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6月病の処方箋


毎年、5月が終わると、6月病がくる。

世間では「5月病」の方が主流かもしれない

けれど、わたしは毎年5月ではなく、

6月になると途端に心と身体に不調が出始める。


学生の頃は、なんだか気分が乗らないな〜と

思えば授業を切って図書館にこもったり、

恋人や友人たちと遊びに行ったり、

好きな方法で気持ちを回復させることができた。

けれど、働いている今は、そうもいかない。

毎日、やらなきゃいけないことは山積みで、

どんなに働きたくなくても、仕事は待っている。

そんな「大人」になったことに気づいてから、

わたしはどうにか6月病を乗り切る方法を、

いろいろと考えてみた。


これがわたしの、6月病の処方箋。

①紫陽花を見つける

6月になると、そこらじゅうに青や白、ピンクと

いった色鮮やかな紫陽花が咲き始める。

紫陽花は、今の時期しか出会えない、

特別な風景を彩っている。

本当は少し遠出して、紫陽花を見に行く、

ということをしたいのだけど、

仕事があるとそうもいかないことが多い。

そんな時は、紫陽花を、探してみる。

家から駅までの道、公園、線路沿い。

探すと意外と紫陽花を見つけることができる。

「どの色が好き?」ふと紫陽花を見つけたとき、

誰かとするそんな会話も、楽しかったりする。


わたしがよく紫陽花に出くわすのは、

井の頭線の線路沿いだ。

普段は手元にくぎづけになっている人も、

この時期だけは、紫陽花を見つけるために、

少しだけ窓の外を見てみてほしい。

きっと、色とりどりの紫陽花たちに、

心が少しだけ明るくなるはずだから。


②雨にまつわる曲を聴く

6月は梅雨入りもあって、雨が多くなる。

部屋から眺めていたり、夜にしとしと降る雨の音

を聴くのは好きだけれど、朝、出かける前に

何の遠慮もなく叩きつけてくる雨はきらいだ。

でも、そうも言ってられないから、雨の日には

雨の日にだけ聴くプレイリストを再生する。

そのプレイリストを聴くのは雨の日だけ、と

決めていれば、これもまた特別感が出て、

少しだけ雨の日が楽しみになる。


ちなみにわたしは、朝は憂鬱な雨を

吹き飛ばしてくれる爽やかで軽快な曲、

夜は暗闇と雨の音に溶け込むしっとりとした

曲を聴く、といったように、

朝と夜でプレイリストを聴き分けている。

雨と一言で言っても、朝と夜では全く見せる顔が

違うから、それぞれの性格に合った曲を選ぶ。

そんな時間も、けっこう好きだったりする。


③6月の宝石、さくらんぼを頬張る

最後は、今の時期が旬の赤い宝石、

さくらんぼを食べること。

毎年、山形の親戚の家から農園で採れた

箱入りのさくらんぼが送られてくるのが、

6月の楽しみだ。

箱の蓋を開けた瞬間の、あの心踊る感覚は、

どんなに大人になっても、決して色褪せることは

ないように思う。

小さくつやつやしていて、丸みを帯びてピンっと

張りがある可愛らしいさくらんぼを見ていると、

子供の頃のようにわくわくしてくる。

そして一粒それを口に運ぶと、

甘酸っぱい香りが口いっぱいに広がる。

一度食べ始めると、気づいたらもう10個以上は

なくなっている。恐るべし、さくらんぼの魔力。


我が家はみんなこのさくらんぼが大好きなので、

いくら親戚のおじさんたちが箱にぎっしり

詰めて送ってくれても、大抵は1週間ちょっとで

なくなってしまう。

好きなものはいくら食べても飽きないタチなので

この箱入りのさくらんぼが終了したら、

今度はフルーツパーラーに行って

さくらんぼのパフェを食べる。

ちなみにわたしの好きなさくらんぼパフェは、

成城学園前のル・フルティエと、

自由ヶ丘のThe Tokyo Fruits 。

今年は色んなお店のさくらんぼパフェを

食べたいなあ、と思っているけれど、

食べ尽くすのには毎年、時間が足りない。


そうこうしているうちに、

6月もあっという間に終わっていく。

じめじめしてきたな、と思ったのに、

気づいたらもう、からっと暑い太陽が

顔を見せ始めている。

結局は、好きなこと、やりたいことをしていたら

時間はあっという間に経ってしまう。

気分が落ち込んでいる、そんな場合じゃない。

今しか見られない景色を見て、

今しか感じられない空気を思い切り吸い込んで、

今しかできないことをしよう。

6月が終わってしまう前に。


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甘いものを食べ歩いて記録しています。

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岡崎菜波 | nanami okazaki
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