『拝啓、記憶喪失の君へ〜中編〜』
1‘
“コンコン”
飛鳥「失礼します」
“ガチャ”
飛鳥「お疲れ様です、秋元先生」
2‘
康「齋藤か、どうした」
飛鳥「私、乃木坂を卒業しようと思います」
康「唐突だな...もう悔いは無いのか?」
3‘
飛鳥「ないです、3期生も4期生も各々と実力をつけて、5期生も入ってきた…11周年ライブをした時に安心したんです…あぁ…大丈夫だなって」
康「そうか…」
飛鳥「はい」
康「本当にいいのか?」
4‘
飛鳥「はい、私が区切りをつけるなら、ここかなって思います」
康「わかった…では、次のシングルの発売を早めて、齋藤の卒業シングルを作る、センターは齋藤、君だ…いいね?」
飛鳥「はい、ありがとうございます」
5‘
康「他に、要望はあるかい?」
飛鳥「あとは…あ、少し難しいかもしれませんが、乃木坂の歴史を含めた、私らしい歌詞を書いてほしいです」
康「なるほど...わかった、その方向でやってみるよ」
6‘
飛鳥「ありがとうございます!」
康「アンダーから這い上がってきて、よく頑張ったな…齋藤」
飛鳥「やめてください、泣いちゃいます...」
康「ははは(笑)ごめんな、齋藤」
7‘
飛鳥「ありがとうございました、失礼します」
“ガチャ”
康「ついに齋藤もか…」
さて…時代が移り変わる…
8‘
____
9‘
~選抜発表日~
今野「えぇー、これから、31枚目シングルの選抜発表をします、その前に齋藤飛鳥、前へ」
メンバー「…??」
飛鳥「みなさんこんにちは、まぁ、このタイミングで、ね、
前に出るってことは、そういうことです…私は、今回のシングルの活動をもって、
乃木坂46を卒業します」
10‘
メンバー「…!?」
飛鳥「みんななら乃木坂を引っ張っていける、あとは真夏には悪いと思ってる…1期生はこれで1人になっちゃうからね…でも、私が退く時はここかなと思った…だから卒業という選択をしました」
驚愕するメンバー達
飛鳥「改めまして、最後のシングル活動期間、
どうぞよろしくお願いします」
“パチパチ”
どこか元気の無い拍手だった。
11‘
新曲の発表が終わった。
フォーメーションはこんな感じか...
私のとなりにえんぴーとやま
後ろに梅と真夏、うん、最高だなぁ
ふと後ろを振り返ると、みんなが抱き合いながら泣いている
12‘
初選抜に嬉しさを感じて泣く人
久しぶりの選抜に感化して泣く人
そして、私の卒業を悲しむ人
さくら「あすぴーさん...まだ早いんじゃないんですか?」
13‘
飛鳥「えんぴー?もうあなたは1人でもやっていける強さを持ってる…私はあなたが成長していくところを見て安心したの」
美波&美月「飛鳥さぁぁぁん(涙)」
飛鳥「お前らはなんだよ(笑)」
美波「まだ早いですよ...」
14‘
美月「まだ国立とか...行けてないじゃないですか!」
真夏「もう、悔いはないの?」
飛鳥「ないよ、悔いなんかあったらまだ続けてるよ(笑)」
"飛鳥さん~!!!!"
"飛鳥さぁぁぁん!!!"
会議室にはそんな声がこだましていた。
15‘
_____
16‘
卒業発表してから数日
マ「この手紙、変だけど、あなたの大学時代を知ってる方?」
名前を見ると...。
"八木○○"と書いてあった。
17‘
飛鳥「え、ま、○○??」
○○は私のこと覚えてくれていたんだ…
〇〇に悪いことしたのに…
私は秋元先生にお願いをした。
○○の乗るJR線、私鉄の全駅に私の卒コンのポスターを沢山貼ってほしい…と
18‘
秋元先生も承諾してくれた
本当に良かった
初披露のYouTubeライブから紅白歌合戦まで、激動の日々を終えた。
そして、今日は私の卒業コンサート
今から影ナレってやつをして私の事を少し語りたいと思います
飛鳥「私は、いつも孤独だった、学校にも馴染めずに
いつも親に迷惑をかけてばかりで…
そんな私でも、心許せる場所があった
19‘
それが乃木坂46
いつもメンバーに会う時だけは
ほんとうに楽しくて
年少組で集まると話が尽きなくて
お姉さんたちにたっくさん甘えて
親も安心したのかな?と思ってます
20‘
そして私は、この乃木坂46を卒業することを決断しました
後輩たちも上手くできてるし、5期生も入ってきて
真夏の全国ツアーのとき、私もそろそろかな、なんて思ったこともあって
21‘
みんなが知ってる昔の私、"あしゅりん"ってやつ?
記憶喪失の前だから、ガラッと性格変わったのはそこかも?
でも、まぁ大人っぽくなってたらしいよ
あ、そうです、みなさん
22‘
私がまだ大学に通っていた頃
交通事故になって、記憶喪失になっているんです
幸い、シングル活動期間の間で、記憶喪失以外に体の損傷があまりないという
奇跡にも恵まれ、1ヶ月も経たないうちに退院しました。
23‘
長々と話しすぎたかな?
さて、みなさん
LIVE楽しんでいってください
飛鳥の前で泣くなよ?
それじゃ、飛鳥の最後のライブ、スタートです!!」
24‘
飛鳥「(心:○○来てるかな…)」
そう、記憶喪失とは言ったもののね
実は記憶戻ってるの
大学の頃内緒で付き合ってた、○○くんのことも
25‘
○○に見つけてもらうために、スタッフさんに頼んで
〇〇くんの住んでるところの最寄り駅と
降りる駅にたっくさん貼りまくって
26‘
何とかして気づいてもらうために
私は思い出したんだよって
だからきてたら嬉しいな…
27‘
~ライブ~
1曲目は、裸足でSummer
飛鳥「お前ら、私が今日で最後だからって泣いてないよな!?最後まで笑って騒げぇ!!」
アリーナ内は大歓声だった
28‘
ーーーーー
29‘
時間がすぎるのは早くて、ライブもすっかり中盤。
『ファンタスティック3色パン』や『threefold choice』など
ユニットの曲や、私のセンターの曲が中心で回っていった中で
私がソロで任された曲。
それが、『僕のこと、知ってる?』
30‘
私は○○が来ることを信じて
上の方とのセトリの相談の時に、これをソロで歌いたい
と直談判したら即承諾してくれて、嬉しかった
ステージ上で少し歩きながら歌っていると
31‘
飛鳥「(心:えっ...○○が...いる、しかも、泣いて...るよね?)」
そう、念願の再開。
まさかこんな形になるとは、思わなかったけど
私はそれを見て泣いた。
32‘
そして、歌い終わった頃
会場からの拍手の音。
それを聞いて、深くお辞儀する私
“飛鳥、ありがとう“
“飛鳥、おめでとう“
そんな声が聞こえる中
“いつかとなりに戻ってこいよ!“
そんな声が聞こえた気がした。
33‘
そしてLIVEもアンコール。
アンコール前にきっかけ
帰り道は遠回りしたくなるを歌い
アンコールでは私のソロ曲を歌って
34‘
そして最後のスピーチ。
飛鳥「私は青春の1ページを乃木坂に捧げて、普通の女の子と違う人生を歩んできたけど、なんだかんだ私は恵まれてるし、幸せ者だなって思ってます、ファンの方たちにはほんとに感謝してます、してもしきれないです、本当にありがとうございます」
なんか…感動すること言ってんな…私
35‘
飛鳥「それでは…これでほんとに最後だよ、みんな!悔いないようにしてね!さぁ、最後にこの曲を聴いてください!『ここにはないもの』」
これまで齋藤飛鳥が積み上げてきたものが齋藤飛鳥を祝福する。
飛鳥「みなさん、11年間、本当にありがとうございました!」
"サヨナラ"
飛鳥は舞台裏に歩きながら後ろ手でピースをしていた。
こうして、齋藤飛鳥の卒業コンサートは、
綺麗に大成功で終わりました。
36‘
~ライブ後~
飛鳥「あ、○○に電話しよっかな...(笑)」
?「どうしたの、ニヤニヤしちゃって、まさか、大学時代の彼氏くんに...」
飛鳥「奈々未!?え、いや、その…」
奈々未「いいからいいから、電話するならしなさい」
飛鳥「…うん!」
37‘
“ピッ…プルルルルル…プルルルルル…カチャ“
○『はい、もしもし?どなたでしょうか?』
飛鳥『あ、こんばんは、さっきはライブ来てくれてありがとうね』
○『ま、まさか…』
飛鳥『どうも、齋藤飛鳥です(笑)』
38’
○『飛鳥!!ねぇ、僕のこと、覚えてるの?』
飛鳥『ん?…"八木○○君"でしょ?(笑)』
○『…!!飛鳥…戻ってきたんだね…あ、卒業おめでとう、綺麗だったよ、飛鳥』
飛鳥『あ、ありがとう///待ってくれてたんだね///』
39‘
○『待つに決まってるじゃん!だって、飛鳥のこと好きだから、ねぇ、飛鳥?記憶をなくす前から言おうと思ってたんだ』
"僕と、結婚してください。"
飛鳥『…やっと、素直になれるね』
"はい、お願いします。"
○『嬉しい…』
飛鳥『○○、今からこっち来る?』
○『え、いいの?』
40‘
飛鳥『うん、正門前にいて、スタッフさんに言っとくから、スタッフさんが来たらついていって』
○『わかった、じゃあまた後で!』
“ツーツーツー...“
~15分後~
“コンコンコン“
41‘
ス「飛鳥さん、連れてきました!」
飛鳥「○○、入っていいよ」
○「失礼します...飛鳥!」
飛鳥「○○…」
“ギューー“
○「おかえり、飛鳥」
42‘
飛鳥「うん、ただいま、○○」
○「それじゃ、改めて…齋藤飛鳥さん、僕と結婚してください」
飛鳥「しょうがないから隣にいてやる(笑)」
来年、私たちは結婚します。
43‘
To be continued