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「やさしい日本語」表現事典について

9月20日の「日本語・日本語教育研究会」に参加したとき、今回初めての試みで「日本語教育教材紹介」がありました。書籍の紹介だけでなく、著者の方から出版した目的などもまとめられていてわかりやすい発表でした。

自分なりに簡単にまとめてみました。

<流れ>
・やさしい日本語について
・多文化共生社会
・日本語学習の目的・理由
・「やさしい日本語」表現事典の構成について
・この書籍の出版した目的

・やさしい日本語について

「やさしい日本語」とは、普通の日本語よりも簡単で、外国人にもわかりやすい日本語のことです。 1995年1月の阪神・淡路大震災では、日本人だけでなく日本にいた多くの外国人も被害を受けました。 そこで、そうした人達が災害発生時に適切な行動をとれるように考え出されたのが「やさしい日本語」の始まりです。

2020年8月に「在留支援のための やさしい日本語ガイドライン」が出入国在留管理庁、文化庁から出されました。

そこで「やさしい日本語」3つのステップが出されています。
ステップ1:日本人にわかりやすい文章
ステップ2:外国人にもわかりやすい文章
ステップ3:わかりやすさの確認

・多文化共生社会

多文化共生社会を目指すためには・・・
相互理解コミュニケーション
 ➡一方的に話していて、相手の話を聞かない人には「コミュニケーション力」があるとは言えない。そのためお互いのことを理解してコミュニケーションをとることが大切である。

伝え方を意識してみる

 ➡「自分の考えを相手に伝えて、相手を説得させる」ことが大切である。

例えば・・・法廷のことば、医療のことばなどがある。

(相手に)伝わる   ⇔  (相手から)伝わる
伝えたい・伝えよう      理解しよう
*マインドとしての<やさしい日本語>が大切だと考えている。

・日本語学習の目的・理由

1、マンガ・アニメ・J-POP・ファッション等への興味
2、日本語そのものへの興味
3、歴史・文学・芸術等への関心
4、日本への留学
5、日本への観光旅行
6、将来の仕事・就職
7、日本語を使っての受験や資格取得
*「海外の日本語教育の現状 2018年度日本語教育機関調査より」
  独立行政法人 国際交流基金

・「やさしい日本語」表現事典の構成について

Ⅰ部 「やさしい日本語」の基礎

 1章:「やさしい日本語」の歴史
 2章:外国人に対する情報提供「やさしい日本語」
    ・災害時
    ・平時(旅行者、短期滞在者、定住外国人)
        *公的文章の書き換え
 3章:居場所作りのための「やさしい日本語」
   「外国人との対等な関係の構築へ必要とされる(やさしい日本語)」
   30年後の日本をどうするか
    ➡外国人(移民)をともに日本社会を作る存在として受け入れる
 4章:バイパスとしての「やさしい日本語」    
    外国にルーツを持つ子ども
    ・日本で生きていくことを余儀なくされている
    ・これからの日本を作る人材として捉える
    *遅くとも高校卒業時には、日本語母語話者の子どもと適切に
     競争して、自分が就きたいと思う職業に就けるようにする
     目標 「普通の日本語」
 5章:障害を持つ人のための「やさしい日本語」
 6章:日本語母語話者にとっての「やさしい日本語」
 7章:多文化共生社会と「やさしい日本語」

Ⅱ部 「やさしい日本語」の実践
以下の内容でまとめられている。場面ごとに分かれていて、例えば「学校・PTA・行政・くらし・保育園」などで使われている日本語がまとめてある。

場面
会話例・文例
言い換え・書き換えのポイント
わかりづらい言葉や表現
やさしい日本語に変換
「やさしい日本語」を意識した会話例・文例

Ⅲ部 文化の差異

・PTA
・部活動
・町内会、自治会、子ども会
・子どもだけの登下校
・運動会
・上履き
・印鑑、ハンコ
・元号
・(病院などでの)検査
・投薬
・七五三、成人式
・入れ墨、タトゥー

住む地域によっても、同じ日本の中でも違うのでそこは気をつけて欲しい点である。これが全てではない。

付録 日本語教育分野を志す人のために
日本語教育業界で活躍されている人にとっては当たり前のことが書かれている。

・この書籍を出版した目的

「やさしい日本語」の歴史や日本語教育の現状、多文化共生などについて分かりやすく解説し、学校・PTA・保育園・行政・くらしで起こる実際の場面を想定しながら、「やさしい日本語」に言い換え・書き換えるテクニックを例文をもとに解説している。社会で暮らすさまざまな立場の人とことばの問題を、読んで、考え、実践することを目指した事典だと言われていた。

・ここからは私の感想

 日本語教育業界にいる方であれば当たり前のことですが、全く海外の人とかかわりがない方からすれば未知の世界だと思います。
 隣の住人が海外からの人、小中学校に海外にルーツのある子ども、コンビニの店員が海外の人っていうことが普通になってきました。
 発表されていた方はこの本を読んで、日本語に伝え方を考えてもらいたいと言われていました。この事典で100%「やさしい日本語」にできないですし、そもそも「やさしい日本語」に変換するルールはありません。相手に伝わるように、相手のことを考えてコミュニケーションをとることが大切です。これはマニュアルではなく、1つの手がかりだと思います。

私は「外人・外国人」という言葉が好きではありません。外の人というようなイメージが強い言葉だと思うからです。意味としては間違ってはいないとは思うのですが、そこで日本人と分ける必要があるのかと感じてしまうからです。

日本国内で、海外からの人も日本人も関係なく生活ができる社会になればいいのにと思います。

その架け橋となるのが、「やさしい日本語」表現事典だと思っています。

長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。
まとめるのが下手で、長くなってしまいましたが・・・

これからも色々なことを発信していきます。
よろしくお願いいたします。

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