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旅の記憶とスケッチ:雨の首里、宜野湾へ



内田あぐり先生の個展を訪れることがこの旅のきっかけだったと前回書いたが、沖縄本島に来るなら必ず寄りたい場所がもうひとつあった。
20年前に白血病でこの世を去った友人のお墓参り。風光明媚な識名園の近くにお墓はあり、5日目の朝も生憎の天気だったが、着いた頃には雨は止んでいた。

友人のお墓がある霊園は高台の上


宮古諸島や八重山諸島に足繁く?通っていた頃もあったが、那覇の渋滞や人の多さを避けてしまって本島には寄らず、なかなか毎回お墓参りに来ることができないでいた。だから今回のお墓参りは実に9年ぶりだったように思う。
彼女がこの世を去った日、わたしはまだ学生で東京にいて、慌ててスカイメイト(懐かしい)で飛行機をとり、那覇に飛んだ。闘病中は手紙やメールのやり取りをしていて、まさかこんなに早くにお別れが来るとは思っていなかったから、どうしてもっと早く会いに来なかったのかと後悔したことを今でもはっきりと覚えている。
あれから20年。彼女のお姉さんとは毎年連絡を取り合っていて、今回もお墓への道順を忘れてしまっていたので詳しく教えてもらったのだった。
そうしたら数日前に、彼女のことが沖縄タイムズの記事になったと新聞の写真を送ってくれた。

友人の記事


沖縄の亀甲墓は大きく朗らかだ。若いままの彼女と少し話をして、そこから静かに首里方面へ。



首里にあたらしくできた首里織と紅型染の資料館suikaraへ行ってみる。工房も併設されていて、伝統工芸を伝えるんだという気概がよくわかるきれいな建物。印象的だったのは、首里織、という名称はわりと近代にできたものということ。日本画と似ている。それまでその土地でただ淡々と受け継がれていた文化に名称はなく、外側から別の文化が入ってきたときに、さあこれをなんで呼ぼうか、となるからだ。
(日本画、という名称はここ沖縄の地では受け入れられづらく、作家は苦労してきたことをその日の夜に詳しく聞くことになる。)
パンフレットの裏に紅型染と首里織のデザインが並んでいて素敵。
suikara 
https://suikara.ryukyu/


さてsuikaraから宜野湾の佐喜眞美術館へ向かい、基地近くでタコライスでも食べようかと考えていたが、ふと首里の有名な琉球家庭料理を出すお店を思い出して行ってみたら、何も変わらず営業していた。嬉しくなって、ここ富久屋で昼食。むじぬ汁定食、変わらない味で満たされる。

富久屋入り口。
むじぬ汁定食。落ち着いた雰囲気で素朴な伝統料理がいただける。
むじ=田芋の茎。これを三枚肉、島豆腐などと一緒に味噌味で煮込んでいる。他に小豆ご飯、どぅる天(田芋を練った揚げもの)、かんぴょうイリチー、ぴらがらまち(ねぎの酢味噌和え)、ジーマミ豆腐、うさちぐわー(大根と人参の酢の物)など
首里の交差点



雨が強くなってきたがレンタカーに乗りいよいよ宜野湾へ向かう。

ここから前回へ戻る。

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