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その日私達は真冬の真夜中を駆け抜けた

別の記事をあげようと昼間に準備してたんだけど…
フォロワーさんのつぶやきを見て
「あぁ……………!!同じようなことしてる〜!!」
となった。そして、私の話もどうしようもなく書きたくなった!!ので書きましてコチラを先に公開しちゃうぞ!!

そのキッカケつぶやきがこちら!!↓

私の夢にもご出演くださった『やなぎだけいこさん』の長男君の自転車話。いやぁ、本当にすごい体力ですね!!


コメント欄にも書かせていただいたのだが、私、
実は似たことをしていた。
それではアホな中学生女子の自転車旅にお付き合いください。



そう、あれは忘れもしない2/28。

中学卒業を間近に控えた私は、親に内緒で友達ととある計画をたてていた。

『昇る朝日を見に行こう!!』


どこまで?

『朝日といえば!!海でしょ!!』

いや、なんでなのっ?!

なぜかは解らないが、海を目指したかった当時。
私の地元は県の中では内陸。
だからこそ海は特別だったのかもしれない。

そうだなぁ。大まかになら言ってもいいや。私の地元は舌出した赤い犬の鼻辺りだ。(パッと浮かんだ人には味噌ピーをあげたい。美味しいよ味噌ピー)


日の出の時間を考えるに夜中の2時に家を出る必要があった。片道約39キロ。カッ飛ばせば、2時間40分くらいで行けなくはないらしいが、道中何があるかわからない。しかも、真冬の真夜中だ。それに、親にバレたら大変。友達の家は緩いので、モーマンタイだが、我が家は……絶対にまずい。
何がなんでも無傷で辿り着かなくてはいけなかった。

✽✽✽✽✽

こんなにも慎重だったのは、それより前の中学…いつだっけ、多分3年の春の経験があったから。
小学生の妹と昼過ぎから調子に乗って海を目指し(二人で自転車探検が日常生活だった。)追い風に乗って良いところまで行ったものの夕暮れの気配に怯え、途中で引き返そうとした。
しかし、とんでもない向かい風。漕ぎ疲れ、風を避けるために知らない街中に突入。
とうとう妹が根を上げた。そりゃそうだ。あっちは小学生。体力はかなりある私もクタクタ。なんの準備もしないで始めた為お金も持っていなかった。土地勘が全くなく、聞いたこともない駅を眺める。絶望的である。
私達は近くのコンビニで、地図を見せてもらうことにした。

「あのー、〇〇までどれくらいありますか?」
「えっ?!〇〇?!すごく遠いよ??何で行くの?」
「自転車で漕いできて迷いました」
「えぇっ?!今から行くと夜になっちゃうよ?」

そんなやりとりをしている私の横の妹はただでさえ白い顔を青白くさせて立っている。
これは、ギブアップだ。
怒られるのを仕方なく受け入れて、携帯を鳴らした。(携帯を持っててよかったね)
親には驚かれ、何処かファミレスでも入って食べてなさいとも言われたが(気がついたらスッカリ夜!!)もう妹は1歩たりと動けなかった。

そして、ぐったりした妹は次の日学校を休み、私は怒られたけど次の日には体元気で、行きたくない学校に行ったのだった。

後日、妹は私に「もう、〇〇とは自転車乗らない…疲れた」と言った。
後に大人になって、あの時はごめんねというと「あの時、私は疲れて死ぬかと思った。よく考えれば昼過ぎから海を目指すとか馬鹿だったね。私達」と笑った。

✽✽✽✽✽

まぁ、そんな経験があるからこそ、100均で地図を買い、ライトを家から拝借し、ホッカイロを買い、夜勤である友達の親には『泊まりに来た』と嘘を吐き食料を入手。(友達の家は事情があって、親御さんは忙しい。友達と食べなさいとコンビニ弁当を買ってもらった。持ち運びに便利ですね!!)二人で経路を確認。朝日の登る時間も確認。さらに、朝日を見に行く場所は公園と水族館がある為、水族館にも行こうとなった。(てんこ盛りっ!!)

私達はワクワクしながら真夜中を待った。
大好きな漫画を二人でキャーキャー言いながら読んで。
そう、私達は当時オタクだった。
テニプリもマンキンも青春よ。(ア、年齢バレル??大丈夫カ!笑)

こうしてインドアなオタクのアウトドアな挑戦は、しっかりきっかり、真夜中に始まったのだった。

着込んだコートの裏側にはこれでもかと貼られたホッカイロ。
ぬっくぬくである。
暦のうえでは春だが2月は寒い。
とにかく寒い。

キンっと音がしそうな真冬の空を美しい月が飾る。
私達は土手沿いを走る。ママチャリで。
そう、我々の愛車はママチャリである。
長距離に向いていないママチャリである。

ママチャリで自転車旅はおすすめしない。
お尻が…可哀想なことになるから。

まぁ、今回は半日もかからないから大丈夫。

なーんて、当時の私にそんな知識はなく、ただ愛車を信じていた。
そしてなにより「自転車屋の娘」という己の看板を信じていた。ちなみにパンク修理くらいしか私には出来ませんっ!!(そう、ここで明かされる実家の家業。今はたまにしかやってないらしい。やっぱ祖父の店だよなぁ、ありゃ。)

旅は順調。
見回りの警察にもあわなかった。(一番会っちゃいけない相手)
流石に真冬の土手に変態はいなかった。ヤンキーも冬は冬眠するらしい。夏だったら、ヤバかったかな。

土手を大声で話しながら走る。白い息が生まれては流れ、静かな世界には私と友達の二人きりだ。

楽しかった。
ただひたすらに土手を漕いで、漕いで…
もうすぐ海という辺りで空は白み始める。

間に合わない?!

私達は力の限り海を目指し……

なんとか辿り着いて…

中途半端に雲のかかる朝日を拝んだ。

想像してたのとなんか違うっ!!


我々の敗因は天気予報のチェックだ。
いや、チェックはしたのだろう。
しかし、それは雨が降るか降らないか程度のものだった。
我々は天気に負けたのだ…。

しかし、二人とも海まで漕ぎきったわけだ。それは凄いと思う。
真夜中のテンションが落ち着き、朝の公園はただ、ただ寒い。
薄いオレンジの光を浴びながら、冷えきったコンビニ弁当を食べる。
冷えたハンバーグ弁当の喉の通らなさは忘れない。

そして、水族館開園まで震えながらオレンジの朝日と海を眺めた。
ロングのベンチコートみたいなのを着た少女が二人、大きなリュックサックと共に朝日に照らされるベンチで身を寄せ合う姿………傍から見たら何ってなるよね。

そんなでも、水族館はきちんとみた。
お土産も買った。

ペンギンが可愛かったし、そうだよ。あそこはマグロが泳いでる。

そして、昼頃には帰路につく。
寝不足だし、真夜中に自転車漕ぎ続けたんだから、クタクタになってもいいはずだったが、私はもう、アドレナリン全開だからカッ飛ばしていた。大人を出し抜き、真夜中に冒険し、水族館に子供だけで入ったというワクワクさよ!!
友達に速すぎると文句を言われた。
恐ろしや、中学生女子の体力よ。いや、文化部の癖に私が体力ありすぎか。友達もオタクの癖に体力ありすぎか。

夕方には地元に戻ってきた。友達にお礼を言い別れた。

そして何食わぬ顔で帰宅する。
母親に「はやかったね」と言われ、私はうなずきお土産を渡しながらこう言った。

「友達と水族館に行ったよ。朝早くに起きて、行きだけ自転車で行って、帰りは友達のお父さんに迎えに来てもらったから…早めに帰って解散した」

我ながら見事な嘘である。
嘘は本当の事を少し混ぜるといいって言ったのは誰だっけ?
友達の家は特殊なため、連絡される心配もない。
鮮やかな嘘に母はすんなり騙された。

そして、私は部屋に戻り……爆睡した。大好きなアニメを見逃すほど爆睡した。

こうして、私達の自転車旅は誰に知られることもなく幕を閉じたのだった。



ちなみに数年後、母親に嘘を暴露したところ「あんたってそういうとこあるよね。……全く知らなかった…。自転車…好きだね…パパみたい」と言われた。
あんな父と一緒にしないでくれ。彼はサイクリングガチ勢だ。妻も子供もおいて2泊3日サイクリングとかしちゃうガチ勢だ。彼の愛車はもちろんお高いロードバイクだ。


当時の私は今よりずっと捻くれていたので、親に嘘を吐くなんてことは朝飯前だったなぁ……思いがけず私の悪いとこ披露になっちゃった。

自転車旅は楽しかったなぁ。
良い思い出の少ない中学生生活の中の宝物かもしれない。

でも、今思えばそこそこ危険だよね。
嘘つくのもあれだし。
ま、親に嘘つかないと自由は手に入らなかったからね当時。

普段は大人しく言う事聞いていたが、私は好奇心旺盛なんだ。
親に黙ってしたことの数しれず…。
門限守れず、締め出されて屋根から帰宅したのはこの私。
んふふ。やんちゃ。笑
見た目は黒髪ひっつめ、いつでも不機嫌そうな、ヒョロヒョロの女の子なんだけどね。笑

思いがけず、思い出した真夜中を
大人の私はやれやれと笑う。

『こっから海までどれくらいだろうか?』

今は、あの時より、さらに内陸の場所にいる私はふと思う。
いや、やらないさ。
やるなら山のが近いだろ?(え?)


皆さんには、大人に秘密の大冒険の記憶はありますか?
秘密じゃなくてもいいけれど。


自転車たのしいよ。エコだし。
今も気づくと写真撮りに行くのに10キロくらいは漕いでるよね。

おすすめするよ。サイクリング。

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koedananafusi
サポート設定出来てるのかしら?出来ていたとして、サポートしてもらえたら、明日も生きていけると思います。その明日に何かをつくりたいなぁ。