変わるのがこわいのは最初だけ
なんとなく、今日「パンとコーヒー」を投稿しようかなって思ったのは、夜行バスのなかだった。
夜行バスで名古屋から横浜に向かっていた。
私は愛知県の三河地方の出身。28年も愛知に住んでいて、名古屋で一人暮らしもしてたのだけど、愛知を出てからなんだか愛知がよそよそしいのだ。
「帰っておいでん」「会いたいのに」と言ってくれる友達はいるし、私もいっぱい喋りたいことがあるはずなのに、なかなか連絡できずにいたりする。
ためらいだ。
会ったら、何年ぶりだろうという感覚がなくなるほどの距離感でいられるとは思うんだ。
だけど、私が住んでいた頃の愛知ではなく、なんだか名駅が変わってしまっていて、友達も変わってしまったんじゃないかって勝手に感じているみたいである。
友達の人生のステージも変わりはじめていて、同棲してるとか、結婚したとか、子どもができたとか、家を建てたとか。ちゃんと歩んで、進んでるなぁと思う。
それにくらべて、私は何も変わっていないのだ。
くらべる必要はないのだけど、ほんとうに変わってない。
そもそも人生の転機であろう転職だったり、引っ越しだったりを頻繁にするようになると、まったく転機ではなくなってしまった。
仕事を辞めるってそんなに一大事でもない。
引っ越しも、ただ住む場所を変えて、お気に入りのカフェと通う美容院と歯医者が変わるだけ。
仕事を辞めるのがこわいと感じる人もいるだろう。
引っ越しなんてしたことがない人は、どんなに大変で面倒な作業が待ち受けてるかも知らないだろう。
郵送で送った転出届が新住所にとどかなくて、なかなか転入届が出せずにいるように、モヤモヤな気持ちや焦る気持ちを知らないかもしれない。
人は変化を嫌う。
周辺環境や人間関係が変わると、今まで積み上げてきたものがなくなってゼロからのスタートのように感じ、ストレスとなるからだ。
しかし、死ぬ限りゼロじゃない。これまでいくつか経験したことがあるから、今の環境でもうまくやっていけることが多いのではないだろうか。
なかなか馴染めないなぁ、うまくいかないなぁって思うのは最初だけで、毎日毎日暮らしていると、どんどんその暮らしがふつうになり当たり前になっている。
当たり前になったら、もう馴染んでいる以外なにものでもない。
それがあなたの暮らしだ。
そして、私の暮らしも誰かからみれば、めちゃくちゃ変わっているのである。一年前と住んでいるところも違えば、職もちがうし、どこにいるのかさえわからない。とりあえず日本にはいるらしい。
「いつもどこにいるかわからない」なんて、私にとっては最高の褒め言葉。
今?
ここは、横浜のスターバックスだ。
パンとコーヒーを飲みながら書いている。って言いたいところだけど、私はサラダラップとアールグレイティーラテ。
いつものチャイじゃなくて、私も今日自分の飲むドリンクを変えてみたところ。たまには変えるのも楽しいでしょ?
Photo&Text. nanamedori
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ゆったりとした朝にほっとする文章を。
そんなテーマで書いている朝の読み物がこの「パンとコーヒー」です。複数のメンバーで運営しています。
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