見出し画像

実験室#22 感情と記憶の分離体験

*個人の体験です。

歯を抜くことになった話

画像1

わたしの親知らずは、かなり大きい上に、かなり傾いて生えていて、しかも骨に埋まっていました。レントゲンを撮ってわかったことです。

もしこれが本気で地上を目指すとしたら、現在生えている歯を押しのけて生えることになるため、とてつもなく痛いであろうこともわかりました。
ストレスがかかった時などに顎が痛いと感じていたのも、親知らずが動くからだったようで、これはとってしまうしかないなとなったのが、ある年の冬。

通常の親知らずの抜歯は、歯医者さんでちょちょいとやってもらうことも可能だそうですが、わたしの場合は、親知らずがしっかり埋まっている状態だったので、口腔外科に行くことになりました。
通院で抜歯する場合は、左右どちらかずつ2回に分けて、入院で行う場合は、4本まとめてという話だったのですが、先生のオススメで入院コースにしました。2本抜いた段階で、すごく痛かった場合など、次来るのが怖くなっちゃうので、オススメしてないとのことでした。わかる気がします。

クリスマスシーズンに初の入院

画像2

1泊2日とはいえ、初の入院。
当時すでに自営業だったわたしは、今よりも20倍は真面目に働いていて、抜歯のための入院は、かなり久しぶりの休みとなりました。

抜歯の予定を決めるまでは、様々な怖い情報を目にしてしまい、怖くてなかなか決断できなかったのですが、予定が決まってしまってからは、仕事を一切できない状態での久しぶりの休みに対してのワクワクの方がまさってしまいました。

入院当日、午前中に病院に行って手続きをして、午後から手術という流れでした。12月の頭だったのですが、病院内はクリスマスの飾り付けがされていて、なんともいえず、神聖で厳かな気配がありつつ楽しげでした。

で、部屋に入って着替えをして、点滴をされて、あとは待ち時間。
その頃の生活は、基本的にずーっとパソコンに向かっていたし、暇さえあれば次の仕事のことを考えているような暮らしだったのですが、その日ばかりはパソコンはない。手持ち無沙汰を感じつつも、本を読んで過ごしていると、あっという間に手術の時間に。これだけの時間でも、とてつもなくリラックスできていました。

手術の時間

画像3

手術といっても、よく行く歯医者さんの診察台とさほど変わらない診察台に座り、よくある診察の感じでスタート。

とはいえ、麻酔はいつもの歯医者さんとは比べ物にならないほどすごいもので、あっという間に今までに体験したことのない漠然とした状態になりました。本当にあっという間でした。
寝ている時と起きている時の間というより、体だけ寝ていて意識は起きているみたいな感じでした。

まさしくまな板の上のこいの気持ちになっていると、先生から「痛かったら痛いって言ってね」と言われ、手術がはじまりしばらくすると、とんでもない痛みが。
ギャーとなっていると、「あー、痛いよね〜」と言われ、いたいですーと言っても、「そうだよね〜」と言われ、結局抜歯が済むまでギャーは続きました。

なんだけど、この体験は非常に不思議なもので、いたいーって言っていた記憶はあるのですが、感覚として痛かったのは残っていないし、痛みの記憶もありません。その時の自分の行動を記憶はしていますが、感覚は覚えていないという不思議な状態です。

30分程度で4本の抜歯は終わり、頭は結構はっきりとしていて、抜いてもらった歯を見せてもらったり、ここをこう砕いてとったんだよ〜みたいな内容を聞かせてもらったりして、手術は終わりました。

車椅子で部屋まで戻るというので、頭がはっきりしていたので、大丈夫だと言ったのですが、いざ立ち上がろうとすると立ち上がれず、ここでも麻酔すごいな!と思いました。
大丈夫じゃないことを認識し、素直に車椅子で部屋まで送ってもらいました。

手術も終わり

画像4

その後は、頭ははっきりとしていると思っていたものの、部屋に戻ったらそのまま爆睡。
車椅子で送ってもらっている段ではまだ、この後あの本読んで〜この本読んで〜と思っていたのですが、その後のことは手術時以上に記憶がありません。
上下の奥歯を抜いているので、その日は食事はなしの点滴のみ。そのため、起こされることもなく夜までぐっすりでした。

見たい映画が放映される日だったので、途中頑張って起きたものの、結局見ることはできずそのままぐっすり。
そのときは、せっかくの休みだったのに、寝て終わってしまった!本も3ページくらいしか読めていない!と思ったのですが、いつもは、次の日の予定だったり、しめきりのことだったりを考えながら過ごしているので、本当に久しぶりに何も考えずにゆっくり体を休めることができたなぁと思います。

感情と記憶の分離

画像5

手術中、確実に痛かったような記憶はあるのですが、自分で痛かったと言っていたというのが根拠で、感覚として痛かった記憶はありません。
だからか、怖かった記憶も恐ろしかった記憶もありません。

ですので、例えばもう一度入院して抜歯するよとなっても、恐ろしい!嫌だ!とは思わないと思います。大歓迎!とも思いませんが、少なくともマイナスの感覚はありません。

記憶は感情と結びついているという話を聞いたことがありますが、まさにそうだなぁと思います。

痛い以外にも、その時思っていたことと結びついて、嫌なことになっていることはたくさんあるように思います。

本来は、とてつもなく痛いことですら人生のブレーキにはならないはずなのに、感情が結びつくことによって、もう体験したくない、二度とやってはいけないという感覚が生まれてしまうとしたら。

あとからでも、そこを上手に分離させてあげれば、できないことや苦手なこと、怖いことの多くが克服できるのかもしれないなと思うのです。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?