縦の糸はあなたで、横の糸は私
1‘
小さい頃に会ったきり…
名前も知らない
顔もうろ覚え…
いつめぐり会えるのかも
私は知らない。
2‘
それでも、私たちは
めぐり逢う運命だったんだね
顔もうろ覚えなのに
一目見た時、君って確信があった。
あなたは覚えてなかったみたいだけど…
3‘
真佑「いらっしゃいませ〜」
⚪︎「コーヒーとサンドイッチください」
真佑「かしこまりました」
あなたはいつもコーヒーとサンドイッチを頼んで、
奥の窓際に座る。
4‘
そして、鞄から本を取り出して、
きっかり1時間すると席を立ち上がり、
店を出ていく。
それを毎日眺めている。
5‘
声はかけてない。
どこにいて、なにをしてたのか
私と違って、良質な時間を過ごしてたのは
見てればわかる。
6‘
恵まれた里親の養子になったんだろう。
綺麗な服。
高そうな腕時計。
身だしなみには気を遣ってるんだろう。
7‘
対して、私はひどい里親。
小さい頃はまともに食事も与えてもらえず、
義父は私が大きくなると、いやらしい目で
私を見るようになった。
8‘
いつか襲われそうで、
それが怖くて、高校には進学せずに
家を出た。
学のない私にできる仕事といえば、
ガールズバー、キャバクラ、そんなもんしかできなくて
9‘
このお店でバイトできるのは、
キャバクラ時代に一緒に働いていた、
真夏さんのおかげ。
真夏さんがお店をやるから
働かないかって誘われた。
10‘
〜〜〜〜〜
11‘
真佑「いらっしゃいませ〜」
⚪︎「コーヒーとサンドイッチください」
真佑「かしこまりました」
⚪︎「あ、あと!」
真佑「?」
12‘
⚪︎「お姉さんの電話番号を教えてください!」
真佑「え!?」
⚪︎「ぁ、あの…いつも気になっていたんです…可愛い人だなって…」
真佑「そ、そうですか…」
13‘
⚪︎「だ、だめですか?」
真佑「…今日18時にバイト、上がるんです…」
⚪︎「…え」
真佑「それからなら番号交換…できます」
⚪︎「っ!で、ではその頃にお迎えに参ります!」
14‘
〜〜〜〜〜
15‘
それから私はあなたの名前を知った。
名前は白石〇〇。
私の1歳上だった。
昔会ったことを内緒にして、
付き合った。
16‘
私は今まで不運だった。
里親に恵まれず、
そんな里親を見てきたから
子供も持ちたいとも思わなかった。
17‘
でも、あなたに再会して
あなたに愛されて、お見出したことがある。
それはいつの日かに聴いた歌の歌詞で、
『縦の糸はあなた、横の糸は私
織りなす布はいつか誰かを温めうるかもしれない』
18‘
この歌詞はあなたと私の子供のことなんだなって
思い返すと、私達の人生に似てるでしょ?
だから、私はあなたとの子供がほしいと思えた。
誰もが誰かと運命の糸で繋がっている。
それを人は仕合わせと呼ぶの…
19‘
To be continued
20‘
この作品はフィクションです。
実在の人物や団体などとは関係ありません。
またこの作品内の表現や行動はあくまでも、
作品内での表現・行動なので実際に行っても、
一切の責任は取りかねますのでご了承ください。
ありがとう!