1場面物語「集え!冒険者」
『はじめまして冒険様。夢と希望の世界へようこそ!!私は貴方様の最初の試練。第一ダンジョンのkoedananafusiと申します。以後、お見知りおきを』
そう言って彼女はスカートの両はしをつまみ、恭しく俺にお辞儀をした。
ダンジョンに人格があるとは変わった世界観だなと思った。
しかしそれ以外は普通。
なんてことのないチュートリアル。
簡単なクエスト。
レベルの低いモンスター。
階層も地下4階までだ。
パーティーを組んでいない独り者でも
難なくクリアできるだろう。
第一ダンジョンをクリア後、次の街に向かう俺にkoedananafusiは
『お疲れ様でした。初めてとは思えぬ剣さばきでしたね。第一ダンジョンとして、少々のレベル上げにお付き合い出来た事嬉しく思います。どうぞ、この先もたゆまぬ努力を続け、いつの日か、また、この第一ダンジョンに挑戦してくださる事を願っております。』
と言った。
俺は何か違和感を感じて、後を振り返る。
彼女は最初に会ったときと同じようにスカートの両端をつまみ、恭しくお辞儀をしている。
"また?…新人のレベル上げの時にってことかな?"
"まぁ…CPUだし…気にすることもないか……"
オープンワールド系のゲームには無数のCPUがいる。
このゲームはダンジョン毎に人格があり、それが案内役のようなこともしている。
ただ、それだけ。
ただ、それだけなのだと思っていた。
あの時までは…。
「…本当に行くのかよ?」
仲間達がこちらをみる。
どの顔も緊張感がある。
俺は静かに頷いた。
もう、やるしかないんだ…。
俺達は、このオープンワールドで名を馳せた。
"この世界において最強を誇るギルド"
と言われるまでになった俺と仲間達。
ギルドへの入会希望者が毎日のようにやってきた。大型のイベント時に耐え得るだけの人数くらいは仲間がいる。
みんなでレベル上げを頑張ったから、メンバーは上級者ばかり。
難易度の高いクエストにも勇敢に立ち向かったから、装備だって1流だ。
戦闘系というわけではないが、血気盛んな奴も多く、知らない間にバトルに参加しているものも多くいる。
この世界では確かに最強ギルドだと、俺も思う。
しかし、ここ最近……仲間がダンジョンから帰ってこない事が続いた。
現実世界でも繋がりのある仲間からの情報では、ダンジョンから帰ってこない仲間は皆、入院中らしい。
そして、これも仲間からの情報だが、入院中の奴等は皆「第一ダンジョンに行く」と言っていたらしい。
"第一ダンジョン"
初級者用の簡単なダンジョンだ。
レベルも装備も高い俺のギルドメンバーが、そんなところで本当に倒れるだろうか?
何か問題があるのではないか?
致命的なバグのような何かが…。
こればかりは俺も確かめないとわからない。
危険なのは百も承知だが、ギルドのマスターとしてこれ以上メンバーだけに任せてはおけない。
俺は、新人育成のために何度も行った、見慣れた第一ダンジョンの扉を再び開いたのだった。
koedananafusiはそこにいた。
最初にゲームを始めた頃と何ら変わらず、彼女は扉を開いてすぐのホールで待っていた。
『お久しぶりですね、冒険者様。貴方様はとても、とてもお強くなられた。koedananafusiは感激です。感激で、感激で、感激のあまり……『世界の扉』を開いてしまいました。貴方が本当に、この世界を救う勇者様なのか。………貴方は手にする資格があるのかどうか……確かめさせていただきます。さぁ、挑戦を!このラストダンジョンkoedananafusiに奇跡の光をみせてください!!』
彼女はスカートの端をつまみ、恭しくお辞儀をした。
こうして、俺と仲間達の本当の冒険が始まった。
どうしよう。すでに何処かにありそうな話を勢いでつくりあげた。あるだろ、これ、ナロウ系にあるだろ。マジで。
でも、ダンジョンの擬人化はない……はず。
オンラインゲームはしない派。
なぜなら、リアルでもそうだけど、予定がいっぱいあるのは苦手だから。
イベント追いかけるとか、数カ月かけてクリアするやつとか、パーティー編成するのとか…本当、無理。
一人でのんびり、ザコ敵倒して暮らしたい。
あと、どのジョブもしっくりこないのよ。
チームプレイ向かないのよ。
やはり
私のジョブはダンジョンですね。
一人でコツコツ
冒険者を狩る罠を仕掛け
一人でのコツコツ
冒険者に立ちはだかるモンスターを育て
一人でコツコツ
セリフの練習を……するかもしれない…………
そして
会いに来てくれた
通過していく冒険者と
楽しく遊ぶのです。
最初にジョブはダンジョンです的なこと書いた記事どれだっけ…
いや、コメントだっけ?
で、その後サークルで楽しくやらせてもらって
なんか今、書きたい気持ちがあったから記事にして。
あなたのジョブはなんですか??
あなたがどのジョブを選んでも
きっとダンジョン攻略、一度くらいはなさるのでしょう?
でしたら、ぜひ、初級者用の簡単なダンジョン…そう私、koedananafusiへの挑戦はいかがかしら?
とても優しく、とても簡単。
難しい事はありません。
受け取れる物も少ないけれど
レベルを上げて次の街に行くにはちょうどいいはずです。
うふふ。
あなたの挑戦をお待ちしております。