Weihnachten
1‘
クリスマスって…恋人のイベントだ。
恋人がいなければただの日常。
そう、ただの日常。
つまらない日常。
2‘
〜〜〜〜〜
2‘
⚪︎「いらっしゃいませ〜…」
はぁ…退屈だ…
退屈すぎる…
僕だって、彼女はいたことがある
3‘
5年も前に僕を置いて
どこかに消えてしまった。
あんなにも愛してた人が
いなくなった。
4‘
“カランコロン”
⚪︎「いらっしゃま…って…麻衣か」
麻衣「客に対して、失礼ね」
⚪︎「悪うござんした」
麻衣「どう?お店は?」
5‘
⚪︎「ぼちぼちだよ…こんなお店にくるのは迷い人か麻衣かあの人か…」
麻衣「確かにここに辿り着けるのは道を知ってるか、迷い込むしかないからね」
⚪︎「それはしょうがないだろ?爺さんがこんな立地の悪い場所にお店を借りたんだから」
麻衣「それで〜…クリスマスに1人?」
6‘
⚪︎「麻衣は?」
麻衣「私は彼氏が家で待ってるから」
⚪︎「それならここには何しに?」
麻衣「彼氏に時計をあげたくて」
⚪︎「あぁ…それなら…」
7‘
カウンターから出て、店内を歩く〇〇。
⚪︎「確か…ここら辺に…」
麻衣「あった?」
⚪︎「これだ!ほら、麻衣」
麻衣に時計の箱を渡す。
8‘
“パカっ”
麻衣「綺麗…この文字はなんて書いてあるの?」
⚪︎「UnendlicheLiebe」
麻衣「え、え?なんて?」
⚪︎「Unendliche Liebe、ドイツ語だよ」
9‘
麻衣「意味は?」
⚪︎「日本語で終わりのない愛って意味」
麻衣「終わりのない愛…」
⚪︎「君達にピッタリだろ?」
10‘
麻衣「素敵ね、私達にピッタリ!ありがとう!」
⚪︎「よかった、包むよ」
麻衣から箱を受け取り、梱包する。
麻衣「いくら?」
⚪︎「いいよ」
11‘
麻衣「だめよ!ちゃんと支払うわ!」
⚪︎「なら、5000円でいいよ」
麻衣「本当に?これって高いんじゃ…」
⚪︎「ぁー…それは昔、ドイツにあの人と行った時に買ったやつなんだけど、安く買えたし、いいよ」
麻衣「ありがとう」
12‘
“カランコロン”
⚪︎「またのご来店を…」
はぁ…あれはあの人が選んだ時計
意味を知った彼女は「素敵ね、私達にピッタリね?」
そういった…
13‘
はぁ…自分ながら女々しいな…
今日はもう閉店しよう…
気が乗らない…
“カランコロン”
14‘
⚪︎「すみません、今日は閉店です」
?「久しぶりね」
⚪︎「その声…」
聞き覚えのある声…
振り向けない…
振り向くのが怖い…
15‘
?「〇〇…」
⚪︎「何しにきた…5年も経った今…」
?「ごめん…」
⚪︎「謝ってほしいわけじゃない…説明してほしいんだ…“奈々未”」
奈々未「ちゃんと説明するわ…」
16‘
それからなんで僕の前から去ったのか
今まで何をしてたのかを説明してくれた。
⚪︎「そう…親父さんがね…」
奈々未「ごめんなさい…あの時はあーするしかなかったの…」
17‘
⚪︎「正直…わからない…君がどうしたいのか…」
奈々未「私は!私はあなたとやり直したい…」
⚪︎「立ち去った理由も何をしていたのかもわかった、じゃあ5年も経った今なんだ?」
奈々未「私…妊娠してたの…」
⚪︎「……はっ?」
18‘
奈々未「あなたとの子供よ」
⚪︎「な、ならなんで、尚更帰ってこなかったんだ」
奈々未「あの時は父の看病もあったし、怖かったの…」
⚪︎「何が…」
奈々未「勝手にいなくなった私が憎いんじゃないかって…そんな女との間の子なんて見たくないんじゃないかって…」
19‘
涙を流す奈々未。
⚪︎「憎くない…ただ悲しかっただけ…それだけだ」
奈々未「本当に?」
⚪︎「あぁ…本当だよ」
奈々未「ありがとう」
そういって〇〇に抱きつく奈々未。
20‘
⚪︎「とにかく、戻ってきてくれて嬉しいよ」
奈々未「私も戻ってこれて嬉しい」
⚪︎「まぁ、まさか子連れだと思わなかったけどね」
奈々未「ふふっ」
“EinWunderzuWeihnachten“〜クリスマスに奇跡を〜
21‘
この作品はフィクションです。
実在の人物や団体などとは関係ありません。
またこの作品内の表現や行動はあくまでも、
作品内での表現・行動なので実際に行っても、
一切の責任は取りかねますのでご了承ください。
ありがとう!