ななくま

医学部6年生。読むことも書くことも好きです。きちんと自分と向き合って生きていきたい。そ…

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医学部6年生。読むことも書くことも好きです。きちんと自分と向き合って生きていきたい。それをもし誰かと共有できて、もし深めあえたら良いなと思いはじめました。スキ/フォロー/コメントとても嬉しいです。

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最近の記事

イエスマンキャンペーン

「私、イエスマンキャンペーン始めたから。」 ある時、友人がこういった。 ルールは簡単、基本的にどんな誘いにもイエスと答えることだ。 人を知ること、が目的だった。いちいちのお誘いの返事を悩まないで良いという効果もあった。私たちはそんな危ないところにいるわけでもなかったから、イエスと答えることで失うものは時間くらいだった。何か新しいものを得られるかもしれないと思えば、当時暇な大学生だった私たちにとって、時間はそれほど惜しいものではなかった。 友人は毎日のように、人に会った。

    • 大人になってからの友情について

      私たちはいつもお互いに憧れていて、羨ましかった。 私には大切な親友がいる。仲良くなったのは高校1年生のとき。同じクラスだったのがきっかけだ。 育った場所も、両親の仕事も、家族構成も、趣味も、性格も違っていたことは多かったけれど、どこかとても似ていた。 いや、話をするととても楽しかったから似ていたと思っていたけれど、やっぱり違っていた。そこにあったのは相手の立場を想像して感じ、考える「共感」だったんだと思う。 私たちはよく話した。2人ともはたから見たらただの小娘だったけれ

      • ある医師にとっての死

        それは孤独死だった。 彼の実家で母親がひとり亡くなった。 母親とは生前から性格は合わず、お互い自由に生きるために、積極的には会わないと決めていた。 自らも親になった時、自分の親の尊さに気がつき感謝して大切にするようになる。よく聞くそういう展開にはならなかった。彼の場合は、両親との距離は徹底して保ち、その代わりに、自分のつくった家族をとことん愛した。 そんな、母の死にをきっかけに、自分の人生の終わりを強く意識するようになったある医師。 外からみている身には正確なところは

        • 我慢なんてしなければよかったの?

          ぐっと堪えて我慢しないといけないことがある。 傷ついてもあははと笑って流さなけらばならない時もあるし、 嫌だなと思いながらもやらなければならないことはあるし 一番偉い人が右だと言ったら右を向かねばならない時もある。 「辛くなるなら我慢なんてしなければよかったんだよ」そうやって、正論を振りかざせば、ひと吹きで倒れる。 本当に気持ちを押さえ込んで我慢しなければならないことだったのかと考えてみると、そうでもないのかもしれない。本意ではないことがあったときに自分を守るためには、意

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        • ななくまエッセイ
          28本

        記事

          医師のはじまりは孤独と共に。

          それは、病院での臨床実習が始まった日だった。 医学部では4年生頃までに授業がひと通り終わる。その後は、病院で実際に働く先生たちの元で医師の仕事を学ぶ、臨床実習という形をとる。ポリクリとかクリクラとかBad Side Lerning でBSLとか呼ばれている。 朝早い時間の集合に始まって、外来診察、入院患者さんの診察、検査、休みなく続いた。もちろん本当に忙しかったのは先生たちで、私たちはただただその様子を後ろで眺めていただけだった。17時をまわって「学生さん帰っていいよ」の言

          医師のはじまりは孤独と共に。

          時代が変わるということ。

          ある日母とカフェに出かけ、そのお店で人気のある店員さんをこっそり紹介した。 母はこう一言、「時代は変わったのね」と。きょとんとする私に母は続ける。「昔はみんなの憧れるかっこいい男の人といえば、筋肉を鍛えた強い人みたいな感じがあったのよ。でもほら彼って、違うじゃない?殴り合いの戦いはできないけれど、僕は、言葉で、歌で、あなたを愛して守ってみせます。ってそういうタイプじゃない?」 その店員さんは、本当はどうなのかもちろん知らないが、いわゆる草食系というか文化系というか、そうい

          時代が変わるということ。

          「頑張る」という言葉

          頑張るという言葉が苦手だった。 音からして無理してる。文字をみても無理してる。そうしてやっぱり言ってるあなたの顔も無理してるよ。 本当に無理しないと越えられない壁もあるのかもしれない。でもそんなの、人生ではきっと数える程。毎日使っている言葉にその無理が滲み出ていることに気づかないくらい、無理することが当たり前になっているの? あぁでも。 意味のない会話って多いと思う。これももしかしたらその、意味のない会話の一部で、すれ違った時に「おつかれさま」と挨拶するのとか、話すこと

          「頑張る」という言葉

          未来の忙しく働く私へ

          未来の忙しく働く私へ 今の私には「ストレス発散したい」と言った友だちの気持ちがわかりませんでした。愚痴を言うことや、お酒を飲むことや、旅行へ行くことでそれが発散できるといっていましたが、それも信じられませんでした。この、ストレスとの向き合い方について今の思いを書き残しておきたいと思って、筆をとっています。 私はこれまでと同じようにストレスにはきちんと向き合って、原因の中で改善できるところはしてあげたいと思っています。未来の私もそうしてあげられていますか?それとも向き合う時

          未来の忙しく働く私へ

          耳から広がる世界

          iPhoneに備わっている機能に、「画面の読み上げ」というものがある。 (最も、私もこのnoteをきっかけに最近知って使い始めた機能です。非常に役に立っているため、機能の利用方法を紹介してくださっているブログもここに掲載させていただきます。http://tetumemo.com/post-7164/) どんな画面も読み上げてくれるのだが、私の日常においては、主にkindle内の書籍を読み上げる機能として活躍している。自動で次のページに進んでくれることもあり、別の作業をしな

          耳から広がる世界

          「つまらない」出会いの後に

          今度の日曜日、お店どうしようかな。 楽しみにしてます。お店どうしましょう。 何が好きとか、行きたいお店とかある? 2人での食事を前にして、こういうやりとりが交わされることは多い。相手の好みを知らないような関係からの初めての食事だとお互い気を遣いあって、話を進めるのが難しいこともある。この時の正解について、こうしてほしい!と思うことはあるが、それは置いておいて、さっきの2人の会話に戻る。 駅前のイタリアンとか、あとは学校の近くのカフェとかどうかな? いいかも。でもそうだ、ち

          「つまらない」出会いの後に

          「私の人生あがり」と思った日

          アイスはハーゲンダッツ、服はこのショップで選んでもらって、電子機器はAppleの新商品が出るのに合わせて買い換える。迷ったらこの人に相談して、住むのはお勧めされたこの街、私はこういう性格だからこれが合っている。 選択肢がいくらでも存在する時代。選択の自由があるいうことは、時として不自由だ。何かを買うとき、住むところを決めるとき、働きはじめるとき、数々の決断のタイミングで選ぶことの楽しさよりもストレスが強調されたことはないだろうか。 状況を分析して考慮して、選択肢を丁寧に吟

          「私の人生あがり」と思った日

          小さな幸せ、なあに

          子どものころ寝る前の日課に、「小さな幸せノート」を書く。というものがあった。もちろん私は話すばかりで、書き留めるのは母の役割だったけれど。 たしか、母が何か書籍を参考に始めたはずだった。今日楽しかったこと、美味しかったもの、誰かに言われて嬉しかった言葉、そんなことをつらつらと話すと、ノートに書いてくれた。 不思議だったのは、母と話すうち、つらかったはずの記憶の中にも小さな幸せが見つかったことだった。今になってよく考えてみると、その時の小さな幸せ探しは、その日出会った誰かの

          小さな幸せ、なあに

          持っていないことの価値

          わたしは、何も資格を持ってないこと、どこにも属していないこと、そこを強みにしてやってきたよ。自分が頼り、っていうか、それこそが個性というか。 慕っているライターさんからのアドバイスに、資格というものについて考えさせられる。 若くて体力と時間があった頃、医師免許と何の資格を組み合わせたら強いんだろう、と真剣に考えていた時期があった。 やはり弁護士、それとも気象予報士なんて面白いのかも。どうかしら。そんなふらふらとした相談だった。 *** 世の中には色んな資格が

          持っていないことの価値

          始めることに理由はいるのか

          「それ、始めてどうするの」 意味ないんじゃない?無駄になっちゃうよ、と言わんばかりの返答。 何かを始める理由を聞きたくなってしまうのは、 私の中にある、始めない理由を打ち砕いてほしいからかもしれない。 *** ある時は、写真を始めようと思った。でも、素人がはじめてなんになるんだと思った。 ある時は、チェロを始めようと思った。でも、やっぱりしばらくはいい音も出せずに苦しむんだろうなと思った。 ある時は、プログラミングを始めようと思った。でも、ほかにできる人がいるし、

          始めることに理由はいるのか

          孤独が美しさを奪うとしたら

          わたしの生きていた世界は、いつももっと美しかった。その美しさに気づけなくなったとしたら、それが「孤独」というものなのかも。 「孤独」に包まれているとき、先に何も見えなかった。後ろにも何も見えなかった。周りにも何も見えなかった。 「孤独」は個人のある特定の状態を指すのではなくて、心のようすを指すのかもしれない。隣に誰もいないことではなくて、心の中に誰もいないことを言うのかもしれない。 *** 家族や仲間が居たって孤独だし、大人になったらずっと誰かと一緒なんて叶わないから

          孤独が美しさを奪うとしたら

          少し大人になったあの時

          私たちはその曲が好きだった、好きだったから聞きたかった。 私たちが中高学生のころ、音楽は、ウォークマンにいれて持ち歩くのが一般的だった。 CDを買って、パソコンに取り込んで、それをウォークマンに入れて。友だちと交換してお互いのおすすめを入れ合ったりもした。それだけじゃなくって、パソコンが得意な誰かに頼んで、動画サイトからファイルを変換してダウンロードしてもらっていたりした。いけないことだった。 「その曲が好きなら、作った人、届けてくれた人にありがとうを伝えて、応援しようよ

          少し大人になったあの時