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蝶に人生を教えられた話

 ーこんにちは。お目にかかれて嬉しいですー
 
 数年前、抜けるような青空の中ハラハラと何かが舞ってきて
花屋の店先の花へと吸い込まれて行ったので「なんだろう」と近づいて見てみると
羽がボロボロのアゲハ蝶がそれは必死に蜜を吸っているのでした。
あまりに必死な姿に健気さと微笑ましさを感じ
「写真に撮ろうかな…」と思ったのですが
その場を離れました。
と、その時、昨晩の天候を思い出したのです。
台風の上陸で吹き荒れる雨風、そして朝は塩害で電車も
停まってしまった程でした。
「蝶はあの天候の中生き抜いて、今必死で蜜を吸っている」と気づいた途端
あの暴風雨の中、蝶がどのように過ごしたのかと思い巡らし
地球で生きていく過酷さに胸が詰まりました。
生き抜くためには蝶ですら必死なのだ、と。
人間である自分も、蝶とは違えど生きることには必死なわけで…。
胸にグッとくる熱いものが込み上げ
「蝶の姿を写真に収めとこう」と戻ってみると
蝶はハラリハラリと舞って行ってしまいました。
今でもあの光景を思い出すと
「地球で必死に生きる姿」を蝶から教えられた気がします。
生きる次元は違っても地球の同空間で生きる
生物同士の一瞬の交流から学ばせられた
忘れられない出来事でした。
              ーおしまいー







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