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【エッセイ】多重夢の危険性

 新しい眠剤に変えた影響なのか、酷い悪夢と多重夢を見た。多重夢というのは夢から覚めたと思ったら、まだ夢の中にいる状態のことです。

 ここでざっくり悪夢の話を…。

 家の中に大きなムカデが2匹這って出てくる。家族全員狼狽えては逃げ惑う。なんとなく、これは夢なんだと気づくと、私はすぐさま、その場で倒れて目を瞑る。こうすると(私の場合)夢から覚めることができる。そして次に目を開けた時には自分の部屋が映し出された。
 「あぁ、夢で良かった」
 そう思ったのも束の間、再び2匹のムカデが這って出てきた。まだ夢の中だ!そう思い、また瞬時に目を瞑る。また自分の部屋が映し出された。今度こそ目覚めたと思いきや、まだ夢の中。
 何度、何度も目を覚まそうとしても無限ループで夢の中に囚われてしまう。

 最終的に私はベランダから飛び降りる形で目を覚ました。私が夢から覚める方法として使用している高いところからの飛び降り。今回はあまりに長い多重夢で疲労感は桁違いだった。
 しかも飛び降りる間際、夢の中の両親に満面の笑みでポンッと肩を叩かれた。まるで飛び降りることを「良い判断だ」と言われているかのようだった。夢から覚める方法としては良い判断に過ぎないのだが、飛び降り自殺を推進されているように見えてしまい、そのせいも相まって寝起きの気分は最悪だった。

 実は多重夢を見るのは2日連続だ。まるで沼地に落ちたかのような、もがいても、もがいても現実に戻れない感覚はあまりに不快だ。いつの日か本当に夢と現実の区別がつかなくなってしまったら…?そうなったら現実でベランダから飛び降りてしまう、なんてことが起きかねない。そんなことを考えてゾッとする朝だった。

 余談だが、夢占いでムカデというのは金運の象徴で、ムカデが出てくる夢を見た時は宝くじが当たるらしい。しかし注釈として「黒いムカデ」は違うのだそう。私が見たのは黒いムカデだった。
 そこくらいはちょっとの優しさで黄金のムカデとかにしてくれれば良かったのに、と自分の夢に文句を言ってみる。宝くじを買うのはまた今度の機会かな。

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