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チェロ初心者さんのテクニカルレベルをアップするかもな、ドから始める7日間基礎トレチャレンジ #0

楽器のおけいこって、けっこうフル回転ですよね。
楽器の構え方と持ち方を習い、音の出し方を習い、楽譜の読み方を習い・・レッスンの時間は覚えることがいっぱい。
それを終えたら今度は、習ったやり方を自分向けにカスタマイズするとか、自分にとっての良い方法とは何かを探す、自主練習の時間が始まります。

レッスンで習ったことを自分のものにするためには、動作を限界まで細かく小さく単純化して、体の感覚に擦り込むことがポイント。少しずつ少しずつ体の感覚に正しいやり方を擦り込んでいくことが、上達への1番の近道です。それを実現するために、楽器を開けたらまず基礎練習の時間をとること。これでぐっと練習の効率がよくなります。

「ちょっと忙しくて今日まで楽器開けてなかったから、なんだかレッスンの内容が時空の彼方へいってしまったなあ」とか、経験ありません?
そんなときでも、自分の基礎練習ルーティンを持っていると、感覚が戻りやすくなります。

しかしながら先生がそう言うは易し、物事はそう簡単ではありません。可処分時間が限られる大人のアマチュア・チェリストさんたちは忙しい。限られた時間の中でチェロをやるのだから、自分の弾きたい曲を弾いていたいし、できれば楽して早くそれらの曲を弾けるようになりたい。オーケストラに所属しているので休日はオケ!個人練習時間はない!レッスンの時間が個人練習の時間!などなど・・

個人レッスンの先生と生徒さんの間に起こる基礎練習へのギャップは、こういうところにあるのではないかという仮説のもとに、「だったら基礎練習の時間を限界まで短くして、楽器あけたらすぐに取り組めるようにしたら良いんでないの?」と思うわけです。
ムリのない基礎練習のやり方を、私は考えてみたくなったのでした。

音階練習、お嫌いですか?

初心者さんやアマチュアさんのレッスンをしていると、音階練習についてはいろいろと話を聞きます。やる理由がよく分からないとか、やりたい曲を弾くことが最優先だとか、そもそも音階練習を習っていないとか、本当にいろいろ聞きます。
状況は人数分違うわけですから一概には言えませんが、音階練習を含む基礎練習をあんまりやってこなかった人というのは、その必要性や習慣化についてのきっかけに出会わなかったのではないかと思います。
私も子供の頃には、何でやらなきゃいかんのか分からなかったもんです。
理由やメリットがわからなきゃモチベーションにもならないのが、人間というものではないでしょうか。

じゃあ基礎練習って何なのよ、メリットはどうよ?問題

10人の音楽家に「基礎練習ってなんでするの?」って聞いたら、10通りの答えが返ってくるでしょう。より音楽に没頭するためのリチュアルだったり、ストレッチのようなものだったり、音楽を理解するためのTIPSだったり・・でも根っこは一緒。
楽器を弾きながら、自分の耳と心と体をチューニングしているのです。

基礎練習をすることで、

・覚えやすい単純な動作を行いながら体の感覚にフォーカスするため、その日の自分のコンディションを掴むことができる。(ボディスキャンに近い感じ)
・指や腕があたたまって、動作性が高まる。
・音楽の素材=音階を弾くことで、表現したい音楽に対する「出したい音のイメージ」を膨らませることができる。

少なくともこのあたりのメリットは得られるはず。

特に最近の世の中はマインドフルネス流行りですが、慣れてくるとチェロでマインドフルネスできちゃうかも。単純な動作の中で、ありのままに音、手や指のパーツ、BPMを体で感じるという意味では、瞑想に近いものがあるかもしれません。
皆さまにおかれましては、心地良いストレッチのつもりで取り組んでいただくのが良いかと存じます。

ドから始める7日間基礎トレチャレンジに向けて

さて、そんなこんなで初心者さん向けの基礎トレシリーズ第一弾をこれから始めていくわけですが、今日はチャレンジを構成するにあたり、大いに参考にした本についてご紹介したいと思います。

定番基礎トレ本

今回の基礎トレメニューの参考文献はこちら。
「日課練習曲 ルイス・フォイヤール著 (1919年出版)」

100年も前から使い続けられてきた、チェロ基礎練習のバイブル中のバイブル。内容充実・超機能的、うまく使えば一生毎日の指遊びに困りません。できることが増えてきたかな?という初心者さん用エクササイズにもアレンジできますし、それこそ業務用まで、幅広く対応できます。

昔は銀の表紙だったけど、最新のものは赤いんだな。あなたが落としたのは銀のフォイヤールですか、赤のフォイヤールですか、それとも白いフォイヤールですか。

現代チェロ奏法は1900年代初頭にはほとんど出来上がっておりまして、この時代に出版されたチェロ奏法の教本は、今なおポピュラーに使い続けられているものが多いです。これまた有名な「スケールとアルペジオの練習」を書いたJ. レーブや、基礎練習曲集の編纂に力を入れたA.シュレーダーなんかもこの時代周辺の人です。こちらも参照しています。


基礎練習用教本は用法容量を守ってお使いください

トップページには、フォイヤール氏からのメッセージが書いてあります。

毎日この5つのテーマそれぞれから、いくつかのエクササイズをしましょう。最初はゆっくりと、徐々にペースをあげて。整然とむらなく演奏されるよう、注意をはらってください。

偉大なチェロ教育者から1919年に発せられた、全てのチェリストに向けた暖かいメッセージと私は解釈しています。ステキだ。

しかし初心者マーク〜慣れてきたかな?くらいのうちは、けっこう大変。
理由は簡単、1ページあたりのオタマジャクシの数が多くて「うっっっ」となる譜面ヅラなのです。譜面読むのに慣れてないとゲシュタルト崩壊するんじゃないでしょうか。
「いや、私は譜読みは割とできるし早い」という方ですと、モチベーションはやたらと高いが手の基礎体力がない状態で立ち向かうパターン。
これ、指が攣ります。アブナイヨー。

基礎練習 程よく正しく 無理をせず

が、大切です。 

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音階練習の意味について20年くらい悩んだ私がお届けする、チェロ初心者さんに役立つカンタン基礎練習集。1日15分7日間のチャレンジで、自分なりの効率良い基礎練習のやり方・組み立て方がわかります!

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