振り返る君はどんな人・物・出来事よりも綺麗で儚くて手放したくないと心の底から思う
1‘
僕の彼女は病気だ。
新種の病気で不治の病。
感情の起伏が失われていく。
最後には何も感じることなく
静かに息を引き取って、終わりだ。
2‘
彼女の絵梨花とは会社が一緒でそこで出会った。
それで会社全社員でやっている定期検査で病気が見つかった。
僕はそれを告げられたとき、現実を受け止められなかった。
それなのに、絵梨花は真っ直ぐとお医者さんを見つめて
真剣に話を聞いていた。
3‘
余命は1年くらい。
正確じゃない、なんせ世界でも数件しか報告がない。
急に感情が薄れていく。
だからか、絵梨花は自主退職をした。
4‘
社長は気にしなくていいって言ってくれたんだけど、
絵梨花はやりたいことがあるからと言って、退職した。
やりたいこと?
なんだろう?
5‘
〜〜〜〜〜
6‘
〇「それで、やりたいことって、これ?」
絵梨花「うん!〇〇と色んな場所に行って、撮ってもらうの!」
そう、絵梨花のやりたいことはこれだった。
絵梨花らしいと言えばらしい。
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7‘
〇「じゃあ、撮るよ!」
絵梨花「うん!撮れた〜?」
〇「撮れたよ!」
絵梨花「じゃあ次はあっちで撮ろう!」
8‘
絵梨花とは色々な場所に行って、
色々な場所で写真を撮った。
最初の頃は笑顔をたくさん溢れてた。
楽しそうに笑って、楽しそうにはしゃぐ君を撮るのが楽しかった。
9‘
だけど、日に日に少しづつ君の感情が薄れていくのを感じた。
笑顔が写真からなくなっていくのが…
それが辛かった。
悲しかった…
10‘
1番は絵梨花が辛いはずなのにね…
それでも君は色々な場所に行きたいって言った。
僕は絵梨花の願いを聞いて、色々な場所に連れて行った。
写真を撮った。
11‘
〇「絵梨花〜、待って」
絵梨花「早く…」
先を歩く君。
そんな君は歩みを止める。
12‘
〇「どうしたの?」
絵梨花「〇〇は私を愛してる…?」
振り向かない絵梨花。
〇「当たり前だろ?」
13‘
絵梨花「ちゃんと言って…」
〇「愛してるよ、僕は絵梨花を愛してる!」
絵梨花「そっか…私も愛してるよ…」
〇「…っ…」
14‘
数日後、絵梨花は静かに息を引き取った…
最後は家で、僕の腕の中で…
笑顔だった…いや
実際はそう見えただけだ…
15‘
〜〜〜〜〜
16‘
飛鳥「大丈夫?」
〇「うん…大丈夫だよ」
飛鳥「ダメそうなら言ってよ?」
絵梨花と同級生の飛鳥。
17‘
彼女はツンな所が多いけど、こういう時は昔から優しい。
〇「少し聞いてくれる?」
飛鳥「うん」
〇「絵梨花と最近は出かけてなかったんだ、絵梨花が急に家から出たがらなくなったから」
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飛鳥「最期がわかってたのかもね」
〇「それで最後に出かけたのが数日前なんだけど、絵梨花が僕の先を歩いてる時に、急に止まったんだ」
飛鳥「うん」
〇「それで振り向かないで、僕に愛してるかを聞いてきたんだ」
飛鳥「なんて言ったの?」
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19‘
〇「もちろん、愛してるって言ったんだ」
飛鳥「それで、絵梨花はなんて?」
〇「僕の方に振り向いて、私も愛してるって言ったんだ…その時に振り返った絵梨花を見て、どんな人・物・出来事よりも綺麗で儚くて手放したくないと心の底から思った…」
涙を流す〇〇。
20‘
〇「それなのにっ…それなのにっ!僕の腕の中で絵梨花は!っ…」
“ぎゅっ”
飛鳥「大丈夫…大丈夫だからっ…」
〇「うわぁぁぁあああああ!!!!」
21‘
この作品はフィクションです。
実際の団体とは関係ありません。
またこの作品内の表現や行動はあくまでも、
作品としてなので、実際に行っても、
責任は取りかねますのでご了承ください。
ありがとう!