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偽善の善人

1‘

私は山下美月

いきなりだが、私は偽善者が嫌いだ。

偽善者は良い行いを上部だけ行う。

“彼ら“が本当の意味で善行を行うことはない。

2‘

私は偽善が嫌いだ。

良い顔見せるだけ見せて、

私は良いことをしてますアピールをする。

“彼ら“は自身が傷ついてまで善行はしない。

3‘

私は偽善を行う善人が嫌いだ。

“彼“は自分が偽善を行ってると気づいてない。

彼はタチが悪い…本人は良い事を本気でしてると思っている。

でも私にとっては偽善でしかない。

4‘

〜〜〜〜〜

5‘

不良1「あっはははは!」

不良2「地味な山下さ〜ん!あはははは!」

私はクラスメイトにいじめられてる。

何が気に食わなくていじめてるのかわからない。

6‘

〇「いじめるのはやめろよ!」

不良1「はぁ?別に私達、いじめてないし」

〇「嫌がってるように見るぞ!」

はぁ?そんな顔してないし…

不良2「「そんなことないそんなことないw」

7‘

〇「本当か?」

不良1「白石君は気にしなくていいよ!一緒に購買行こう!」

不良2「そうそう!」

〇「わ、わかった」

8‘

ふっ…結局はさ

そうなんだよ、私をいじめてる奴らは嘘を吐き、

それを信じる彼は私からしたら偽善。

だってそうでしょ?

9‘

真実を知る為の一歩を踏み出せないでいるんだから。

でも私は気にしない

だって誰もが自分が可愛くて、

自分にヘイトが向くのが怖いから。

10‘

〜〜〜〜〜

11‘

不良2「お前マジキモいんだよ!」

“バッシャン”

美月「……」

水をかけられる山下。

不良1「ギャハハハハ!」

12‘

不良2「行こうw」

不良1「そうだねwバイバーイw山下さんw」

美月「……」

最悪、今日体操着ないじゃん…

13‘

濡れたまま女子トイレからでる。

次の授業はそんなうるさくない先生だし、

このトイレは屋上に行くのに誰とも会わないから

屋上に行こう…天気もいいし乾くでしょ

14‘

廊下を歩いてると、いつもなら誰もいないはずなのに

白石君と会った。

〇「や、山下さん?!どうしたの!?その格好!!」

美月「…なんでもない」

白石の横を通り過ぎようとする山下。

15‘

〇「待って!」

山下の腕を掴む白石。

美月「何…?」

〇「どこに?」

美月「屋上」

16‘

〇「なら僕もいく!」

美月「どうして…」

〇「心配だから」

美月「あなたに関係ない」

〇「それでも行く」

17‘

美月「勝手にすれば…」

白石の腕を振り解く山下。

2人は屋上に向かう。

廊下を歩いてると白石は学ランの上着を山下の肩にかける。

美月「急に何…」

18‘

〇「い、いいから!」

そう言って、そそくさと山下の前を歩く白石。

美月「…あぁそっか…」

自分の濡れた体を見る山下。

Yシャツが水で濡れており、下着が透けていた。

19‘

美月「…(心:耳真っ赤…)」

前を歩く白石の耳は赤く染まっていた。

そうして、屋上に続く階段を登って

屋上にでる。

20‘

美月「……」

山下は屋上に着くやいなやすぐに寝転び目を閉じる。

〇「ねぇ…やっぱりいじめられてるの?」

白石の問いかけを無視する山下。

〇「なんで黙ってるの?」

21‘

美月「それを言って、どうするの?」

〇「え…」

大の字で寝そべっている山下が、急に喋る。

美月「あなたにいじめられてると言って、あなたは何をする?先生に伝える?みんなの前で私を助ける?」

山下は起き上がり、白石を見つめる。

22‘

〇「それは…」

美月「そういうことだよ、あなたは所詮偽善を行ってるだけの善人なの…」

〇「……」

美月「気にしなくていいよ、だってそれが人間だもの」

23‘

〜〜〜〜〜

24‘

屋上で白石君と話してから数ヶ月

私は屋上に来ていた。

それは、ここから命を終わらせる為に…

どこからの誰かが見ていたのだろう

私と白石君が屋上に向かうのを

25‘

意外と女子から人気のある白石君。

さらにいじめが激化した。

上履きを隠され、体操着を細切れにされ

挙句の果てにはしてもいない援交の噂を流された。

26‘

私は別に強い女じゃない

いじめられれば心に傷を負うし、

よくない噂を流されれば否定をしたくなる。

でも私はそんなこともできない

だから自分の足で自分の命を終わらせることにした。

27‘

美月「あー…怖いな…」

屋上の手摺りを乗り越えて、

手摺りの外に足を下ろす。

美月「一歩踏み出せば全部終わる」

そうしてる間に校庭が騒がしくなる。

28‘

美月「気づいちゃったか…」

“バン!”

〇「山下さん!」

屋上の出入口の扉が開く。

美月「白石君、扉閉めてロックして?」

29‘

〇「…わかった」

白石は扉を閉めて、近くの椅子でドアノブにつっかえ棒する。

美月「どうしてきたの?」

〇「教室から山下さんが見えたから」

山下に近づく白石。

30‘

美月「どうして鍵を閉めたの?」

〇「山下さんのいう通りにしただけさ」

さらに一歩…近づく。

美月「ほっとけばよかったのに」

〇「ほっとけるわけないだろ?」

31‘

また更に近づく。

“ドンドン!!”

美月「ほら先生達もきちゃったよ」

〇「飛び降りるの?」

美月「うん」

32‘

〇「やめなよ」

美月「無理、それよりこれ以上きたら下から白石君が見えるよ?」

“ドンドン”

〇「心配してくれるの?」

33‘

美月「そんなんじゃない…私はそんな偽善なんてしない」

〇「僕さ、あの時の屋上での山下さんの言葉、考えてたんだ」

ゆっくりと山下に歩み寄る白石。

〇「あなたにいじめられてると言ってあなたは何をする?先生に伝える?みんなの前で私を助ける?って…」

34‘

美月「…考えはまとまった?」

〇「うん」

美月「それで?」

〇「君を助けたい!」

美月「それがあなたが出した答え?」

35‘

〇「僕は偽善と言われようが、山下さんを助けたい…」

美月「なら一緒に落ちてよ」

〇「え…」

美月「私を助けたいんでしょ?なら一緒に飛び降りてよ」

〇「それが山下さんのSOS?」

36‘

美月「うん、1人で死ぬの怖いんだ…」

〇「わかった」

白石は手摺りを跨いで、山下の隣に立つ。

〇「結構高いね」

37‘

美月「怖い?」

〇「そりゃ…ね」

美月「下はプールだからワンチャン死なないかもね?」

〇「だね」

山下を抱きしめる白石。

38‘

美月「…大胆だね」

〇「今更でしょ?」

美月「ふふっ、だね」

〇「……」

美月「……」

39‘

見つめ合う2人。

美月「やめるなら今だよ?」

〇「君を1人にはしないよ」

美月「私のことが好きなの?」

〇「…うん」

40‘

耳が赤い白石。

美月「ふふ…もし落ちても生きてたら付き合ってあげる」

〇「それは嬉しいね」

美月「だから今はこれだけね?」

“ちゅっ”

41‘

白石の頬にキスをする山下。

そして、2人は屋上から飛び降りた。

“きゃああああああ!”

“うわぁぁぁぁああああああ!!“

“バッシャンァアアアアン!!“

42‘

〜〜〜〜〜

43‘

美月「……生きてる…」

〇「はははっ…だね」

美月「先生に怒られちゃうね…」

〇「一緒に怒られてあげる」

美月「ふふ、ありがとう」

44‘

この作品はフィクションです。

実際の人物や団体とは関係ありません。

またこの作品内の表現や行動はあくまでも、

作品としてなので、実際に行っても、

責任は取りかねますのでご了承ください。

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