七森はなにものかの続き。

続かなくていいと思ったが、長いから分けることにした。

さて。紆余曲折を経て(経てない)いよいよをもって占い師ラブ氏の登場となる。

事前の解説では、ラブ氏はにこやかで〜と書いてあった。インドの方だし、陽気な人なんだろうかなどと思っていたのだが、どうしたことか、わたしの目にはなんだか気難しそうなラブ氏の姿が。聞いてないよ〜とあの3人の声がこだまする。わたしがなにかとてつもなく大きな業でも背負っていて、苦難の道しか見えないからこういう表情になるのではないだろうかと内心ビビったのだが、恐らくは真剣にわたしの今後を見てくれていたのだろう。ラブ氏よ、上辺の愛想のよさなんかいらない。わたしに生きる活力をくれ。そう思いながら必死に通訳の方が日本語にしてくれた占いの結果をメモする。

かなり突然だが、わたしはここ最近、自分が何者にもなれていないという考えに取り憑かれている。若い頃には遊ぶお金があれば良かった。だがしかし、今は…?そんな悩みがあったからこそ、異国の占い師にアドバイスを求めたように思う。

その占いの中で、ラブ氏がわたしに合っている仕事や、得意なことを教えてくれる場面があった。そこで言われたのが「あなたは書くことをしなさい、なんでもいいから」という言葉であった。ハッとした。偶然にもわたしは、なにかを書きたいと思っていたのだ。それは人に見せたい、お金を儲けたいとかいう欲を満たすためではなく、書くことで自分の心の中を整理したいという感覚に近い気がする。この占いをしてもらう前日は、日記帳を探し求めて最寄りの駅構内にある文具屋をうろついたのだ。(残念なお知らせだが、気に入るものは無かった)

そう、七森はインド人占い師のラブ氏に言われたことを真に受けて今、ここにいるのだ。

あとの占いの結果は割愛するが、ラブ氏と通訳の方と七森の三者面談は予定時刻の30分を5分早めに終わることになった。事前に聞きたいことをメモにしておくように言われたのだが、その多くは占いの内容に含まれていることばかりであった。要はネタ切れになったのである。もしまた占いをしてもらう機会があるのなら時間いっぱい質問しようと思う。

ちなみにインドでは占いの結果をとても重要視しているそうだ。人生のターニングポイントでは占いをするらしい。知らなかった。私の生きている世界はあまりに狭く、ああいつかまたコロナが終わったら旅に出たい、もっと世界を見たいなぁと思った。わたしの詐欺写真のパスポートが、引き出しの中で今か今かと出番を待っている。

そんな七森は今、なにものかになるために、書き続けようと思っている。


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