《感覚のメモ》ぽつりぽつり
お前、どうするの?
と暗がりの何かに聞かれた。
私は鼻にシワを寄せ唸りながら答えた。
お前如きに答える答えはない。
気配は戯けて跳ねまわり影に溶けるようになくなった。
忌々しい。
なんて忌々しい。
次にあったら噛み殺してやる。
私はそう呟いた。
あら、そんなことしなくても私達が殺してあげるのに。
と声がした。
あまりに楽しそうなその声に溜め息をつく。
お前が言うと冗談にならないよ。
穢れるだけだ。おやめ。
そんな私をみてケラケラと笑う。
何時もそう。
獣のうちは誰も殺さないのね。
ゆらゆらと蠢く。
さらさらと流れる。
獣は確かに自分で相手の喉笛を裂く。
そのほうがよっぽど良かろうよ。
けれどそれは出来ない。
私は獣ではないのだから。
獣である私などほんの一部でしかないのだから。
ちまちま噛み殺すなんて面倒だ。
そこまで命に興味はない。
ただ在る流れに等しく。
私は歩き出す。
誰もいない道を。
でも、ねぇ、流れをとめられたらさぁ……
楽しそうな声が言う。
流れは止められぬ。
止めた対価は払ってもらう。
それだけだよ。
私は当たり前の事をぽつり、ぽつり。
呼んでるのか。
いや
呼ばれてはいない。
暴れさせもしない。
疲れる。
けれど何かとても足りない。
補充
というのも違う。
悪いものだと払う奴らの手ほど
引き抜いてやりたいものはない。
そうだ。
これは怒り。
でも
人間の私のではないな。
怒るほどのものはない。
真っ平らみたいだから。
周囲の流れ
気の種類
それが怒りを呼んでいる。
別に周囲そのものが怒りに満ちてるわけじゃない。
悲しみ、ときめき、光も闇も、目立っている。
その亀裂が、ざわめきが、力が、獣の形をとっている。
爛々と目を光らせ、牙を剥き出し、唸っている。
そろそろ落ち着いてほしいのだが?
私も疲れる。
温い獣は面倒だ。
そもそも私は鱗のほうだよ。
誰に教わったわけでもなく、そういう感覚があるのだから。
あーこれは、ただのメモだな。題名にメモと付け加えておこう。
これを読んで何を思おうがあなたの勝手である。
そう。そういうものだ。
サポート設定出来てるのかしら?出来ていたとして、サポートしてもらえたら、明日も生きていけると思います。その明日に何かをつくりたいなぁ。