しっかりメイクを施した時の自分を見た感想は……
私は普段、ほぼすっぴんである。
肌が綺麗だからとかじゃない。
メイクというものに無頓着なのだ。
それでも、20代前半一度だけメイクレッスンに行った事がある。後輩の付き合いで。
そこではじめて、一から十まで(それでもナチュラルだとは思う)メイクをしてもらった。
「どう?いいでしょ?」
と先生はいったし
「先輩いいじゃん!」
と後輩は褒めてくれた。
「うん、そうですね。」
私は鏡を何度も見た。
気に入ったからではない。
とてつもない違和感に襲われていたからだ。
確に毛穴レスな肌は滑らかで、丁寧に持ち上げられたまつ毛が目を大きく見せてくれる。
きれいに整えられた眉も柔らかな印象だ。
普通にメイクをした顔のほうが血色もいい。
ソバカスも目立たない。
クマも目立たない。
絶対こちらのほうが好印象だろうという顔が鏡の中で前を向いたり、横を向いたりしている。
『早く帰って、顔洗おう………』
先生の話を聞く残りの時間私はそんな事を考えた。
小さい頃は、メイクにそれなりに憧れていた気がする。
母や祖母の口紅をこっそり塗りたくりすぎてオバケのQ太郎になったり(酷く叱られた)
友達が持つマニュキュアセットが羨ましくて水のりを爪に塗ったり(酷く叱られた)
少し大きくなって100均が出来た時は嬉しかった。
マニュキュアばかり買っていたし、まつげをあげることに喜びがあった。
ツケマは苦手だった。
しかし、なんか自分に施すと違う。
他人が綺麗になっていくのを見るのは楽しいのに、自分に施すと違う。
別に私は、私を綺麗にしたいわけじゃないのだと気がついた。
あと、純粋に面倒くさい。
あと、ちょっと化粧品の匂いが好きじゃない。
そんな感じで、私はメイク関連から早々に退却した。
そして時は流れ20代前半。
周りの同年代のメイク術が完成しつつある頃。
『メイクとかだる。自分を綺麗にしても面白くない。いや、でも、きちんとしたやり方を知らないからかもしれない。知ったら、メイクも良いかもしれない。』
と思うことがあり、メイクレッスンに出かけたのだ。
結果は、先程書いたように惨敗だったわけだ。
家に帰ってすぐ顔を洗ったあたり、私には向かないらしいと悟る。
いや、受けたメイクレッスンがふんわりとした触りのものだったせいもあるかもしれない。
でも、デパートの化粧品売り場の匂いと雰囲気に多少酔う私だから、しっかりしたところで受けても駄目な気もする。
そんなこんなで30代。
相変わらず、何もしていない。
本当に何もしていない。
日焼け止めさえも忘れる日がある。
これは気をつけたい。
人間は実に面倒くさいと思っている。
鳥や魚みたいに生まれ持ってこられればいいのに。
あと食べ物の色が体表にでればいいのに。
そういや、動物の世界ってオスのが派手だね。
アオアシカツオドリが頭の中に出てくる。
足が青ければ青いほどモテるらしい。
それは、餌を取るのがうまい証拠…
あ、人間の場合お金かー…経済力…えぇ…そっか……なんだかなぁ
きっと、メイク映えする顔だったら楽しかったんだろうけど、まぁ、他の人を見るのが楽しいからそれはそれでいいかーって思う。
ただ、一度、凄いメイク術の人にメイクしてもらったら楽しいだろうなとは思う。
あ、一応ね、メイクする時はするよ。
でも、ほぼしないのだ。
メイクはマナーって変だなって個人的に思う。
メイクなんてしたい時か、自分が必要と思った時にしたらいいよね。
そんな私でしたとさ。
あ~眠い。