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夢の世界大会へ
2024年9月、イタリアで開催された世界大会に出場した。
念願の世界大会。
私は2011年から「ブラインドテニス」というスポーツを楽しんでいる。
「ブラインドテニス」は、視覚障害があっても楽しめるテニスで
鈴が入ったスポンジボールを打ち合う競技である。
視覚障害者が楽しめるスポーツの多くは
ボールを転がすものが多いが
「ブラインドテニス」は3次元にボールが飛んでくる。
そのため、他の競技に比べて難しさもあるが
ボールがラケットに当たった時の爽快感は何とも言えない。
初めて、ボールを打ち返せた時の感動は今でも忘れない。
私は「ブラインドテニス」と出会うまで
運動とは無縁の生活を送っていた。
生まれつき目が見えにくく
目の病気の関係で
子どもの頃は運動は禁止されていた。
球技なんてもってのほかだった。
学生時代の体育の授業はほぼ見学だった。
皆と同じようにやりたい気持ちもあったが
叶わなかった。
周りの同級生からは
「元気なのに見学してズルイ」なんて言葉も浴びせられ
悔しい思いもたくさんした。
そんな私だったが、2011年のある日。
友人が「ブラインドテニス」の体験会に誘ってくれた。
自分に運動なんてできるわけがない。
ましてや球技なんて…という思いもあった。
しかし、その年の3月11日、東日本大震災が起こり
明日は何が起こるか分からないという状況の中で
気になることはやってみよう!という思いに駆られ
参加してみることにした。
どうせ空振りばかりだろうと諦めていたが
ラケットにボールが当たった。
え?当たったの?
信じられなかった。
それから「ブラインドテニス」の沼にはまり十数年。
最初は数カ月に1度練習に参加する程度だったが
月に1度、週に1度と練習頻度が増え
試合にも出るようになった。
勝てない時期も長く続き
やめようかと思う時もあった。
しかし、10年経って、ようやく勝てるようになってきた。
現在では、国内ランキングは1位。
まさに継続は力なりである。
国内で勝てるようになると
自然と目は世界に向いた。
世界大会に行きたい!
何度か参加するチャンスはあったが
実現は叶わなかった。
コロナもあり、大会自体が開催されない時期もあった。
2024年9月。
長年の夢がようやく現実のものとなった。
世界のレベルの高さを肌で感じ、心が震えた。
残念ながら、思うような結果は残せなかったが
そこに身を置けたことに大きな意味があった。
運動とは無縁だった子ども時代。
まさか、大人になって
自分がスポーツを楽しむようになるなんて。
世界大会に参加する日が来るなんて。
想像していなかった未来がそこにはあった。