短編小説『バンド』
母は昔から歌がうまかった。
だから「歌手デビューする」と聞いてもあまり驚かなかった。
それからは音楽のことでしか褒められもしなかったし、怒られもしなかった。
日に日に音楽へ執着していく母を俺は嫌った。
音楽を初めて伝えたいこともなかったのでポップを書いた。
母はそんな俺に対して怒ったが、俺は気にも留めなかった。
そんな矢先、母が死んだ。
悲しみとか、悔しさとか、罪悪感とか、いろいろなものが渦巻いて離れなかった。
それを書きなぐっていたらいつの間にか詩ができていた。
俺はロック