写真記事~花火の音は柏手だったか~
風が吹いて、暑さが和らいだのは有難い。
遠く山々が暗い影になり、薄墨で描いた絵のようだった。
夜の手前の土手道を、人々は歩き進める。
世界各国、花火は上がれど、日本の花火は一味違う。と、他国に行った事もない癖に思う。
たった一瞬の花達が競うように咲き誇る。
夜の闇だからこそ光輝く。
闇がどれほど必要なものか大きく大きく教えてくれる。
技術力のある写真に、私の写真は敵わない。
狙いすましているようで、ただ、ただシャッターをきる。
失敗だと消すことは簡単だ。
でも、私は、たまたま、撮れた写真を好きだと思う。
放送では何か、大輪の花とか、平和への祈りとか言ってた気がする。
だいたい聴こえないのよ。どの地域で観ても。
花火の音にあたっていたら、疲れがとれて満足感を得ている事に気がつく。
そうか。柏手と同じ効果が働いたか。
と、自然にそう思う。
何枚も撮って、何枚もブレて、を繰り返す。
たとえ何千枚撮ろうと、その場の空気まではうつせない。
それでも、夏に潔く咲き散る花を、少しでもお届け出来たなら幸い。
打ち上がるまで、大切に大切にされてきた。
打ち上がる時はひとりきり。
たくさんの想いを受けて花ひらく。
だから魅了される。
夏の花火は何度目だろうと
あなたの心を祓い清める。
暑い日が続きますがご自愛ください。
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