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私の備忘録#10 「労働人口問題 豪州は参考になるのか」

オーストラリアのワーホリビザ渡航が大人気で、現地では仕事に就けない人が増えているという朝日新聞の記事を読みました。
ボランティア団体が提供するフリーフードに長蛇の列ができていると伝え、その中にいた日本人の声もひろっていました。

かつて私も憧れたワーホリ滞在。
年齢制限があるから、若い人だけの特権ですね。
とはいえ、日本の将来を考えると、海外を経験した若者には日本に戻ってきていただき、その経験をいかしてもらいたいものです。。。

私は、昨年の夏、英語キャンプに参加するため、人生初のシドニーに2週間滞在しました。
多文化主義を英語で学ぶための、毎日のプランがぎっしりと詰まったとてもよいツアーで、これまでで一番最高の海外旅行体験でした。
そのあたりはまた機会があれば、記事にしますね。

今回の備忘録では、労働人口問題の解決策としての外国人材の受入れについて考えてみました。


〈タイトル〉
豪州殺到 ワーホリ飽和
「語学磨く」渡航 求職30件空振り キャバクラに
最低時給2300円「上がりすぎて雇えない」
「出稼ぎバブル円安背景」

〈本文〉
(1面から続く)
ワーキングホリデー(ワーホリ)ビザでオーストラリアに渡る人が増えている。日本人向けのビザ発給数が過去最多を記録する中、現地では多くの人が仕事探しの厳しさに直面していた。
(中略)
ワーホリビザで渡航した人が仕事探しに苦労するのはなぜか。移住問題の専門家、シドニー大学のアナ・バウチャー准教授は「ワーホリビザ取得者の間で競争が生じているのではないか」とみる。
(中略)
ワーホリビザ取得者を豪州に引き寄せる要因の一つは賃金の高さだ。
豪州の最低時給は24.10豪ドル(約2300円)で、東京都(1113円)の約2倍ある。「先進国クラブ」と呼ばれる経済協力開発機構(OECD)でも指折りの高さで、労働組合の強さなどが影響しているとみられる。
ただ、高賃金は働き手にとっては魅力でも、雇う側には悩みの種だ。シドニーで日本食レストランを経営する近藤有興社長(53)は「あまりに賃金が上がりすぎている。簡単に新しい人を雇える状況ではない」と明かす。
豪州ではインフレが続き、生活費が高騰。ホテル・飲食業界では倒産が増えている。「豪州の景気は決してよくはない」と説明する。

コロナ禍以降、長らく円安傾向が続く中、お金を稼ぐことを目的にワーホリ制度を活用する人も出てきた。
(中略)
「出稼ぎ」を目的とする渡航者が増え始めたのは、最近の傾向だ。

朝日新聞 2024年8月17日(土)2面

オーストラリアについて

私は昨年8月に2週間、シドニーに滞在した。
それまで、アメリカやカナダ、イギリスに行ったことがあったが、オーストラリアは初めてだった。
現地に行ってまず驚いたのは、あらゆる人種が共生していたことだった。
オーストラリアは「白人の国」という私のイメージを変えた。

同国は大戦後の人口不足の解消と、経済の発展を目指し、それまでの白豪主義政策をやめ、1970年代から多文化主義政策をとっている。

それまで深いつながりのあったイギリスがECに加盟したことにより、オーストラリアも距離的に近いアジアとの関係を深めることになった。

近年では、経済や外交、防衛などの政策において、アジア諸国との関係をさらに深めている。
多くの労働人口をアジア諸国から受入れており、経済成長を続けている。
↓詳しくはこちらを参考に

https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/jrireview/pdf/11440.pdf

「第6章 オーストラリアの移民政策の現状と評価―注意深い開国政策による人口増加で成長を実現―」理事長 翁百合

こちらのリサーチでは、オーストラリアの移民政策の特長と問題点、今後の課題と日本への示唆をまとめている。

外国人材受け入れの課題

日本において労働人口の減少は深刻な課題。
労働人口を増やしていくためには、外国人労働者の受入れは今以上に必要だと思う。
しかし、先住民の土地に白人が移り住み、白豪主義をとってきた国の歴史と反省から、現在のオーストラリアの多文化主義はあると考える。それを経験した国民の成熟度、そして多文化間での共生力と、ほぼ単一民族で成り立っている日本の場合とでは、あまりにも多文化への理解度や共生力に違いがありすぎる。
日本はこれまでの同化主義とは違う、また、豪州を参考にしつつもそれとも違う、独自の多文化共生の道を模索する必要がある。

シドニーで私が感じたのは、国民の多文化に対する許容範囲が広く、「人は違って当たり前」からスタートしていること。
「人は一緒で当たり前」の日本とは違う。

それもそのはずで、オーストラリアでは多文化を理解するための教育を幼少期から積極的に行っており、移民に対しても無料英語レッスンや職業訓練、無料通訳といった移住後の公共のサポートも手厚いという。

日本でも特定技能制度を見直し、限られていた業種を新たに増やしたり、期限なく延長できる枠を設けたりするなど、外国人材の受入れを拡げている。
しかし、受け入れ先の企業では、虐待や賃金未払い、説明不足による外国人材のケガなどの問題がニュースになっている。

日本は円安の影響もあり、外国人材獲得においての国際競争力は低い。
以前取材した福祉事業所では、インドネシアに学校を設け、外国人実習生の受入れをしているが、「人材獲得競争は、国内の都心と地方の競争にとどまらず、海外との競争になっており、外国人材から選ばれない日本になりつつある」と聞いた。
記事にもある通り、日本の若者が出稼ぎ目的で海外へ行く時代に突入した。

必要なのは全労働者の労働条件の改善

人口問題解決の出口として、外国人材の受入れがやむを得ないならば、労働者の労働条件の改善は急ぐべきだと思う。
そして、日本の若年層の労働力が海外へ流出している現状を政府は真摯に受け止め、政策を打ち出す必要がある。


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