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推しがタイトルから陥落しました

(これは7月に書いて傷が少し癒えたので公開しています。段位は7月~8月あたり)

推しが負けました。

名前は渡辺明。将棋棋士。通称 魔太郎。

4人目の中学生棋士(5人目は藤井聡太くん)。永世竜王・永世棋聖の資格保持者。将棋界隈では説明不要で誰もが知ってる方ですが、世間での認知度は多分ひくい。

永世7冠を持っている羽生善治さんと何度も対戦していると言えば「ヘエーー」という人がいるかもしれないし、最近飛ぶ鳥をおとす勢いの藤井聡太7段(2020年7月当時)の相手で、初タイトルを献上してしまったと聞けば、ニュースで見たかもとよぎるかもしれません。

そう最近大注目の将棋棋士。藤井聡太七段。この17才はニュースで有名になり、藤井くんのお母様の教育方は注目を集め、幼少期に使ったという知育玩具は売り切れ。

期待の新鋭。神の子。

そんな話題沸騰の藤井くんを差しておいて私は渡辺明二冠が好きだ。なので、ここは藤井くんではなく渡辺明二冠のことを少し話させて欲しい。

そもそも棋聖戦(将棋八大タイトルの一つ)が始まったときの2020年5月、藤井くんの初タイトル挑戦相手が渡辺さんで良かったと私は思い、夫にも話した。

何故かというと、将棋のタイトル戦ではマスコミ、各新聞社の将棋欄を担当する人間がくる。しかも今回は最年少タイトル取得がかかる藤井くんのマスコミの取材は恐らく並大抵ではないと既に想像がつく。

マスコミは「藤井くんに初タイトルを!」「新聞ニュースのネタにしたい!」と期待し、対戦相手に無言の圧力をかける。

『立ちはだかる壁』としての扱いは、渡辺明二冠は年季が入ってる。彼が歴史的瞬間に立ち会うことが多い。

最近有名なのは2017年の竜王戦だろう。羽生さんが永世竜王獲得に向けて、当時竜王であった渡辺さんに挑戦した棋戦だ。

結果渡辺さんは負けて、羽生さんは永世竜王となり永世7冠となったのだが、その時のマスコミは凄かった。テレビで見ても分かるが、渡辺さんの妻が描くマンガ「将棋の渡辺くん」にはその様子が載っている。

終局間際、もう羽生さんの勝ちが決まっている盤面。羽生さんの顔をよく写そうと正面に座っている渡辺さんの肩にテレビカメラが乗っていたとか。対局中にも関わらず!

「もう、席をゆずろうかとおもったね」

って茶目っ気たっぷりで渡辺さんは言っていたが、そのカメラマンの方は失礼きわまりないと思う。

そんな周囲の喧騒に対して「我関せず」というほど遠い距離ではなく、最近のインタビューでは「藤井くんにとって立ちはだかる壁になるってオイシイよね」というようなニュアンスで今の立場を面白がっているようなことを答えている。

彼は自分が名人でありながら(今年初挑戦し名人を奪取した)、自分が名人の潮流、将棋の本筋、時の主人公ではなく、敵役・ラスボスのような位置にいると考えており、羽生さんがタイトルを半分以上獲得している平成の30年間は将棋ファンからもそのような扱いであることもあった。

しかし、藤井くんの出現で様相が少し変わったように思える。

羽生さん世代は50才だ。17才の藤井くんの壁になるには、もう少し若い世代が必要である。その急先鋒は渡辺明がふさわしい。

なんせ敵役は年季が入ってる。2008年24才で羽生さんの永世竜王獲得を阻止し、自らが初代永世竜王を獲得。それから12年だ。

そんな敵役歴の長い彼なら、圧倒的に藤井くん推しのマスコミの雰囲気に飲まれることなく実力を発揮してタイトル戦を戦える。

そして、年少の彼に勝ち、将棋は、タイトル戦はそんなに甘いものではないと知らしめてくれるだろう!

と、私は朝日杯の結果は気にせず(決勝で藤井聡太君に敗けてる)、無邪気に信じていた。


が、第91期棋聖戦では、タイトル初挑戦となった藤井聡太くんに2020年7月16日、1-3で敗れ、棋聖位を失った。。。


そのあとは私自身少し落ち込んで、しばし将棋に触れずに過ごして心穏やかに過ごしていた。

しかし、約1ヶ月後の8月15日、並行して挑戦していた第78期名人戦第6局で豊島名人から4勝目を挙げ、タイトル在位26期目にして自身初となる名人位を獲得した。


将棋棋士の推しを持つと日々勝ち負けに一喜一憂して、心が常に忙しい。

まずは、名人獲得おめでとうございます。

また応援しています。




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