![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/161286259/rectangle_large_type_2_eaeb0bc45ed18ce48bc4e00082448f81.jpeg?width=1200)
KUNON Baking Factory「キャロットケーキなパフェ」2024年11月
スパイスたっぷり。焼き菓子のおいしさをしみじみ感じられるパフェ。
![](https://assets.st-note.com/img/1731208514-qQUZc0MV5yjIfsuPopkJSROn.jpg?width=1200)
「上に乗っているスパイスケイクを横に置いてから、グラスの中の人参のソルベとディルを食べて下さい」というお店の方の言葉通り、ソルベからいただく。フルーツ人参のソルベは人参のいやな臭みがなく、ほんのり甘味を感じる。おいしい人参ジュースのような味だった。その上にかかっているティムットペッパー(青山椒)はお店の方がグレープフルーツのような香りだと仰っていた通り、柑橘のようなさわやかな香りがする。ディルの香りも相まって、シャープなさわやかさを感じる。「前菜っぽく味わえると思います」とお店の方が仰っていたのだが、確かにサラダに近いものがあった。
続いては横にあるスパイスアイスクリーム。こちらはアニス・シナモン・クローブが使われているらしい。こちらにもかかっているティムットペッパーも相まって、スパイス感はかなり強い。とても美味しい! 先ほどの人参ソルベと一緒に頂くと、お口の中で繰り広げられるのはまさにキャロケ。
その下、アーモンドとカカオニブのヌガーは甘味というよりもカカオニブの苦味とアーモンドの香ばしさが強い。塩味もわずかに感じられる。このパーツは下層にも散らされているのだが、たまにこれをつまむとこの苦味と塩味できゅっと締まるようなアクセントに。
グラスを取り囲むように配置されているのがフロマージュクリュ。調べてみるとつまるところレアチーズのことらしいのだが、これはキャロケに塗られているクリームチーズのフロスティをイメージしているとのこと。それに生クリームを入れて水分量を足して、クリームにしているそうだ。食べてみると、確かにレアチーズのようなチーズの風味と生クリームのミルキーさ感じるのだが、わたしには塩味が引き立っているように感じた。この塩味が、周囲の甘いパーツとの対比になって、一筋縄ではいかない展開を思わせる。こちらのパフェ、塩味を感じさせるパーツがいくつかあって、塩味を積極的に使っていこうとするところに“攻め”を感じさせられた。「この塩味はなんなのですか?」とお店の方に伺ったところ、クリームチーズに含まれているお塩のせいなのだという。クリームチーズが有塩のものを使っているだけで、こんなに塩味を感じるものなのか……とお菓子作りの繊細さに思いを馳せるお菓子作り未経験者でした。
パフェは下層へ。おもに2種のジュレで構成されている。その上に散らされたスペキュロスクランブルはスペキュロスクッキーをイメージしているだけありスパイスを感じる。柔らかなジュレ、先ほどの固いバリバリ食感のヌガーとも異なる小気味良いサクサク感が好き。スプーンを進めていくごとにいろいろな食感が楽しめるのもこのパフェの良いところ。
上層のジュレは、パイナップルとパスティスのジュレ。パイナップルはコンポートされており、爽やかな甘さで展開がまた別の方向に変わる。そしてパスティスのジュレはやわやわふるふる食感。パスティスというのは、フランスのお酒で、リコリスやアニスの風味付けがされたリキュールだそう。初めて知りました。薬草系リキュール大好きなわたしは歓喜! お店の方も、くせの強いこのお酒の使い道を探していたところでジュレに使うことを決めたとのこと。さてさて、食べてみると甘味は非常に少なく、形容し難い初めて不思議な味。薬草系リキュールの味なのかこれ……? とも思わされるのですがアニスのせいなのですかね。薬草系リキュールならぜひストレートで飲んでみたいところ(クーポラだったら絶対ショットグラスに入ったストレートを飲ませてもらってた)。
いよいよ最後のパーツ、黒糖ジンジャージュレ。食感は固め。お店の方曰く、先ほどのパスティスのジュレとこちらのジュレで凝固剤を変えていて、あえて食感を変えているとのこと。食感にも非常にこだわったパフェなんですね、こだわりに尊敬させられます。ジュレの固さが異なるので、2種のジュレが重なっていても混ざり合うことがないのでしっかり両方のジュレの風味を味わうことが出来るのがありがたいところ。味はというと、キリッとしたしょうがの風味がしっかりきいている。高知県産の生のしょうがをすりおろして煮詰めて作っているとのこと。こちらのジュレも甘味が少なく黒糖は甘味というより風味付けで感じられる。黒糖のどっしり感ある風味としょうがのキリッとする辛味が非常によく合う。ここでパフェグラスの中は〆。
さて、横に置いて残しておいたパフェの帽子部分、キャロケをいただく。飾られたきれいなお花はエディブルフラワーだそうなのでこれも食べます。花より団子という気持ちになる。このキャロケ、ドーナツ型のスパイスケイクの穴の中に人参のコンフィチュールが詰まっていて、ケーキの下にはロースト人参のスライスが敷かれている。その上にはムースマスカルポーネが鎮座していて、まさにキャロケ。しかし通常のキャロケとは異なり、人参が混ぜ込まれている訳ではなくコンフィチュールや原型としての人参もいるので人参感の強いキャロケだ。焼き菓子というより生ケーキの方が近そうな構成で、パフェというその場でいただくスイーツにはふさわしい演出であるような気がする。さてさて、食べてみるとまずしっとり食感のスパイスケイクのスパイス感がすばらしい。カルダモンの爽やかな風味が強く感じられる。他にも数種類のスパイスが使われているそうで、ナツメグも使われているとのこと。ナツメグって肉料理に使うというイメージがあったのだが、スイーツにも合わせるものなのだなあと新発見。そして人参コンフィチュールとロースト人参のスライスでしっかり人参の風味と甘味を感じる。こちらの人参も、人参の臭みがなく美味しい人参の風味だけを感じられるのが良い。人参ってスイーツなんだ! と強く感じさせられる。スパイスと人参をしっかりどちらも味わえる贅沢なキャロケでした。
キャロケの下、お花の形をしたチョコシナモンサブレは固め食感でシナモン香る美味しいクッキーでした。おいしかった!
さまざまなスパイスを使用し(パフェ全体で7種使用しているとのこと)、スパイスの香りを最初から最後まで感じられて非常に満足感が高かった。お酒やスパイスで香りにこだわったパフェ、というのはパティスリー系パフェだともはや常道ですらあると思うが、その常道をこちらのお店の強みである焼き菓子を通してひしひしと感じさせられるのがとても良かった。
お店の方が「トップでも全体でもキャロケを感じられるパフェです」と仰っている通り、まさにキャロケ尽くし。キャロケの構成要素である人参・スパイス・クリームチーズ(フロスティ)がパフェの中でいろいろなかたちになって登場して、パフェとしても美味しい上にキャロケという概念をしっかり感じられるのがすばらしいと思った。
こちらのお店は初めて伺ったのですが、その時間に予約した人が全員集まったら一斉にスタートして、ときおりお店の方が提供するものの説明をしていただきつつ、奥の厨房でリアルタイムにパフェを組み上げながら厨房でもときおり説明していただける、というライブ感のある提供の仕方でした。わたしみたいなパフェの講釈だいすき人間には非常にありがたい。やっぱり、パフェに込められたこだわりはしっかり受け止めた上でいただきたいですしね。
こちらのキャロケのパフェ、通算3回目の提供とのことで、3回目にしてようやく食べることができて感激だった。初回から知ってはいたものの、まともに伺えそうな提供日が1日しかなく、同人イベントの原稿の進捗がやばすぎて(結局その時はイベント当日5日前に入稿)到底パフェなんて食べに行ける状態ではなく、お知り合いのキャロケ好きな方に行っていただいてレポを頂いた思い出。2回目の門前仲町のカフェでの提供の時も行けず、ずっと食べたいと思っていたところ3回目の提供があるとのことでもうぜったい食べる!! と意気込んで予約しました。3回も提供いただいて本当にありがたい限り。パフェは一期一会要素が強いので……。結果、本当に満足感の高いパフェで食べられて本当に良かったです。良いパフェは何度提供があったって良い……!
![](https://assets.st-note.com/img/1731208563-qsiShmEk98lVAMYDgyojdJUz.jpg?width=1200)
パフェを食べる前に、マドレーヌと紅茶もいただきました。こちらのお店、そこまでセットになっているのがとっても好き!
マドレーヌはラムレーズンのマドレーヌ。焼きたてでまだ温かく、噛むとサクッと音がする。バターもじゅわっと染み出てきて、ラム酒の風味も感じられてまさに幸せの味! 今まで食べたマドレーヌの中で一番美味しいと思ったかもしれない。それくらい衝撃的だった。
紅茶はベッジュマン&バートンのオータムブレンド。あまーいとても良い香りのする紅茶でとってもおいしい。
お店の方のこだわりに耳を傾けながら、焼きたてのマドレーヌや美味しい紅茶、その場で組み上げられるパフェをいただくというライブ感に大満足の素敵な時間を過ごせました! ぜひまた伺いたいところ。