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祝う時は盛大に、気前よく


最近、二回ほどお祝いをする機会があった。

そのうちの一回は、ゲーム・クリエイティブ配信サイトであるTwitchでのこと。私がよく観に行っている配信者(ストリーマー)がフォロワー1000人というひとつの大きな節目を達成した時だ。


私がこの配信者のことを知ったのは昨年末ぐらいで、今では配信外でも交流があるだけでなく、配信においてもVIPバッジを付与してくれるほどの付き合いになった。


そんな彼が少しずつ歩む軌跡を見てきた身としては今回の節目は感慨深いものがあって、私は思い切って普段使わない額の投げ銭をその日に行った。その日は他の視聴者も配信を視聴している人たちに、サブスクギフトを10、30、50と大量にプレゼントするなどして、盛大に祝っていた。


サブスクギフト (Subscription Gift)
Twitchで配信者のチャンネルに1ヶ月間約600円を支払って有料サポートをすることを『サブスクライブ』『サブスク』と呼んでいる。英語ではSubとも呼ばれる。

サブスクライブしたユーザーは『広告なし視聴』『チャンネルのオリジナルスタンプがTwitch上のどのチャンネルでも使える』『サブスクライバーバッジが付与される』などの特典を受けられる。

このサブスクライブ特典を別の視聴者にプレゼントすることをサブスクギフトと呼ぶ。英語ではGift Subとも呼ばれる。ギフトを贈る側が費用を負担する。


奇しくも、彼はあるゲームで課した大きなチャレンジを同じ日にクリアしたので、二重の意味でめでたい一日となったのだ。それを盛大に祝うコミュニティを前に、彼は言葉を失っていた。そればかりか、その後にゲームをやろうとしても全くそれどころではない状態だった。


『It has been a journey. (ここまでいろいろなことがあったよね)』と、私も、初期の頃からの視聴者も、彼も、同じように口にしていた。それほどまでに、彼自身のなかでもいろいろな思い出が溢れてきて、言葉では表現しきれなくなってしまったに違いない。


彼はここに辿り着くまでに一年かかったと言っていた。一年だ。一週間のなかで特定の曜日に配信の時間を設けて一年も続けることは簡単なことではない。

しかもライブ配信はマルチタスクだ。ゲームそのものをプレイするだけでなく、チャット(コメント)欄にマメに目を通しながら返事をしたり、話を広げたり、視聴者とコミュニケーションを取ることが求められる。頭でいくつものことを同時に処理して瞬間的に判断を下さなければならないので、慣れないうちは2〜3時間やるだけでもどっと疲れるのだ。これを特定の曜日に、毎週、一年もの期間。彼は続けたのだ。


フォロワー1000人というと、容姿に自信のある女性配信者(顔出し)であれば割と早く達成できるような通過点かもしれない。しかし、ライブ配信はフォロワーが多ければいいというわけではなく、最後は「視聴者がどれだけ熱心に配信に参加してくれているか」というエンゲージメントがものを言う。


フォロワーが数万人いようと同時視聴者数が平均50人という人もいれば、フォロワーが5000人でも同時視聴者数が平均100人という人もいる。この場合は後者のほうがエンゲージメントにおいては評価される、というわけだ。


彼の場合、フォロワー数でいえばようやく1000に到達したところではあるものの、熱心にコメントをチャット欄に書き込んでくれる視聴者がフォロワー数の割に多く、民度も高い。それは、コメントに対して丁寧に返事をしている彼の人柄と、彼自身のたゆまぬ努力の賜物であると私は思っている。


そんな彼の努力を長く見てきた身としては、ここで祝わずにいつ祝うんだという気持ちしかなかったので、気前よくお金を使うことにしたのだ。お金はこういう時には惜しまずに使ってこそだ。


形には残らないものかもしれないけど、行動をもって気持ちは伝えられるものなのだ。彼の心に強く刻まれる一日になったことだろう。


形のあるものではなくても。物としての形には表れなくても。

絆を深めることはできる。

そのことをしみじみ感じた時間だった。


祝う時は盛大に、気前よく、お金を惜しまずに使おう。

お金は後から取り返せるけど、その記念日は一生に一度しか来ないのだから。


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ななつき
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