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「セーラームーン」を読む大人

幼い私に「美しいものとは」を教えてくれた、武内直子先生原作「美少女戦士セーラームーン」の世界。原作とアニメ「美少女戦士セーラームーン」シリーズ、どちらもこよなく愛しているわけですが、なんでそんなに好きなの?と最近よく聞かれるので、気が向いたときに文章にしてみようと思います。

Kindle限定、武内直子先生監修によるオールカラー版のコミックス。
武内先生の原画はもう究極の極彩色・・ため息が出るほどに繊細で美しい。賛美の言葉しか出てきません・・はあ・・・

原作に散りばめられた、美の世界

原作第1巻で語られるのは、普通の中学生である月野うさぎ、水野亜美、火野レイ、木野まことがセーラー戦士として覚醒していくエピソード。物語の舞台は東京、麻布十番でした。
主人公・うさぎの友人なるちゃんの実家が営むジュエリーショップが妖魔に襲われるところから、セーラームーンの活躍は始まります。

ジュエリーショップという場所は、人の体を飾る小さな工芸品がとりどりに容赦無く美のきらめきを放ち、通りがかる人の心に欲を掻き立て魅了する、そんな不思議な場所ですよね。その容赦のなさから、憧れはあれど近寄りがたいお店のひとつだったりする。
そんな場所が最初の戦いの場であることに加えて、猫のルナから手渡される不思議なブローチの輝きとともに、うさぎは初めてセーラームーンに変身し、戦士として目覚めることになります。

子供の頃はただ「キラキラしたもの」という認識だったものが、成長し、だんだんにジュエリーの意味合いや魅力・魔力を理解し始めた頃の私にとってみれば、セーラームーンはジュエリーから始まる物語でもあったわけです。

ルナからうさぎたちに与えられる変身ブローチや変装ペン、必殺技アイテムであるムーンスティックやロッドたち、通信アイテムのデザイン美は、ある意味ジュエリーの世界そのもの。

ジュエリーには不思議な力が秘められていて、身につけた人を強く美しくしてくれるのだと理解した少女時代から、今はステージに上がる前に衣装を纏いメイクをし、ネックレスやピアスを身につけて、すっと背筋が伸びる…そんな気持ちは、この物語に端を発しています。

そして劇中に散りばめられた美しいアイテムを操り、信念を胸に迫りくる敵と戦う美しい5人の戦士たちの美しい活躍を、私はただただ憧れの眼差しをもって読み耽っていました。
登場人物は中学生という設定を忘れるほどに全てが大人びて描かれていて、読んでいる自分よりも登場人物の方が年上なんだけど、現実味がないほどには離れておらず、共感と憧れを抱くのも当然だったなあ、と。

ロイヤルコペンハーゲンのお皿、ガレのランプ、アンティークの鏡、香水、ティファニーのパロマ・ピカソなどなど、劇中で登場人物たちの愛用品として登場する品々は、実際にお店にいけば見ることのできるものでした。
「クリスマスや誕生日にはボーイフレンドからティファニーを贈られる」という時代背景は連載当時現実にあったし、ちょっとマセてる子供ならギリギリ知ってる情報だし、憧れを煽る要素だし、そういうものが少女漫画に描かれるというのも、面白いものです。

気が向いたらつづく

🌙セーラームーン好きすぎて、チェロの多重録音で「タキシード・ミラージュ弾いてみた」ので置いておきます。良かったらどうぞ💕

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