P新人賞NEXT クリエイションレポート vol.1
2024年12月某日。
松本から鈍行電車に揺られ、モコモコの格好で名古屋に降り立った私達は暖かい気温に驚いた。
脱いだ上着を手に持ちながら、本番の会場である『損保ジャパン人形劇場 ひまわりホール』へいそいそと向かう。
この日が来る前に事前に一度オンラインのミーティングを行っており、そのときに自己紹介などは済ませていたため部屋に入ってからはこれからお世話になる皆様に挨拶をして、早速ディスカッションに入った。
まずは事前に準備されていた質問にそれぞれ持ってきた答えを話した。
〇新しい人形劇
そもそも”新しい“とは、、?
時代の技術を結び付けたような人形劇のこと?
どのくらい人形を使えば(劇中登場させれば)人形劇と呼べるのだろう。。。?
最近は普段から新しいな!と感じることがそもそも無い、と言う人もいれば、知らないことや詳しくない分野は知るたび新鮮な気持ちになるという意見もあり、
新しいと感じる物事や現象は人それぞれということがわかる時間であった。
現代に合った作品作りを意識してみるなど(集中力の持続低下、スピードが重視される世の中に合わせて短い時間で面白い現象を起こす?)も“新しい人形劇”に入るかな。
人形劇をいままで観てきている人、取り組んできた人が“新しい人形劇”に期待を抱く。人形劇に詳しくない人がみれば、そもそも新しいも古いもわからない。
色んな考えが飛びかった。
人形は想像力を膨らませてくれる効果があるんだ。
”人間劇と人形劇とパントマイムの立ち位置“をアドバイザー大野正雄さん(ほげさん)が説明してくれた。簡単に図に書いてみたが、想像力の量が関係していることがよくわかる。
〇72歳人形
斜めさんは老人のイメージで72歳に仮設定したという。
それぞれ身の回りの70代の方を思い浮かべてみると…今時の72歳ってまだまだ動けて元気かも?!
途中、自分の家族(両親)の話をする場面もあった。
元気だけど、本人は人生の終わりについていつも頭の片隅に置きながら生活をしているよ。
元気なうちに趣味を謳歌、うちの親父は南極に旅に行ったよ。
家族の話をする時間はなんだかよい時間だった。
斜めさんは南極が妙に刺さっていた。
“72歳人形”という単語だけみると、
72歳という設定のおじいさんかおばあさんの姿をした人形、
72年前に製造された人形、
72歳で命が終わる人形、、、色んな考え方ができる…。
→今年72歳人形を作ると72歳なのに0歳ということにもなる!?
チラシには、”自分自身の72歳の姿を模した人形と対峙するひとりの男の物語“と記載があり、人生の未来を想像したり、知らない過去を聞いたり時を超えるようなものを前田斜め自身がほんとうに72歳になるまで上演したいと考えている。
〇物
モノを持っている人のエネルギーの加え具合で生死が表現できる。(子供が、人形を持ち上げると生きてる、床に置くと死んだというように)
そのモノへの執着、想い出があるかないかで価値が変わる。人によって違う。
「アニミズム」という、物には霊魂もしくは霊が宿っているという考え方があり、日本には精霊信仰や宗教に似た風習がある。
目が開いてないのに一瞬開いているように見えることがあったり…。
名前があるということが物として存在しているということ。
人形劇センターに保管されている人形があったので、実際に何体か出していただき触らせてもらった。
人間と人形の距離感や関係性のスキルの話、
衣装の色彩の意識の話、
野外と劇場、
人間と人形が共演、
普段大事にしていることや興味のある分野についてそれぞれ話したり深くお聞きすることができた。
「仮人形」をつくるといい
というアドバイスを受けた。実際にモノ(人形)があるのとないのとでは全然イメージのしやすさが違うので、まずはダンボールやスポンジなどを用いて簡単にお試用としてつくってみて遊んでみるのがおすすめとアドバイスを受けた。
ー人形のサイズ感についてー
大きいと操作の難易度は上がるが、
迫力や存在感が大事なキャラクターならやはり大きいほうがいい。
操作する人の体型に合わせたサイズでつくることも疲れにくさに繋がるためとても大事なんだそう。
ー仮人形と過ごす時間ー
テキトーに作った仮人形が自由度が高くてなんか健気で、
意外と可愛くできて愛着が湧いてくるんだよね、と話すアドバイザー方。
なんだかんだ仮人形と過ごす時間のほうが長かったりするし。
ちゃんとした人形はちゃんと扱わなきゃというモードになってしまう…それは自由度が減って何故かつまらなくなってくる。不思議。
手がなくても、足がなくても違和感がない仮人形、
服を来ていなくても色々動かしているうちに「たまらん!これでいい!」と思えてくるらしい。
扱う人の追求がみえれば、人形は美しくなくても、作りすぎなくてもいいのかもしれない、と聞いて、とても興味深い話だった。
沢山の会話からイメージが膨らんだところで、今回はお開きとなった。
やはりオンラインで会話するのと直接顔を合わせて話し合うのは全然違っていて、2024年のうちにひまわりホールへ足を運べてよかったと思った。
斜めさんは年末年始は今回の話から構想を練ってあっという間に過ぎると思う。と笑った。(記録・写真:はる)
ーー公演情報ーー
P新人賞NEXT 2024 THE STAGE
■日時
2025年
2月15日(土)13:00
2月16日(日)13:00
各回開場30分前
上演時間は各回45分程度×2団体
各回アドバイザーと上演団体とのアフタートークあり
AFTER TALK
15日(土) 宇都恵利花(宇都企画)
16日(日) 森悟(老若男女未来学園)
■料金
前売一般 2,200円
当日 2,500円
センター会員 2,000円(事前申込に限る)
■会場
損保ジャパン人形劇場ひまわりホール
劇団野らぼう <長野県>「72歳人形」
角谷将視(ゼロコ)<東京都>「まるめた紙」
ADVISOR【アドバイザー】
大野正雄(人形劇団むすび座)
LONTO(ラストラーダカンパニー)
ゆみだてさとこ(Puppet Theaterゆめみトランク)
山内庸平
「P」とはパペットの「P」&オブジェ+身体パフォーマンスの「P」
~人形劇の新たな創造の可能性を追求するクリエィション企画~
人形劇ジャンルの未来を担う斬新な才能を発掘するために開催!
舞台芸術の第一線で活躍するアドバイザーと格闘しながらブラッシュアップした作品を上演します