お金は循環させるもの
日本人は保守的な部分が強いように思う。
安定。お金は『貯める』べき。こうした考え方はいまだ根強い。
それが関係しているのか、形のないものへお金を使うことに抵抗を持っている人も少なくない。それは『投げ銭』という文化が海外ほど定着していないところにも表れている。
一方、海外は、チップの文化が定着しているのもあってか、良いと感じたものには惜しまずお金を使う。ストリートライブとかライブ配信サイトを見ていても、積極的に投げ銭する人が多い。
一見、こうやってお金を積極的に使うことは貯めることとは正反対のようだけど、この『誰かのためにお金を使う』『気に入った人をサポートする』という利他の精神こそが一番幸せに近いお金の使い方だとわかる。そして、お金から好かれる使い方であることも。
『相手に喜んでもらいたい』『この人の力になりたい』『役に立ちたい』と思って使うお金は、お金では買えない価値をも引き寄せることができる"生きたお金の使い方"で、結果的に払ったお金以上の価値をもたらしてくれる。それが巡り巡って、お金だけでなく、信用、信頼、場合によっては口コミなどで新しい人も連れて、私たちのもとに返ってくる。
一方、ただ『貯める』だけでいると、あるタイミングで大量の出費をしなければならなくなって、貯めこんでいた分が一気に出ていってしまった、ということもよくある。
「金は天下の回り物」とはよくいったもので、お金はひとつのところにとどまっているものではなく、循環させるべきものなのだ。ここでも、"世の中の物事は常に移り行くものである"という『諸行無常』の真理が当てはまる。
ひとつの場所にとどまり続けたお金は負のエネルギーを蓄積させていって、限界が来ると爆発する。そして、私たちになにかしらの大きな出費を促して、私たちのもとから去っていくのだ。
ただ貯めこめばいいというわけではなく、お金のストレスが爆発する前に、使うべき時は思いっきり使って、私たちの"お金のストレス"と、"お金自身が抱えているストレス"を発散させるのだ。
お金だって旅をしたいのだろう。いろいろな人の手に渡りながら、様々な人間ドラマを見たいに違いない。そして、お金も誰かが喜んでいるところを見たいに違いない。それは私たちも同じこと。
誰かのためにお金を使う時に、『いってらっしゃい』とお金を新たな旅へと送り出す。そのお金が別の誰かのところへと渡っていって、今日を生きる力になる。それがまた別の誰かの手に渡って、その人の力になっていく。こうやって様々な人間ドラマに居合わせては旅立ってを繰り返して、またいつか私たちのもとへと戻ってくる。時々、別のお土産を持って。
当然、ある程度のまとまったお金は生きていく上では大切なので、それも全部使うわけにはいかない。普段の生活に支障がない範囲で、お金を『循環させること』と『誰かのために使う精神』こそが大切なのではないだろうか。
◇
noteにも、サポートという投げ銭の機能がある。
琴線に触れた記事。なにかの節目。めでたい出来事があった時。
そんな時には、普段からの感謝の気持ちやお祝いの気持ちをこめて、サポート(投げ銭)をしてみてはどうだろうか。
私もこのパンデミックがきっかけで、誰かのためにお金を使う意識がより強いものになって、noteでもある時からサポートをするようになった。過去に記事として投稿したこともある。
サポートは『スキ』とも『コメント』とも違う、強烈なインパクトを残すことができる。しかも100円から行うことができる。ジュース一本を買う程度の少額で強烈なプレゼント(応援)ができると考えたら安いものだ。
『スキ』は手軽に済ませることができるけど、それだけでは気持ちはうまく伝わらないものだ。そして手軽であるが故に誤解を招いてしまうこともあるのが難点だ。それはSNSの『いいね』然りで、私がSNSに疲れてしまった理由のひとつでもある。
その点、サポートは応援の気持ちを伝えるのに一番間違いがなく、かつ強力な方法と言える。サポートをすることでクリエイターが続けていくための力を分けることができるし、サポートをしてもらった側はあなたの名前を心に刻むことだろう。クリエイターが活動について悩み苦しんでいる時ほど、サポートの効果は絶大なものになる。
もちろん、金銭が絡む以上、何度もできることではないかもしれない。それでも、金額に関係なく誰かに力を分け与えることができる上に、お金を循環させることもできる。お金にも旅をさせることができて、クリエイターも喜ぶ。そして、私たちも「お金を使ってよかった」と嬉しい気持ちになれる。Win-Winどころか、Win-Win-Winだ。
普段『スキ』で済ませてしまう人ほど、一度時間を取ってサポートを試してみていただきたい。投げ銭がいかに強力で、さらに幸福感をもたらす方法かを実感できることだろう。そして、私たちが実際にサポートを受け取る側だったら、どれだけそれが嬉しいことであるかは、想像に難くないはずだ。
『与えよ、さらば与えられん』。
「かわいいお金には旅をさせよ」の精神でお金に旅をさせて循環させる。クリエイターへ少額の投げ銭をして応援の気持ちを示す。
その循環を始める時。
その循環が返ってきた時。
私たちはさらに幸せへと近付くはずだ。