~。
しょっぱなから田中泯さんが現れて、解像度が高すぎて震えました。表現とはなんぞや?が渋滞してましたね~。
東日本大震災の津波で被災したピアノの展示からは、近年の人と自然との共生を訴えた坂本さんに思いを馳せました。2017年発表の当初の展示方法とは異なり、音楽を奏でる楽器しとしてのピアノを「モノ」として、地球の営み(地震)との鳴動を感知する装置として、ピアノのみ、ぽつんと展示されておりました。雪舞う空の映像と水面に浮かぶピアノ。なんだか、海の中のようでもあり、美しい旋律と相まって、創生の時、終末の時をも感じてしまいました。
で、知らんがなかもしれませんが、聞いて。本展の私的ベストは坂本龍一×Zakkubalanの「async-volume」でした!
坂本さんが過ごしたリビングやスタジオの映像を環境音と楽曲をミックスした音と共にiPhoneやiPadで映し出して展示した作品で、とってもすっごく好きでした。
坂本さんの過ごした時間、坂本さんの大切な場所、坂本さんが聞いた音、坂本さんが見た景色・・・坂本さんを取り巻く嘘のない真実を映し出しているけれど、坂本さん本人を捉えている訳ではなくて、でもそれが余計に坂本さんという人間の輪郭を浮かび上がらせているなって思って、これって坂本さんの作る楽曲に通じているなって思いました。本質を捉えるために輪郭を捉えているっていうか、想像の余地を与える感じが似ていると思ったし、それぞれのメディアに近づかないとそれぞれの音が分からないっていうところも、とてもパーソナルで、個人の感性の自由が尊重されている感じがして、その包容力が「っぽいな~」って思ってとても好きでした!

アーカイブ特別展示も良かったです!直筆のメモがメロい。「物語を生きろ!」ってメロい!で、キャプションにも書いてありましたが、オペラ「Life」の京都会議、未刊行資料は必見!!!クラフトワークやら村上龍やらを参考に史実をアバンギャルドに!!かっこよ。
いっぱいいっぱい良かったですが、坂本龍一×岩井俊雄の「センシング・ストリームズ 2024ー不可視、不可聴〈MOT version〉」はラストを飾るにふさわしいファン垂涎の作品でした。ひゃー、めーっちゃ良かった!坂本龍一リサイタルやん。Yabai!!!
私は3周しました~。1回目は混雑の中立ち見鑑賞、2回目は何とか席を確保して着席鑑賞、3回目は全体が見渡せる位置をゲットして鑑賞。
初演は1996年ですって!その先見の明は明らかですね。てか、テクノやってりゃそうか、とも思うけれども、それにしても色々早いんじゃない?すでにチームラボやん(?)。
今回、本展用に岩井さんのアーカイブデータから発掘された97年当時の実際に坂本さんが演奏したMIDIデータとそれを撮影した映像とをプログラミングし直してピアノと共にインスタレーションの形で蘇らせたんですって。すごくない?最高の空間&体験でした!

音楽においても、アート作品においても、生き方においても、全てにおいて、削ぎ落されていったんだなっていった印象を受けました。
自分の輪郭を際立たせるに大切なものって、きっととっても少ないんだろうなあ。
人に必要な物事って結局シンプルなんだろうし、同時に人に必要な思考もシンプルが一番なんだろうなって思いました。誰もが辿る人生の普遍性を思わずにはいられません。
まあ、とは言っても若い時は違ってたよね!芸大時代の写真とか見ると、常田大希さんみたいだもんね、KingGnuの。かっこよ!みんなそうさ、ロックスターは悪そうでかっこ良いのさ。
あとね、注意事項。全体的に暗いので、目の悪い方はお足元にお気を付けくださいませ。数回コケやしたわい。
やっぱりお耳が幸せなんで、暗闇、人混みをもろともせず目を閉じてライブ感覚で楽しむ楽しみ方も別途推奨致します。故に1人で行かれることを推奨します(個人的見解です)。没入感半端ない。
それから、お天気の日ね。これ重要。屋外展示もありまするので、、、
で、激混みでありんした~。でもその混雑さえも楽しめました~。インスタレーション作品なので作品自体が大きいし、待っていれば良ポジいけます!フッと空く瞬間があるのもオモロいです。時間に余裕をもってお出かけください。
坂本龍馬、坂本九、坂本ですが?、SAKAMOTO DAYS、坂元裕二、さかもと姓って熱い。
現美、まっこといい展覧会を企画しますなあ。
ということで、推します。
すみません、認識不足でした!!なんか、メールが来てました!今後、土休日は入場規制が入るそうです。ご注意ください。大人気~。