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にわか雨で濡れていた

にわか雨が好きだ。
それ自体も好きだが、何より好きなのは「にわか雨」という表現だ。
「にわか」は「突然」という意味なので安直と言えば安直なのだが、
にわかという響きがいかにも雨と合っているような気がする。

私は稲葉曇氏がボカロPとしては一番好きなのだが、彼(彼女?)の曲の中に
「ポストシェルター」という曲がある。

稲葉氏としては珍しく弦巻マキを採用している曲。この曲には「にわか雨」
がサビに出てくる。

にわか雨で濡れていた 読めないくらい滲んだ言葉
ポストの中で 雨宿りさせて欲しいの
にわか雨で濡れていた 宛先はそのまんまにして
明日、明後日、 声になっていますようにと願ったよ

稲葉曇「ポストシェルター」

「ポストシェルター」という曲名はポストが手紙を雨から守る「シェルター」という意味だろうか。
「にわか雨」という突然で、すぐ終わってしまうものでも「読めないくらい滲ん」でしまう手紙。
言葉の弱さ、脆さが感じられる。

また、宛先に届くことを「声」と表現するのもまたいい。手紙を「声を届けるもの」として扱う、この言いようのない凄さは、語彙力のない私には表現できない。
受け取る人がいる声というのがどれだけ贅沢か、私達は知っている。

にわか雨の話に戻ろう。
今でこそ「にわかファン」としての側面が強いにわかという語だが、私は
にわかという響きをとても気に入っている。
私はこの「にわか」という語を推していきたい。


にわか雨 あの雲の上に乗ってって強火オタクを鎮火させよう


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