喫煙者はもう少し周りに気を配ってください
煙草は嗜好品のひとつである。
私は『頭が痛くなる』『気持ち悪くなる』『煙臭くなる』の三拍子が揃った煙草の煙が大嫌いだ。こちらに副流煙が向かってくると顔に露骨なまでの嫌悪感を出して扇子で扇ぎ返すほどで、一度たりとも吸いたいと思ったこともない。
中毒性があるということは、私には想像できないような快感なり口寂しさがあるのだろうと思う。
しかし、嗜好品とはいえ誰かを巻き込む可能性がある以上は、外ならまだしも、屋内であればもう少し他人に気を遣ってもらいたいと思うのが正直なところだ。
子どもの頃から煙が大の苦手だった
煙草のなにが嫌いかというと、「フィルターを通っている主流煙よりも害のある副流煙を、こちらの意思に関係なく、相手の都合で無理矢理喫煙させられてしまうこと」だ。
こちらがどれだけ健康に気を付けていても、喫煙者のストレス発散のために、こちらが相手のストレスと同じかそれ以上のストレスと害を副流煙で受けなければならない。「なぜ相手だけいい思いをして、こちらには何の得もないのに付き合わされなければならないのか」とずっと思ってきた。
しかも、世の中にはタバコミュニケーションなるものもある。仕事においても、喫煙者同士で喫煙所で話をしているうちに重要なことが決まったり、謎の結束が生まれたりしているのだ。
「喫煙者の1時間に1度のタバコ休憩は許されるのに、煙草を吸わない人間が1時間に1度席を立つと嫌な目で見てくる風潮はどうなのか」ということもずっと疑問に思ってきた。それほどまでに、私は煙草に対していい思い入れがない。(いい思い入れがある人がいるのかは怪しいものではある。)
私の父親はかつて喫煙者だった。私が中学に入るぐらいの頃から禁煙を始めて、それ以来煙草とは完全に縁を切ったようだ。
車のなかでも何本も煙草を吸うほどの愛煙家だったので、車に一緒に乗っていた私はいつも頭痛や吐き気に悩まされていた。車に乗っている時間は好きなのに、煙草の煙が漂い始めると一気に辺りがどす黒いオーラに包まれたかのような、最悪な時間に姿を変えた。
その頃から煙草の煙を吸うと一気に気分が悪くなる感覚は変わっておらず、いまでも副流煙を吸わされると頭が痛くなったり、気持ち悪くなったりする。
だからなるべくなら、煙草の煙を避けて通りたいのだけど、そう簡単には行かないのが世の常というものだ。
喫煙は相手への気遣いを忘れずに
私は表向きは穏健派の嫌煙家だけど、実際は『人を選ぶ嫌煙家』だ。
マナーを守って吸ってくれる人であればまったく問題ない。
ある程度以上親しくしている人たちであれば、「吸ってもいい?」と聞かれたら「あぁ、どうぞ。いいですよ。」と特に気にせずOKを出す。それは、「この人なら考えることは考えた上で吸ってくれるだろう」という信頼から来ているからだ。
喫煙者にもいろいろな人がいて、なかには風向きを見て「ちょっと席変わろうか」と、相手に煙がいかないように考えてくれる人もいる。はじめてそのタイプの人とご一緒した時は感激したものだ。そういう心遣いのできる人であれば、私も相手に気持ちよく過ごしてもらいたいと思うので、厳しく言う気持ちは起こらない。
ただ、残念ながらそこまで良識のある人たちばかりでもない。「喫煙者にもいろいろな人がいて」という部分には、当然悪い人間も含まれている。問題は、気遣いのできない側の喫煙者たちだ。
煙草をポイ捨てしたり、同じ空間で受動喫煙させられる側のことも考えずに何本も吸っては煙臭くしたり、さらには歩きながら指で弾いて捨てるようなクソッタレもいる。危うく目に当たりそうになった時は、心のなかでボロクソに罵るほどの怒りがこみあげたほどだ。
マナーをわきまえていない、もしくは周りへの気遣いがない喫煙者に対して私は当たりが強くなる。
私に向かってくる副流煙に我慢ならなくなって、「. . . ちょっと向こう行きますね」と言った私に「ああ、いいよ気遣わなくて」と返してきた分からず屋の高齢喫煙者に「(よくないから席外すんだよ。なんでお前のほうが気遣わないんだよ。) タバコの煙が苦手なもので」と露骨な嫌悪感を出して部屋を出た。
親しい人か理解のある人ならともかく、嫌煙家かもしれない相手に対する気遣いもなく、喫煙者本人が吸っている煙以上に害のある副流煙を無理矢理体にねじ込もうとしてくる行為が我慢ならないのだ。まるで、アレルギー持ちなのに「美味しいから食べてみなって」と無理矢理食べさせようとしてくる、あの感覚に似ている。
せめて「タバコの煙、苦手な人います? 吸っても大丈夫?」というひと言があればまだ気持ちも変わる。「すみません、苦手です」とストレートに言いにくい気持ちはあっても、気を遣ってくれているとわかるだけで印象はだいぶ良くなる。
肩身が狭いのはお互い様だからこそ、相手への気遣いを忘れずに
「喫煙者は肩身が狭い」という声をよく耳にするけど、副流煙で肩身の狭い思いどころか体調も気分も害する嫌煙家もいるので、こればかりはお互い様としかいえない。
喫煙はあくまで個人の自由なので、悪いこととは言わない。ただ、別の誰かを巻き込む可能性のある嗜好品である以上、どうか、喫煙者の方々はもう少し積極的な姿勢で周りに気を遣っていただきたいと切に願うばかりだ。
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