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CSカレッジ Vol.6 – Sansan様に学ぶ、カスタマーサクセス実行戦略のすべて
メインスピーカー:Sansan/山田 さん (@hisyamada)
モデレーター:ABEJA/丸田 さん (@genshin_maruta)
1. CSの役割・目標・KGI
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▶︎カスタマーサクセス が担う役割
・わかりやすさは、1、2。3は数値化しにくいが、重要
・電子サインは海外製品がすでにあったが、国内での「電子サインといえばクラウドサインだよね」という空気感を作ってしまうことが大切。
・プロダクトFBは、カスタマーサクセスが直接行った方がいい。
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Q プロダクトチームとの連携はどうしているのか?
A 四半期に一回CSとして作りたいものを優先順位をつけてリスト化している。営業も聞いてくれる。CS的に、MRR的に大切にしなきゃいけないお客さんの要望や、インダストリーを加味して、提案している。
▶︎どういうゴール指標をおいているのか。
・事業目線と、CS目線がある
・事業目線はNRRを見る
・CS目線では「新規」はとらないため、NRRはふさわしくない場合がある
ー 今月の解約金額/今月の更新金額を見ている。
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Q カスタマーサクセス がレベルアップしていくのはなにをもって?
A プラクティス・ナレッジが整備されていくこと。
オンボーディング ・アダプションの過程を分解できていること。ほとんどのお客さんの「このポイントを押さえておけばうまくいく」や、お客さんへの切り込み方などなど、「型」を持っている。Sansanの場合は、1-2ヶ月で、過去の名刺を取り込んでいただくのが大切。ここで失敗するとチャーンにつながるため、きちんと向き合っていく必要がある。
▶︎カスタマーサクセスの事業的な位置づけと最適な組織構造
・一番要になるのは「カスタマーサクセス マネージャー」
Q トレーニングと、カスタマーサクセス マネージャーの切り分けは?
A トレーニングアンドコミュニティのチームは、セミナーや説明会を磨いていきSMBに対し、面で底上げを行っている。
Q いま組織は?
A テクノロジー、CSオペレーションは他のチームを業務支援
A テクニカルサポートも合併した
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▶︎「人材」カスタマーサクセスを実現するためのテーマ
・本の最後にしている対談の内容がよい。
・3つのスキルセット
ー 1. 自分の担当する専門領域・業務ドメインの知識を持っている。
ー 2. ナレッジを知ってるだけではなく、裏技をユースケースレベルで語れるような人。
ー 3. プレゼン、会議が運べるなど一般的なスキル
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Q 入社後に学べるような内容もあるんですね
A そうですね。2の業務ドメインが一番重要な気がしています。顧客の業務フローを最新〜古い体制のフローまで理解していることが大切
A ドメインナレッジは後からでもいいけど、SansanCSは営業が多い。活用支援、お客さん支援を重要に思っている人が学びも早い。
A スキルでいいなと思うのは、常駐してるSIerさんとかはよかった。コンサルの人は、立ち上がりに時間がかかった人もいるような気がする。お客さん先で、現場に入り込んでいく必要があるため。
2. CSの戦略・顧客対応
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▶︎世界最先端のカスタマーサクセスプラクティス
・CSがやるべきこと、左から右に行くほど、難しくなっていく。
ー 社内でないパーツを考えるときに気づきを得やすい。
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Q Sansanでの状況は?
A 8や、10は、まだ課題が多くある。
組織としてきちんとした品質のものを与えているとは言い切れない
Q お客さんを導くためのプランニングのコツは?
A 人によって濃淡があるのは別にいい。
抽象化した型を持っているかどうかが大切。抽象化したルールは守り、具体レベルは自分で考える。だから、抽象的なレベルで、ルールをもつと、最低限のことが学べるから、汎用性があり人も育ちやすい。
▶︎顧客のライフサイクル
・どういうライフサイクルにあてはめるかは悩ましい。
・オンボーディング とそれ以降という分け方で問題ないと思う。
ー オンボーディング 期とサクセス期のふたつがあれば概ね十分
ー Sansanでは期間で決めている。
・2ヶ月、3ヶ月で終わったら、計測を行う
ー 計測は決められた指標があり、その指標をクリアしているか否か。
ー オンボーディング 成功していないと、CSMが判断できなければ、
計測すべきか延長すべきか、マネージャーと相談。
ー 延長したらどんどん案件が増えていくため自分の首を締めてしまう
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・エンタープライズは年単位での計画になる。
ー 社数は少ないのでカスタマイズして作っている、ID数はエンプラが多い。
▶︎ヘルススコア
・山田さんのCS人生はヘルススコア の設計だった
ー 当初「これは本当に使えるのか?」と信じてもらえないことがあった
ー いまは、営業とヘルススコア を見ながら話すことができる。
ー 社内で使われるようになるまでが一番大変だった。
ー 通貨のように信頼されないと、流通しない
ー ヘルススコア のいい企業は、エクスパンションするというファクト大切
ー 半年に一回、ヘルススコア を見直すようにしている。
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Q ヘルススコアを社内に定着するのは?
A ファクトが大事。ヘルススコア がいいところはエクスパンションするし、
悪いところはチャーンする。ということを定期的に証明しなくてはならない。緑と赤で安全かどうかを色付けしているが、緑色からエクスパンションX件、赤色からチャーンはX件とデータをだすようにしている。
・正しいのか正しくないのかをPDCAを回し、検証するのが大切。
▶︎プロダクトフィードバック
・CSとして強く言ったことはあるが、なかなか噛み合わなかった。
・PD組織が変わってから、うまく噛み合うようになった。
ー プロダクトの進化は、プロダクトのミッションに基づいて行われるべきものと考えている
ー 画面遷移がどう、や、ボタンの位置等はお客さんにしかわからない
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Q お客さんの声はどういう粒度でまとめている?
A まとめてはいるがまとめていない。
お客様要望を受け付けるチャンネルがある。
投稿の件数と内容をPDが纏めてくれて、経営層にも発表している。
お客様のポジティブな言葉(ありがとう)が同じところで、見れるようになっている。いいものも悪いものも出てくるので、きちんと見る気になる。ネガティブな情報ばかり溜まって、ワークしにくいという話も聞く。
3. CSの今後と進化
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▶︎カスタマーサクセス におけるテクノロジーの重要性
・テクノロジーの力をつかうことが大事。
・CSで一番難関なのがデータ統合。
ー 手作業でもいいが、デイリー・ウィークリーで見れることが大切
・ワークフロー管理のテクノロジー
ー コール to アクションの機能
ー いちいち見ていることはできないので、数値異常が出たときに通知してくれる仕組みが大事。
ー この機能がないとCSは疲弊するし、スケールしない。
ー この機能を入れてからピンチもチャンスも逃さなくなった。
ー SansanはGainsightを使っている。
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Q ツールの選び方は?
A データサイロ問題を生まないよう、いかに統合しやすいかを見る必要がある。将来的なデータ統合を視野に入れて決めるのがいい。
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Q ツールを社内で運用するときのコツ
A アラートを受けている人間に、成功体験をつませることが大切。
CSも営業も「うまみ」があれば使う。注意をむけるべきツールと認識させることが大切。
▶︎HiCustomerのコール to アクションの機能について(中村さん)
・最初から大量に作ってしまうとスケールしづらくなるので、少しづつ作るようお伝えしている
ー 「PV数が少ないとモチベーション低い?」や、
ー 「資料をたくさん見てるの声をかけた方がいいかも」など気付ける。
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Q お客さんの喜びポイントは?
A 個社別の管理画面を見ていたり、エクセル管理から抜けられる。
コミュニケーション頻度を指標にしていたので、頭の中のメモリを機会にまかすことができる(中村さん)
Q HiCustomer導入のCS規模や、時期は?
A 2,3名ぐらいのチームになったタイミングがバリューが出やすい(中村さん)
▶︎テクノロジーが実現する、新しいアップセル・クロスセル戦略
・PLGはトライアルモデルと、エンドユーザの数が多いSaaSで有効。
・プロダクトの中で、アップセル・クロスセル・チャーンを狙っていく
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Q CSQLお客さんに紹介してもらう?プロダクトの中でコミュニティをつくって生んでいく?
A CSQLはCSが出すパイプライン(リード・商談)
オンボーディング の時点で、いろんな商材をあてていく
いま現場は目標数値をもってるが、売る製品のバリエーションが多くないと成り立たない。様々な課題のお客様にはワークするが、ワンプロダクトの場合は意味がない。事業が成熟し、ラインアップが増えてから当てていくのがいい。
▶︎カスタマーサクセス から生まれた、次世代のマーケティング手法
・日本の場合、ABMはセミナー
ー セミナーをするにしても、お客さんの課題にフィットする必要がある
ー 興味喚起レベルではむずかしい。事業課題まで踏み込む。
ー お客さん解像度の高いCSが設計にコミットすべき。
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Q Sansanさんはコミュニティマーケティングをうまくやっていますよね?
A コミュニティは工数がかかる。
「いったいこのコミュニティは何のために存在しているのか?」という問いに答えられる必要がある。Sansanコミュニティは「サクセス事例を生み出すための苗床。」CSが、Qの前に何本事例をつくるという目標設定をしている。Qのまえに、テーマと、本数を決めてコミュニティを回している。
4. 質疑応答
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Q ヘルススコア を使ってリアルタイムに見る価値はどんなところにあるか?
A タイムスパンの設定の仕方であって、本質的にはかわらない。
リアルタイムでいいところは、オンボーディング では役に立つ
オンボーディング の終盤では、とてもヘルススコア を見る。
Q オンボーディング を延長時は料金取る?
A 料金は原則とるけど、実態としては延長している。
料金は取らず、お客さんにコミットしてもらうよう交渉している。
うまくお客さん社内を動かせなかった時は、「いつまでに?ID追加してもらえるようコミットしてもらえますか?」と握れたとき、マネージャーから延長の許可がおりる。
Q ユーザが積極的にコミュニティに参加できる仕組みは?
A プラットフォームを提供してる企業に聞いていただくのがいいと思う
コミュニティにもオンボーディング が必要。
Q CSMのパフォーマンス管理はどうしているの?
A 案件に対するPDCAを見ている
スモール領域に関してはオンボーディングまでのステップが細かくきまっている。そのステップを、通過しているかどうかをマネージャーは見ている。動かせなかった時は、なぜ動かせなかったのかを考えてもらう。
Q CSQLの生み出し方は?オンボーディング期?コミュニティ?
A トレーニングセミナーの最後に製品の紹介を軽くいれる
アンケートに営業の説明、ご関心ありますか?といれておくとCSQL化する。オンボーディング 期に製品紹介をポイントで握る。上手い人は、ヒアリング時、世間話の延長でCSQLを生み出す。
Q CS担当の工数が限られている場合
A チャーンの阻止が最優先事項として動いている
オンボはリカバリチャンスが一応あるので、その中でやっていく方法もあるが長い目で考えたら絶対オンボーディング。
Q どういうお客様を事例化する、テーマはどう決める?
A テーマ感をどう定めるかは、事業課題によっている。
事例で、クロージングをとるか、新規をとるかで内容は大きく異なってくる。CS事例はクロージング段階で使うため、営業に聞くべきかマーケに聞くか変わる。
Q CS導入段階で基盤が整っていない。何から取り組めばいい?
A 結構明確。工数削減。困りごとやつまずきポイントは大体決まっている
そういうポイントをショートカットするようなツールを揃えていくことが大事
お客さん向けのツールを作る人を稼働としておさえておくと、
ナレッジが揃いながら大きくなっていくためおすすめ。
Q コロナ影響でCS活動はいかにかわりましたか?
A あまり変わっていない。
CS専用のメディアや、電話とメールだけでお客様を立ち上げるように整備していたため、そこまで変わることはなかった。
お客さんが出社しておらず社内展開しづらいとかはあったが、
セミナーが全部ウェビナーになったのでむしろスケールした。
Q ノータッチでお客さんはどれくらい立ち上がる?
A お客さんの15パーセントは、全く触らずに立ち上げることができるようなった
Q 顧客の状況把握、手始めは、どこから把握していくようにすべきか?把握すべきポイントは?
A オンボーディング は成功の定義を決めることが要。
自走状態に行くであろうという転換点。それはなんなのか?
統計をとって、CSMや営業の感覚知もいれながらやる。
1年とかでは全然統計が取れないので、難しい。最初は決めでやるしかない。Sansanでも3年ぐらいかかったりした。
Q チャーンを大きく防ぐために取り組んだベストプラクティス
A 更新前のお客さんにきちんとリニューアルマネジメントを行うこと
お客さんが辞めるか辞めないかは、どれだけ触ったかにすぎない。と営業さんから言われたことがある。
確かに、お客さんにタッチしている量が、一番チャーンに関係がある。
疎遠になってしまったお客さんにきちんとタッチしにいって、
「困っていないですか?」と聞くことが大切。これをやったらチャーンは減った。
Q タッチスコアは?
A リニューアルの3ヶ月前、6ヶ月前ぐらいにタッチして、
リカバリできる期間を確保して、接触をしておくとよい
Q CSMの一人当たりの担当数や、支援範囲の決め方は?
A On-Boardingフェーズだと支援範囲は、ヘルススコア を達成すればいい。
On-Boardingは限界担当社数がわかる。月に10〜15社。3ヶ月持つとしたら30社。そこから新人、達人で割合を決める。
Adoptionフェーズだと、MRR4000万円〜8000万円/担当ぐらいが適切とゲインサイト社はいっている。
そしてなんと!CSカンファレンス開催するそうです。
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