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(8)弱さとは罪か?
1‘
はぁ…〇〇が出ていってから半年
探しているけど、見つからない。
本当は仕事なんてしてないで、探し回りたいけど
暮らすためには仕事をするしかない。
2‘
原因なんてわかってる。
私が悪いんだ…〇〇のことが好きなのに彼を傷つけていた。
〇〇が私を見てないなんてことはないのに
そう感じて、つい強く当たってしまった。
3‘
お願いだから戻ってきて…
私は〇〇がいないとダメなの
帰ってきた優しくするから
変わるって約束するから
4‘
〜〜〜〜〜
5‘
OL1「最近衛藤さん、顔色悪くない?」
OL2「確かに!なんか心配だね」
ふう…そんなに顔色悪いかな?
確かに〇〇が出て行ってから、1人で食べても美味しくないし
6‘
だから作るのもめんどくさくて、食べないこともある
でも、サプリとかで栄養とってるから大丈夫だと思うんだけど…
少し、気をつけないと…
さぁ!仕事でもしますか
7‘
〜〜〜〜〜
8‘
〇「……」
〇〇くんと一緒に暮らすようになって
半年が経った。
最近、〇〇くんは考え込んでいることが増えた。
前に衛藤さんのことかを聞いたけど
9‘
その時は違うって言われた。
でも多分、衛藤さんのことだと思う。
正直、不安…
私は〇〇くんが好きだから
10‘
出て行かないでほしい
衛藤さんの元に戻らないでほしい
私と一緒にいてほしい
でも…私にそれらを言葉にする勇気なんてない。
11‘
〜〜〜〜〜
12‘
〇「出かけてきますね?」
玲香「あれ?どこに行くの?」
〇「前から伝えてた、お料理教室です」
玲香「ぁ、そっか」
13‘
〇「行ってきますね!」
玲香「うん!行ってらっしゃい!」
今日は前々から行きたかったお料理教室。
以前、迷子になった時に駅に案内してもらった鈴木さんの教室。
14‘
〜〜〜〜〜
15‘
絢音「今日はよろしくお願いしますね」
〇「お願いします!」
料理教室に着いた〇〇は絢音と少し話した後にレッスンを開始する。
絢音「今日は何を作りたいですか?」
〇「ん…(心:美彩さんなら何を食べたいかな?…ぁ、もう関係なくなっちゃったのか…美彩さんはもう別れたと思ってるだろうし…)」
16‘
絢音「齋藤さん?」
〇「は、はい!」
絢音「大丈夫ですか?」
〇「だ、大丈夫です!」
絢音「そうですか、では何を作りますか?」
17‘
〇「じゃあ、肉じゃがで」
絢音「いいですね!肉じゃがを作りましょう!」
手を洗って、食材を切り始める。
絢音「手際がいいですね」
18‘
〇「…ある人が好きだったので」
絢音「…それは以前、腕に痣を作った人ですか?」
〇「えっ…あっつ!!」
絢音の言葉に驚いて、鍋に腕が触れてしまう〇〇。
絢音「大丈夫ですか?!」
19‘
急いで、〇〇の腕を水で冷やす。
絢音「すみません…」
〇「だ、大丈夫ですよ」
絢音「以前、お会いした時にちらっと、腕が見えてしまって」
〇「そ、そうだったんですね」
20‘
“シャアァァァァアアア”
2人は沈黙に…
絢音「少しお話できますか?」
〇「ぁ、はい…」
21‘
一旦、調理をやめて椅子に座る。
絢音「3年前、私はお付き合いしていた男性がいました…私はその男性にDVをしていたんです…」
〇「えっ!…意外です」
絢音「当時の私は自分に自信がなくて、何をしても彼を繋ぎ止めていたかった…」
〇「それが暴力…だったんですね」
絢音「はい…それから彼は出て行ってしまいました」
22‘
〇「っ…」
自分と重ねた〇〇。
絢音「今では後悔しています」
顔に影を落とす、絢音。
23‘
絢音「ご、ごめんなさい!料理の続きをしましょうか!」
“ぎゅっ!”
絢音「ぇっ…」
〇「嫌なら突き飛ばしてください…」
絢音「ありがとうございます…」
ただ静かに時間だけが過ぎていった…
24‘
この作品はフィクションです。
実際の団体とは関係ありません。
またこの作品内の表現や行動はあくまでも、
作品としてなので、実際に行っても、
責任は取りかねますのでご了承ください。
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