マガジンのカバー画像

あの恋の物語。

60
あのとき私は、たしかに恋をしていた。 届くことのなかった、忘れたくない恋の記憶。
運営しているクリエイター

#夏の思い出

「いい人」と「悪い人」の矛盾を抱えた彼を好きになったから、分かった。

この時期になると、毎年思い出してしまう人がいる。 社会人になりたての頃、好きだった先輩の…

さようなら、たくさん夏をくれた君

夏は恋の季節だ。 そして同時に、失恋の季節でもある。 好きだった人の、知りたくない部分を…

夏の終わりを逆走する

「海に行きたい」 彼に唐突にそう電話したのは、ちょうど一週間前の ことだった。 「いいよ…

積み重ねる夏の記憶

夏が好きになったのは、いつからだろう。 厳密にいうと、今も夏は大の苦手で、 「好き」とい…

すべてを夏のせいにして

告白された。思わぬ相手から。 それは突然のできごとだった。 さっきまで、出会ったときと全…

夏の果て、スペインの車窓にて

2年前の今日、恋人と別れてスペインに行った。 旅行という楽しい時間を過ごせば気が紛れると…

明け方の白昼夢

夢をみた。 何度も繰り返し、同じ夢を。 「どんな夢だったの?」と彼に聞かれたから 「今日が、何回もはじまる夢」と答えたら、 「なにそれ、最高じゃん」と、彼は軽快に笑った。 肺のあたりから弾むように出てくるあたたかい 笑い声が右耳をくすぐると、わたしは何度も まどろみの中に溶け込んでしまいそうになる。 彼の声が好きだ、と気づいたのは、 ほんの数分前のことだった。 深い、少しだけ水分を含んだその声は、 わたしの心に染み込んで、心臓の下のほうまで ぐうっと沈んでいく。 そ

少女の夏と明け方の空

夏をきちんと終えるために、映画をみた。 タイトルは、「アメリカン・スリープオーバー」。 …

工事現場と夏祭りの夜

夜の工事現場で、ふいに夏祭りを思い出した。 夜道を歩いていたら、道の反対側で工事をしてい…

最初で最後の花火の日

毎年、夏がくると思い出す。 花火大会の帰り道で見た、彼のあの背中を。 あの夏のことは、今…