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フリーゲーム「きまぐれシャノワール」制作裏話まとめ&設定資料集(後編)

こんにちは! シナリオ担当のナナです。
こちらは、当サークルが制作しました女児向け風ファンタジーADV「きまぐれシャノワール」の設定や裏話をまとめたnoteです。X(Twitter)や、過去にこのnoteで語ったことをまとめ直している部分があります。

後編では「各ED解説」「舞台、モチーフについて」「その他細かい裏話」などについてお話しています。前編と違い最初からネタバレになっておりますので、コンプリート後の閲覧を推奨します!!

↓前編はこちら↓


!!!! 以下ネタバレです !!!!



各EDについて

マルチエンディングは、ゲーム版ならではの試みで、原案(小説版)ではできなかったことでした。今まで一本道シナリオのゲームしか作ったことがなかった私にとっては楽しい挑戦でもあり、その分悩みどころでもありましたね。

特にバッドエンドは、正直楽しみながらシナリオを書きました。以前Xでハッピーエンドの使者という称号をいただいたことがありますが(笑)、実際ハッピーエンドが大好きで、今まで作ったゲームもそのような世界観が強いです。前作キミまで700kmなんて遠距離恋愛の切なさはありつつも、不穏要素はかけらもないゲームです。ただ、ハッピーエンドが存在するという前提であればバッドエンド自体は嫌いじゃない……ということもあり、「一度は悲しい結末も描いてみたい!」と思っていました。
そして生まれたのが……

BADED1「せめて、こんな夢」

7章であきらめる選択をするとこのEDに到達します。

魔王の圧倒的な力を目の当たりにしたみのりが、自分の無力さを痛感、すべてを忘れようとして……というEDです。この結末を迎えたことに自責の念を抱くプレイヤーさんがいらっしゃいましたが、この展開を作ったのは制作者なので決してプレイヤーさんは悪くありません……

このEDでは、平穏な毎日は戻ってきたものの、ロダンが存在していた痕跡は消えてなくなり、彼と出会ってみのりが得たものはすべてリセットされてしまいます。それでも「平和に過ごせるなら(もう怖い思いをしなくて済むなら)かまわない」と思っているみのりでしたが、いつしか自分をなじる何者かの幻影に悩まされるようになり、少しずつ精神が壊れ始めます。

かつて一緒に笑い合ったロダンの面影は、もはやどこにもありません。
ショッキングな展開ですが、これはこれで嫌いじゃないです

家に引きこもるようになったみのりの前に、ついに姿を現したロダン。
怯える彼女に対し「裏切者」と責め立てますが、それは魔王が姿を変えたもので、ロダン本人ではありません。
が、今のみのりにはそんな冷静な判断をする余裕もなく……恐怖のあまり卒倒し、魔王の根城に連れ去られてしまいます。

実は、このEDを思いついたのには、あるきっかけがありました。

以前お見かけして笑いつつ「確かにそう!!! でもそうしないと話が進まないんだよね」と思ったことがあるのですが、気づいたんです。
「何故か主人公だけ見逃す敵」って、魔王もそうじゃないの!?!? と。あれだけ憎しみを向けていた勇者の末裔まつえいが、こんなに無防備な姿で目の前にいるんですよ。でも「みのりはアンナと違い、力のないただの人間であり、どうせ何もできるわけがないから」と、まさに捨て置くわけです。セオリー通り、その油断が敗北を招くことに……結局、そうしないと話が進まないんですけど
そう考えていたところ、「じゃあ逆に、実質みのりたちが敗北する的なEDがあったらどうなるのか」と思いつき、このEDが生まれました。(結果的には敗北というより全滅になってますが)

自分で作っておいて何だけど、すごくいろいろ教えてくれるね!?笑
魔王はキャラデザが原案から変わった関係で、一人称を「我」→「私」に直したのですが
現行バージョンではここで「我」のままになってました……

このEDの特筆すべき点(と、自分で言う)は、2章の終盤でみのりを精神攻撃するため魔王が口にした言葉「お前など無価値」が、そのまま再登場することだと思います。2章ではロダンの助けや、彼に「自分の価値は自分で決めろ」と喝を入れられたこともあり、みのりは立ち直ることができました。
しかし、かつて守ってくれたロダンからは強い憎悪を向けられ、もはや壊れてしまったみのり。魔王の言葉をただただオウム返しすることしかできません。なぜならロダンを見捨てた事実が消えることはないから。

実際のロダン本人はあのあと、魔王に取り込まれてしまっていました。しかしその自我は完全には消えておらず、みのりが壊れていく様子を魔王の目を通し、何もできないまま見つめていました。自らの手でみのりにとどめを刺した瞬間、ロダンは自分の身も引き裂かれる思いがしたかもしれません。

自身も致命傷を負ったロダン。動かなくなったみのりの手にすがり、
泣きながら声をかけ続け……
あんなに強気だったロダンは、こんな風に泣くんですね……

ロダンの両親が遺した、究極の魔法。それは「本当に大切なものを守りたいと思ったときに」使うよう、託されたものでした。大切なものを守ろうとする気持ちはきっと、愛だと思います。しかしロダンはここで、愛とは真逆の感情憎しみから、究極の魔法を発動させてしまいます。それはそうなるだろうな、とも思うんです。何よりも大切な存在になっていたみのりと自分の関係を引き裂かれた上、目の前でその最期を見せられたわけですから……

最後に、ロダンが「せめて、こんな夢」を見てそのまま……ってなったらまだ救われるかな?と思ったのですが、テストプレイしたむかいかわずさんには「より悲しみが深まっただけ」というようなことを言われました笑
この夢って、7章でロダンが願った「ありのままの自分でいられて、日本もカペラ王国も自由に行き来できる」世界なんですよね……

余談その①
バッドエンド1、いろいろ考えては没にしまくりました。
一番最初に思いついたのは、魔王がみのりの心を壊すために、ロダン以外でみのりの一番大切な人(つまりおじいちゃん)を消す→それをきっかけにみのりがどんどん精神崩壊していき……という展開です。何なら斎場の背景も探したりしていました。でも、あまりにも悲しいし、「バッドエンドとはいえ、児童向けコンテンツあるある(?)主人公の祖父母が途中退場するパターンはやりたくない」と思い、やめました。

他にも魔王が、カペラ王国だけでは飽き足らずみのりの世界も支配しようとし、チェーザレ教(!?)的なものを作って少しずつみんなを洗脳していくホラー的なストーリーも頭にありました。でも私にとてもそれを書く力量はなく、またそんなセンシティブな題材を扱う度胸もないと思い、断念……

余談その②
むかいかわずさんがテストプレイした際、イメージがわかりやすいよう、ティラノビルダーのテキスト配置機能による注釈を入れていました。BADED1にはこのような文言(衝撃展開なので、シチュエーションが明確にわかるスチルじゃなくていいという意味)を入れていたのですが、仮申請時にうっかり消し忘れてしまい肝が冷えました。何の話だこれ

再現しました。絶対にプレイヤーさんに見られてはいけない


BADED2「Le papillon noir」

8章で、魔王に恐れをなした場合、このEDに到達します。
むかいかわずさんには「ここまで頑張ってきたのに急にそうなるか?」と言われましたw

実は当初、悲しい結末はこの1種類のみを想定してしまいました。でも、最後まで書いてみるといい話風になってしまったので、別途考案したのがBADED1です。

BADED1ではみのりが殺害されますが、こちらではみのりを守ろうとしたロダンが命を落としてしまいます……おばあちゃんの言葉「魔王の魂を一瞬でもエーテルハートから引き離せば」を覚えていたみのりは、とっさにノエル王子の剣を取り、エーテルハートを破壊。魔王は完全に消滅します。
余談:ここは実は、ハリー・ポッターと秘密の部屋のクライマックスをヒントにしました。あのシーン、かっこいいですよね

王国は救われたものの、ロダンは動かないまま。冷たくなった彼を前にして半狂乱になり、泣き崩れるみのり(真白かなさんの熱演が、またすごい)と、静かに悲しみをこらえるエリザベートさんの対比がね……もうずっと忘れられません。

みのりのこの表情差分が使われているのは、このシーンだけです
もしかすると、エリザベートさん自身が過去に
亡くなった人をよみがえらせようとした経験があるのかも……

そのあと駆け寄ってきたカーバンクル姉妹の妹・エルフリーデを見て、「石にされたと聞いたけど無事でよかった」と、彼女の身を案じる発言をするエリザベートさん。弟子を失ったばかりの状況でです。それを受けて「私のことなんかどうでもいいです!」と、泣きながらエリザベートさんの心中をおもんぱかるエルフリーデ。このやりとりも印象に残っています。

他にも印象深い点がたくさんあって、私が一番好きなのは、みのりがエリザベートさんに「自分のことでいっぱいで、エリザベートさんの悲しみを考えることができなかった」と、かつて「ロダンを生き返らせられないか」と言ったことを謝罪する場面です。

涙ながらにエリザベートさんに謝罪するみのり。
ずっと気に病んでいたのかもしれません。

このEDは、(悲しい結果になってしまったとはいえ)ロダンがみのりを守ろうとしたこともそうですし、こうやってみのりがエリザベートさんを気遣ったり、そのエリザベートさんもみのりに最大限寄り添おうとしていたり、ロダンと対立していたグレアムやトビアスも花を手向けてくれたり。他のカペラ王国の住人もみのりのことを大切に思っていて……いろんな人の温かな心を感じられるところが、私は好きです。

最後の蝶ですが、実は当初「帰る場所を奪って、本当にごめん」とロダンの声が聴こえる演出を考えていました。事実ロダンならそう思うでしょう。でも「たとえ魂だけの存在になって声が出なくなってしまっても、心はそばにいることをただ伝えたい一心で会いに来た」という方がいいかなと思い、やめました……

カラーリングは黒と翠……

このエピソードは、私の母が「おじいちゃん(私の祖父)のお墓参りに行くと必ず蝶が飛んでいるから、おじいちゃんなんだと思っている」と言ったことがヒントになっています。実際、私が行っても、いつも蝶がいるんです。私自身は祖父に会ったことはありませんが、ゲームを制作していて「帰省したらまたおじいちゃんのお墓参りにいこう」と思いました。

このような形であっても、夢を叶えたみのり。エリザベートさんをはじめみのりを愛してくれる人たちは間違いなくいて、そしてあの再会があったからこそ、みのりはこれからもこの世界で生きていけるだろうと思っています。

でもそれは以下のハッピーエンド2種があるからこそいえることで、正直なところBADED2種を正規EDと言いたくはないですねw

友情ED「港の見えるあの丘で」

このゲームの結末4種類の中で、一番先に生まれたエンディングです。
原案(小説版)は、その媒体上、こちらの結末のみとなっていました。
「みのりにもう一度会いたい」と願ったロダン。その願いは叶うけれど、代償として魔法の力を失います。そしてみのりはロダンのことを覚えておらず……というシナリオのEDです。
ただの猫になったロダンは、みのりと話すこともできなくなってしまいますが、それでも彼女のそばにいられることを喜んでいる様子が窺えます。時折塩対応ですが

名前欄に「ロダン」と書きそうになってしまったことが
何度もあります。絶対にあってはならない。

このEDの一番の魅力は、なんといってもタイトル回収がされることでしょう。みのりが「きまぐれシャノワール」というワードを思いつくきっかけになったポスターは、実在します。現在著作権が切れておりパブリックドメインとなっているため、ゲーム中のカットにもそのまま登場させています。とてもオシャレで目を惹くデザインですね

小説版もくじの左下のねこちゃんは
↑のポスターの子をデフォルメしたイメージです。

他の見どころとして、翔太とほのかが復縁したことを心から喜ぶみのりのエピソードや、そして翼と真帆の恋の顛末があります。恋愛EDでのふたりは、大人になり結婚したことが間接的に語られますが、こちらではしっかり登場した上で結ばれたのがわかるので、私も見ていて微笑ましかったです!
このエピソードも過去に書いた番外編をヒントにしています。ちなみにこのファミレスは私の愛してやまないサイゼリヤさんのイメージで書きました。が、ゲームで実際の背景を使うのがいいかわからなかったのでみんちりえさんの背景をお借りしています

ロダンに関する記憶をなくしたみのりの前に、エリザベートさんが姿を見せるシーンも外せませんね。どうやってこっちにやってきたのは謎ですが、エリザベートさんもきっと、みのりとロダンに元通りの関係に戻ってほしかったのでしょう……
最初はもちろんそういうつもりでは書いていませんでしたが、その後エリザベートさんと真帆が如月彩葉さんの二役になり、結果的に中の人つながりキャラの共演シーンになってしまったのはちょっと笑いましたw

なお、このエンディングは終始みのり視点であり、ロダンも一部場面を除いて話すことができませんが、ロダン視点のサイドストーリーがあります。

例によってゲーム化する前に書いたもののため、ロダンがカペラ王国からそのまま追放されてしまっていたりと、ゲーム版との差異はありますが「あのときロダンは実際にはこう言っていたのか!」というのがわかりますよ!
せっかくなのでここでひとつ解説すると、このシーンでは……

「ル・シャノワール」のポスターを見たみのりの感想に対して
めちゃくちゃ不満そう。
本当はあのとき、こう言ってました!

ちなみに大人になったみのりが、ロダンとともに(?)カフェを経営しているというラストシーンは、原案を書き終えたときにはまだ存在していなくて、読者さんの感想から生まれたものです。(ありがとうございます!!)
ふたりはきっとこれからも楽しく仲良く、暮らしていくことでしょう。

余談ですが、大人になったみのりの髪型にご注目ください。
このときと同じ髪型なんです!!

恋愛ED「まだ見ぬ世界を、ふたりで」

そしてこちらは、ゲーム版書き下ろしのハッピーエンドで、本編から10年後人間になったロダンが、大人になったみのりと結婚するというものです。このEDには本当にいろんな思いと葛藤があって……順に解説していきます。

最後は、エリザベートさんから投げかけられた二択のどちらかを
ロダンが選択するという形にしようと決めていました。
大人になったみのり。
なりたい職業に就いたものの、理想と現実のギャップを感じているようです

上述しましたが、原案には友情EDしか存在していませんでした。でも本音を言うと、制作者はみのりとロダンに結ばれてほしかったんです。愛情や関係性にもいろんな形があり、優劣も、どれが正解とかもないと思います。ただあくまで私個人の好みとしては、恋愛関係になったふたりを見てみたいという気持ちがずっと消えずにいました。

しかしそれをやるとなると、ストーリー中に伏線をもっと貼らないと唐突だろうなとか、今からそれに合わせて本編を改変するのは難しいという気持ちがありました。私がこの作品をゲーム化したかった理由のひとつとして「マルチエンディングが可能なゲームという媒体なら、私の書きたかった結末も作れるし、プレイヤーさんに好きな方を選んでいただけるのでは」というのも大きかったです。

でも「種族も、生まれ育った世界も異なるふたりが結ばれてハッピーエンド」となると、私の技量では、ロダンが人間になり、みのりの世界でともに生きていくという結末しか思いつきませんでした。
きっと、少し前ならよくあったハッピーエンドでしょう。でもこれって、特に今の価値観だと「それは本当に幸せなのか?」という人も多いかもしれません。
いわば少数派であるロダンが、人間という多数派のみのりに合わせて、人間になること。自分を犠牲にするとか、自身のアイデンティティを軽んじているともとれるかもしれません。また、この手の「どちらかが自分の世界を捨てて、恋愛が成就する」結末の感想を見ていると、たいてい「残された家族や仲間のことを思うと……」という声がちらほらあります。確かに、自ら弟子を送り出したエリザベートさんはともかく、ロダンを慕うカーバンクル姉妹をはじめとする後輩たちはどんな気持ちだったのでしょうか。すべてを思い出したみのりが「本当によかったのか」とロダンを気遣う台詞を口にしているのは、そういった苦悩の痕でもあります……
「そういう堅苦しい話じゃなくてシンプルに原型(人じゃない姿)の方が好きなんだよ!」という人もいるかもしれませんが

他にも、もっと現実的な問題として「もともとは異世界の存在だったロダンが人間になったとして、その経歴は人に話しても信じてもらえないことばかりで、今後あらゆる場面で困難がつきまとうだろう。そういったハードさを抱えて生きていくのは並大抵のことではない」という思いもありました。
コーエーテクモの乙女ゲーム「遙かなる時空の中で」シリーズでは、異世界側の攻略対象が主人公の世界にやってきて結ばれるエンディング(通称:帰還ED)がありますが、プレイヤーとしては「ふたりがずっと一緒にいられてよかった!!」と思うんです。でもこれが自分のゲームになるとどうしてもいろいろ考えてしまいますね……

switchでやってみたい

以上の理由で、好みが分かれるであろうことはわかります。実際、小説版のときに「みのりとロダンが恋愛関係にならないのがよかった」という感想をいただいたこともあります。それも理解できるんですよ。「友達」という関係性にしかない尊さ、ありますし、Xでも「恋愛関係にならない男女コンビがメインの話はもっとないのか!?」というpostが定期的にバズりますしね。(でもこれは本当に好みの問題であり、恋愛と友情どっちの方が価値がある、というものではないと思います)
事実、公開してからも、コメント欄では友情ED派と恋愛ED派に真っ二つに分かれているように見え、すごく興味深いです(笑)なおイラスト担当さんには、最初恋愛EDは「予定調和すぎる。」と不評でした……

「ロダンがありのままの姿でみのりと結ばれるのはダメなのか?」という声もあるかもしれません。もちろんそういう未来もあっていいと思いますし、私も見てみたいです。でもそれをやろうとすると、奇異な目で見る人が誰もいない理想郷にふたりで行くか、表向きは飼い主とその猫だけど本当は恋愛関係なのは誰にも秘密で、自分たちが想い合っていればそれでいい、みたいなインモラル感漂うEDしか思いつきませんでした。この作品の世界観には合ってない気がしますw

ロダンが劇中で見つけた夢は「みのりと一緒に、いろんな世界を見ること」です。それはおそらくロダンが猫の姿である友情EDでは、全く不可能ではないにしても難しく、原案を書いたあとも「ロダンの夢、本当の意味では叶えてあげられなかったかな」とずっと思っていました。
彼にとって幸せとはいったい何なのか……と考えたとき、やはり制約なく自由に動けて、なおかつみのりとずっと一緒にいられることなんじゃないかと思い、このような結末になりました。

めちゃくちゃ余談ですが、うる星やつらのアニメで、故郷から追いかけてきた婚約者を嫌がりまくるラムちゃんに諸星あたるが「同じ種族同士で結婚する方が幸せだぞ」と言っていました。

今それを思い出すと何ともいえない気持ちです。だってその方が絶対書きやすいんですもん。前作「キミまで700km」の薫と花梨なんて、遠距離恋愛という障害はあったかもしれないけど、結局人間同士ですからね。(何の話だ)

前置きが長くなりましたがこの結末は制作者としてはとても気に入っています! みのりとロダンが結ばれる可能性を6年探し続けて、やっと形にできたわけですから。それに、原案と違って魔王に救済措置があったり、おじいちゃんがもう一度おばあちゃんに会うことができたりと、これはもう大団円EDといっていいと思います。

今まで社会人主人公の現代もの恋愛ゲームばかり作ってきたため、主人公が女子高生だったりファンタジーや魔法の要素があったりと、シャノワールは初めての試みがたくさんあり楽しかったです。
しかし恋愛EDにてみのりが大人になったことで感情移入度が急に上がり、これはこれで楽しかったんだなと思いました。かつての夢を叶えたものの毎日はハードであり、また失恋した直後という、第1章を彷彿させる展開からのはじまり。とはいっても彼氏の二股が発覚し見切りをつけるという、淡い初恋をしていた頃とは全く違う、重ためシチュエーションになっています。ずいぶんな始まり方ですが、こうすることでみのりがロダン(人間)を恋愛対象として意識するのに説得力が生まれるかな、と思ったんです。

みのりがナンパ男に絡まれているところへ助けに入るロダン(人間モード)
これ、キミナナのスピンオフ漫画でもやった気がするけど
いいんです。乙女向けコンテンツの定番だから
じわじわくる。

助けてくれた人が、引っ越し先のアパートの隣人だった……という、ある意味お約束展開に。みのりは何も覚えていないながらも、優しいロダンに好感を持ち、ロダンも彼女のそばにいられることを喜びます。しかし、先走って過去のことや自分との関係を話して、混乱させたり怖がらせるのも……という思いから、なかなか本当のことが言えずにいるようです。ちなみに、みのりがロダンに差し入れたケーキは、最初はモンブランだったのですが「どうせなら6章で作ってたのと同じバナナシフォンケーキにしよう」と思い、そうしました。

ケット・シー時代の不遜さはなりをひそめ、ずいぶん落ち着いたロダンも
みのりの元彼の話には怒りを隠せない様子。
(嫉妬イベントが見たかっただけともいう)

ある日高熱でダウンしたロダンが、みのりに看病されている最中(これもまたお約束である)、うわごとでカペラ王国のことを口走ったのをきっかけに、みのりは謎の記憶のフラッシュバックと「過去にロダンに会っているかもしれない」という疑惑に悩まされるようになります。公園で出会った少年(その正体は……)にも背中を押され、決意したみのりは……

私も見たかったんです。この瞬間を。

想いが通じ合う瞬間のスチルはもともとなかったもので、むかいかわずさんが「何でこの一番盛り上がる場面でスチルがないのか?」といって描いてくれたのですが、ガチの乙女ゲースチルになっており、一緒に動作確認してる際「これどんな顔して見てればいいの?」と思いました……(笑)

遠回りしたものの、世界も種族も超えて結ばれたふたり。ロダンは、かつてみのりの祖父に語った彼女への想いを、ようやく本人に告げることができます。このあとみのりの家族に挨拶したり、あの少年に再会したり、そしておじいちゃんの前におばあちゃんの幻が現れたりとハッピーの塊(他に表現ないんか)みたいなシーンが続きますが、特に私が気に入っているのは……

大人になったな、ロダン……

体裁的には恋人の両親に挨拶するというものですが、10年前によくしてくれた彼らにもう一度会えた、ロダン自身の本心でもあると思います。いくらみのりのことを好きだとしても、ケット・シー時代のロダンには、逆立ちしたってこんな台詞は口にできなかったでしょう。彼の成長が垣間見えるシーンで、とても印象に残っています。おじいちゃんも言ってますが、時を経てみのりの家族は、ロダンにとっても家族になるんですね。

シーンは飛んで、海の上。明言はしていないものの、ふたりは新婚旅行中です。何名かの方が気づいてくださったのですが、その行先は……

昨年私が個人で制作したゲーム「ふたりだけのPARADISO」の舞台、サンノヴァ島です。当初は過去作クロスオーバーは考えていなかったものの、最後の描写に悩んだ結果「恋人の聖地的なイメージの場所だったし、寒い国育ちのロダンにも新鮮だろうし、いいかもしれない」と思いました。
人魚伝説の詳細が気になった方! こちらはシャノワールとは違って15分くらいでプレイできる短編サウンドノベルです。南イタリアっぽいリゾートアイランドに、ぜひ癒されに来てください!

人魚といえば制作当時、リトルマーメイド(アニメ、実写両方)を見て大ハマりしていました。リトルマーメイド2の方はめちゃくちゃ見たけど、1は最近になって初めて見ました。なぜこんな名作をすっ飛ばして2にいったのか
シャノワールの恋愛EDが、男女が逆とはいえリトルマーメイドを彷彿とさせる結末になったと思い(ファンの方ごめんなさい)、劇中で主人公アリエルが歌う名曲、パートオブユアワールドのオマージュ曲を依頼するのはどうかと途中まで考えていたことがありました。が、ボイス依頼で手一杯になりそこまでの余裕がなく……断念しました

今は亡き神田沙也加さんのカバー、とても良いですね……

そして、これを語らずには終われません! ラストに登場するエリザベートさんのナレーションです。といってもこのラストシーンは、途中から生まれたもので、もともとは存在しませんでした。きっかけとなったのは、真島こころさんが募集していたテーマ曲制作企画です。

こちらで依頼し、作っていただいたBGMがとてもよかったんです。ミステリアスながらも爽やかなワルツ風の曲です。どのシーンで流すべきか悩んでいたところ「いや、むしろこの曲に合うシーンを作ればいいのでは!?」と思い立ちました。そして生まれたのが、あのエリザベートさんの最後の語りです(友情EDのラストシーンやあとがきでも流れていますが、こちらにも合っていますね)。最後まで見てくれた人へのごほうび的な場面にしたいと考えたときに、プレイヤーさんを見送る役目はエリザベートさんしかいないだろうと思いました。結果、最高の語り部になってくれました

また、このシーンは私のこだわりにより、フルボイスになっています。
如月彩葉さんから納品された音声データと、BGMを初めて合わせたときに、あまりにもぴったり合っていて衝撃だったのを覚えています。

エリザベートさんが言いそうな「ごきげんよう」ではなく
あえて「またね」なのは……
またプレイヤーさんに会いたいと思っているからです。

なお書き下ろしBGMはこの動画にも使わせていただきました。

ここまで書いてきて明白なのは、制作者の恋愛EDへの思い入れが、他のEDに比べて明らかに違うなということですね……実は最初は友情EDがハッピーエンド、恋愛EDがアナザーエンドという名称になっていましたが、エンディングに優劣がある印象を与えてはいけないと思い、今の名称に変更した経緯があります。恋愛EDについてめちゃくちゃ語ってからそんなこと言っても説得力がないと思われるかもしれませんが友情EDも恋愛EDもどちらが上というものではありません! あなたが気に入った方がトゥルーエンドです

余談。この台詞は……
ここにつながってます。
(これだけ見ると絶対誤解されそうなスクショ)

舞台、モチーフについて

こちらの項目では、このゲームの舞台である「みのりの住む現代世界」「カペラ王国」について解説していきます。

現代世界

プレイしてくださった方はおわかりかと思いますが、みのりが住んでいる街は広島県広島市です。前作キミまで700kmと同じですね。作品として誕生したのはこちらの方が先ではありますが……
後述のように実在の場所がたくさん登場しますが、キミナナと違って位置関係がガバガバかもしれません

みのりがこのあと、ロダンと出会う場所は……
ここです。広島市南区の路上
この場所も……
キミナナに出てきました。
せっかく同じ街が舞台なので、薫と花梨をカメオ出演させたかった……

正直、ご当地ものであるキミナナと違って、シャノワールの舞台は別に広島じゃなくても成立するとは思います。ではなぜそうしたかというと、劇中に何度も登場する「魔法の丘」のモデルになった場所に、強い思い入れがあったからです。検索したらむかいかわずさんの書いたnoteが出てきて、今から書こうと思っていたことが全部書かれていたので(笑)、せっかくなので引用します。この中で紹介されているコミックには、前作キミまで700kmの主人公カップル・薫と花梨が出てきますよ!

もともと、私自身が撮影した写真を背景にするつもりでしたが……
明らかに、むかいかわずさんが撮影した方が背景向きでしたね。

私が広島を好きになったのは、シンガーソングライターの村下孝蔵さん(1953~1999)を、10年ほど前にインターネットで知ってファンになったのがきっかけです。村下さんは生まれは熊本ですが、広島でかなり長い間活動していた経緯があり、つまり私にとって広島はいわゆる推しの聖地。むかいかわずさんと仲良くなったきっかけも、同じファン同士だったからです。
村下孝蔵さんには、ここには書ききれない本当にいろんな思いがあるのですが……Xであまりはっきり言ってないのは、最初に下手に伏せたので言いづらくなってしまったのと、身バレの経験など黒歴史があるからだったりします(ここで言うのはいいんかい)

引用したnoteにも書かれている、みのりのおじいちゃんが教えてくれた「魔法の丘」。劇中では、みのりのおばあちゃんであるアンナが魔法をかけた特別な場所として登場します。実はここは村下孝蔵さんが好きだった場所で、楽曲の舞台にもたびたびなっています。わかりやすいのはこちらでしょうか。

切なさあふれる旋律に美しい歌声の響く、名曲ですね。実際に私も、モデルになった元宇品展望台に何度も行きました。天気のいい日、みのりとロダンのようにお弁当を持っていって、食べたりもしましたね。

むかいかわずさんは前職で、食べ物イラストをよく描いていただけあって
美味しそうだし可愛い……なおお弁当のおかずのひとつは↓

でも、ここが出てくるのってだいたい悲しい歌なんですよ!「自分の創作の中では、幸せな思い出の場所になればいいな」という思いがあり、この丘をストーリーにおける特別なスポットにしました。

ちなみに、前編でも少し触れましたが
こちらも村下孝蔵さんゆかりの場所です。

なおこのゲームの5章のサブタイトルは「丘の上から」、友情EDの副題も「港の見えるあの丘で」(歌詞から引用)となっています。他にも、みのりの叔父夫婦のお店が「カフェ・ソネット」だったり(同名の曲がある)。何ならみのりの誕生日は村下孝蔵さんと同じ2月28日です。

リアタイで知ってるわけではない私が言うのも何ですが、活躍していたのがもうだいぶ前な上、ご本人が鬼籍に入られていますし 全く知らないプレイヤーさんでも問題ないよう、あくまでさりげない盛り込み方ですが、ピンとくる人がひとりでもいてくれたらいいな……とは思っています


また、みのりとロダンがクリスマスに見に行ったイルミネーションは、実際に広島で毎年開催されているイベントが元になっていて、背景も実際に現地で撮影したものを使用しています。

恋愛ED後に、また一緒に楽しめるといいね……今度は心から

余談ですが、このシーンを書いているときに、ずっと流していたのがこの曲です。


また舞台としては、前編でも触れましたが、夏休みにみのりとロダンが訪れる尾道おのみちも外せませんね。おじいちゃんの住んでいる街は、最初は尾道おのみちくれかで迷いました。最終的に「猫がいっぱいいるからロダンとも絡めやすいのでは」ということと、むかいかわずさんの「尾道はノスタルジックな街だから夏休みに遊びに行く設定なら向いてると思う」という提案で、尾道になりましたが……(もちろん呉も良いところです!)

小説版の口絵イラスト
ロダンは本物の猫ちゃんとは話せるのかな?(考えてなかった)
この尾道駅の駅舎は、改装前のもの。
むかいかわずさんの撮影した写真を使っています
今はこんな感じです。
尾道水道

お世話になりました!!!

余談ですが、おじいちゃんの家で見てるテレビ。こちらは、みんちりえさんのこの背景をお借りしています。

が、途中で「地デジになって相当経つし、この型のテレビが今も現役なのは少々厳しいかもしれない」と気づき、迷ったものの「むしろそれを逆手に取って、何で今もこのテレビ映るねん!!」みたいな感じにするのも面白いかもな……と思いました。だってこの物語はフィクションですから

みのり「何でそんなこと知ってるんだろう……」

加工OKとのことで、ここではむかいかわずさんの遊び心により だるまがカープ坊やみたいな顔になっていたり、木彫りのくまが黒猫っぽくなっていたりします。そしてテレビの画面の元ネタは……

ネットで広島あるあるについて検索したらめちゃくちゃ出てくるCM。最近はあまり放送していないらしく、私も和歌山県民なので実際に見たことはないんです。でも妙にクセになるCMで、個人的には好きですw

「シェアするなら絶対この動画にして!」とむかいかわずさんに言われたので、そうします

カペラ王国

ロダン、そしてみのりの祖母アンナの故郷である、ファンタジー異世界的位置付けの王国です。前編でも触れましたが、ドイツがモチーフになっています(あくまで制作者のイメージ)。かつて魔王を封印したと伝えられる勇者・ジークフリートが英雄として今も崇められており、王都トゥルムシュタットの広場には勇者の石像があります。他にも冒険者ギルドや酒場、市場、魔法協会、ロダンの通っていた魔法アカデミーももちろんあります。そして街を見守るのは、美しい時計塔。ぶっちゃけ日本のファンタジーRPG好きが想像したような国ですね

冒険者ギルドのシーン、もともと立ち絵をお借りしていたのですが……
最終的には、一から描いてもらいました。
「勇者像のある背景素材ないかな?」と思ったのですが、無理ゲーでした
いつかのゲ制デーでご紹介した、カペラ王国の日常。
この鳥人少女が可愛すぎてガン見してしまいました
寒い国と語られてますが、寒そうなシーンはこれだけ……
エリザベートさんなんかノースリーブですし。
魔女だから人間とは身体の作りが違うのかもしれません

正直カペラ王国については、制作者もよくわかってない面が多いんです。あくまでメインの舞台は、みのりの住む現代日本ですしね。外交とか軍事関係とか歴史などについては全く考えていません……制作者の苦手分野なので
確かなのは、決して魔法使いの国というわけではなく、魔法を使わない住人もいっぱいいるということです。

また、食べ物があまり美味しくないという設定ですが、イメージ元にしたドイツが「食への関心が低い」という説を見たことがあり(※みんながそうではないと思います)、海外から来た観光客が「日本の食事は美味しすぎる」と絶賛しているのもよく見る風景なので、これってシナリオに生かせないかな?と思いました。まあでもロダンが語るカペラ王国の食事情はちょっと……悲しすぎる気もしますね。ロダンがハンバーグを「富裕層の食事」と表現し、みのりに突っ込まれていましたが、あながち間違いではないのかも……

前編にも書きましたが、カペラ王国についてもっと知りたい!という方は、ぜひこちらの番外編をどうぞ。ゲーム化する前に書いたものなので、ゲーム版とは若干設定の差異がありますが、ノエル王子や本編には登場しなかった国王、魔法アカデミーの人々にも会えますよ!

クリア後「EXTRA」

こちらも初めての試みがほとんどです。

エンドリスト兼攻略ヒント

本当は、回収前のED名は「???」表示にしておいた方が望ましいかと思いますが、あまり余裕がなかったのと、EDの副題だけならネタバレには該当しないと判断し、最初から表示されています……一応攻略ヒントの役割も兼ねていますが、攻略が簡単すぎて存在意義が不明な気もしますね

ギャラリー

イラスト担当・むかいかわずさんによる、ゲーム中に登場したイベントCG(スチル)すべてと、ほとんどのカットインが閲覧できます。なんとその数35枚(差分含まず)。ここを見れば見るほど「何でキミまで700kmでやらんかってん!!」という思いが強くなります。アップデートで搭載したいですね……


フリートーク

クリアした方向けに、キャストさんのコメントが聴けます。前編でも言いましたが、今回のゲーム化でどうしてもやりたかったことのひとつです。「みなさんの熱演に応えられるようなことができたら」というむかいかわずさんのこだわりで、画面がとても華やか!! みなさんそれぞれ「こういう思いで演じてくださってたんだな」というのがわかってとても感動できましたし、声優さんの素のトークが好きなので、そういう意味でも楽しかったです。

あとがき

プレイヤーさんへの想いを込めて書きました……
いろいろ感じていただけるとうれしいです。

その他裏話

ゲームを完成させても、「何で!?」ということはたくさんありました……
ただの私の入力ミスでしかありませんが「今しゃべってないキャラの名前が、名前欄に出ている」事象がたくさんありました。おそらく今は修正できていると思います(小声)
あと、ティラノビルダーで全画面プレビューしていると気がつかなかったのですが ブラウザでプレイするとどうしてもそれよりは画面が小さくなってしまうので そのあたりを考慮できていませんでしたね……なぜ気づかなかったのか!! こちらも文字を読みやすく修正しています。

あきらめたこと(ネタバレ編)

「架空の動物の鳴き声効果音が見つからない」とXでチラっと言ったのですが、それは最終決戦でロダンが召喚した不死鳥のことでした!!笑

この不死鳥は……
幼少期のロダンが召喚した、火の鳥が成長した姿をイメージしています。

本物の不死鳥に会ったことがある人はおそらくいないでしょうが、でも不死鳥の鳴き声がどんなのかをイメージできる人は、結構いると思います。そう、ハリー・ポッターの映画を観たことがある人なら。上でも書いてますが、2作目「秘密の部屋」ではハリーの危機に颯爽と現れますよね。
でもその雰囲気に近い効果音は、本当に見つかりませんでした……

小説版を執筆中、何かの刺激になればと見に行きました。
楽しかったです

コンフィグの文

ティラノ製のゲームにおいて、コンフィグのデフォルトメッセージは、デフォルトが「吾輩は猫である」の序文になってると思います。

が、このゲームにおいてはロダンが猫じゃないって主張してるわけなので、当初「吾輩は猫……なわけないだろ!オレはケット・シーっていう種族なんだぜ。そこんとこ重要だからよろしくな!」とかにしようとしていました。でも「ノベコレに慣れてる人ならともかく、そうじゃなかったら意味不明だな」と思ったのでやめた経緯があります

その他デザイン面

各章のはじまりに表示されるサブタイトル画面は、もともと同人誌版をご購入いただいた方向けのノベルティとして、むかいかわずさんが作ってくれたものでした。「これサブタイトル画面にぴったりじゃない?」と思い組み込んでみたところ、本当に合いすぎていて……!

ワクワク感を盛り上げてくれますね。
左のメモはセ○アで買いました

そして、どこにねじ込めばいいかわからなかったので、ここに書きました。みのりの通う学校の制服のデザインです。女子に関しては冬はブレザー、夏はセーラーとなっています。最初むかいかわずさんに「そんな学校ある?」と突っ込まれましたが、私がどっちも着せたかったので……こうなりました(なお私立に多いものの、そういった学校も存在はしているようです)

冬制服。チェックのボトムスがおしゃれ!
ネイビーのチェックと、白が爽やかな夏制服

BGM

別記事で詳しくご紹介しています! (書き下ろしていただいた曲もあります)
気になった曲があったときなどに、ご活用ください!

イラスト担当・むかいかわずさんより

「きまぐれシャノワール」のゲーム版をプレイしていただき、ありがとうございます。
ナナの文章を読んでお分かりのとおり、立ち絵にスチルに演出、悔いないようにこだわりにこだわって制作しました。自分としても日々の仕事をこなしながらの作業は量が多かったこともあり、やはり大変でした。
(時間に余裕があれば立ち絵の種類や演出面で、もっと工夫したい箇所も多かったのですが……)

さらに自分はナナとは違いファンタジー系作品に疎い人間なので、背景や衣装等をイメージするのに難しい部分もあったのですが 資料を集めたり、小学生の頃大ブームで図書室で借りはしたものの10ページで挫折したハリー・ポッターの劇場版をナナと一緒に3作品ぶっ続けに見たり、その後USJのハリー・ポッターエリアでライドに乗って酔った魔法の世界を肌で感じたり……。
自分なりにナナの大好きな世界を理解しながら、紆余曲折を経て無事完成させることができ、とても感慨深いです。

印象的だったのはこれだけのボリュームのゲームを完成させるまでのナナ自身が、前作の「キミまで700km」同様に最後までとても充実感を持って作業に取り組んでいたことです。
創作を続けていると何かと結果にこだわるあまり、途中で「これ面白いの?」「やって意味あるの?」と手が止まってしまう(自分がそういうタイプですが)人もいますが、目の前の作業にとにかく夢中になり、創作仲間とゲーム制作を楽しみながら完成を目指していたことは自分としても見習いたいなぁ、と思いました。
そういうのが創作する者の理想型かもしれません。
「キミまで700km」同様に、ナナが純粋な気持ちで作り上げた本作に関わることができたことに、感謝したいと思います。

特に今作はボイス面やBGM面、フリー素材など、多くの方々のご協力で完成しました。
モンスターを描いた経験があまりないので素材に頼りっきりでしたが、カットインを作る上で真似して描いたり、加工OKということで表情をいじって差分を設けたりと……少しばかりの工夫をできたのは良かったです。
協力してくださったみなさま、ありがとうございました🙇‍♂️

最後に

前編ほどではないとはいえ、後編も16000文字を超えてしまいました。ここまでお付き合いいただいた方には本当に感謝しかありません

こうして思い入れのある作品をゲーム化できたのももちろんうれしいのですが、何名かの方に「ゲームにしてくれてありがとう!」と言っていただけたのがとてもうれしかったです。

この前、過去に書いた番外編を読み返していて、かなり古い日付のものもあり「いやー……まさかこんな未来が待ってるとはなあ……」としみじみと思ったのですが。その頃の私が知ったらどう思うでしょうか? もちろん私がやりたくて、いろんな人を巻き込んでやったことですが、シャノワールをゲーム化したことで幸せになった人が"制作者以外にも"存在している、こんなうれしいことがあるでしょうか。本当にありがとうございます。

小説にしたのは壮大な前フリで、この物語はゲームになるために生まれてきた。そんな運命だったのかもしれません。

この作品のキャッチコピーは、
「あとほんの少しの勇気が必要な、すべての人へ」です。
そんな方々の背中を押せるようなゲームになっていれば、制作者としては、最高の喜びです。

このゲームが参加中のティラノゲームフェス2024は、始まったばかりです。
まだまだ一緒に、楽しんでいきましょう!!
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

ななほしサミット/ナナ