好きをたくさん手渡したい
20代の頃の私は、好きな人や彼氏に自分から好きだと言うのは負けだと思っていた。
より多く好きになった方が負けだし、好きだと言わせたもん勝ちだと思っている節があった。
ツンデレにも程がある。
・・どうしてそんなに尖っているの？
どうして大切な人との間に勝ち負けを持ち込むんだい？？
今の私ならそう思うけど、過去の私は違う人だったのであろうか。
いや。まさしく私なんだけど、誰かに愛されたくて好きだと言って欲しくて一周回って尖りに尖ってしまっていたんだと思う。
ハリネズミのようだ。
私がその棘を溶かすまでに、とても長い時間がかかった。
結局誰かに溶かしてもらったのではなく、自分が棘を抜いたり溶かしたりしたんだと思う。そしてハリネズミの毛皮を脱いだ。
今の私は丸腰のタヌキのようだ。(ネズミじゃないんだ。）
夫になる人に出会ってお付き合いを始めたくらいの頃も、
『向こうに付き合ってって言ってもらえたイェーイ』と調子に乗っている面があった。
そんな天狗の子な私も(祟られないか）
最初の方からこの人とてもイイ！と思っていた夫の大切さのレベルが上がっていくに連れて自分から好意を示すことに抵抗が無くなってきた。
シャイな彼の代わりに、自分から手を繋ぐ。
自分から大好きだよと言う。
その度にありがとうしか言わない彼になぜかと問うと
『あまり頻繁に言うと言葉の重みが無くなってしまう気がして』と言われたので
それもまあそうかとは思ったけれど・・・。
じゃあ言わないようにする、と言うと
『言われる分には全然オッケー』と返された。
なんだそりゃ。
ハリネズミ時代の私から一番変わったのは、ここから。
私が私でいられるのは、今世ただ一度きり。
もし生まれ変わりがあるとしても、もうその人は私ではない。別人だ。
運命とやらで私の生まれ変わりが彼の生まれ変わりと出会えたとしてもそれは全く別の二人だ。来世で出会えるかどうかもわからない。
したがって今の私が今の彼と共にいられるのは今世だけ。
それに、もしもどちらかが、否二人とも突然人生が終わってしまったら。
こんなに大切に思っているのに、それを全く伝えられずに人生が終わってしまったら。
考えただけで化けて出られそうだ。しかし生を終えたのなら私はこの世にとどまる気は全くないので、化けて出ることすら出来ないかもしれない。
それに、万が一夫が先に空へ還ってしまったら。
残された私はただでさえ悲しみの海の底に沈むだろう。
そこへ『もっと好きと伝えてあげればよかった』なんて後悔が乗っかってきたら
もう、一夜にして白髪化する可能性大である。
残りの一生を後悔しながら生きることになるかもしれない。
そんなの嫌だ。
だから好きな人にはちゃんと好きだと言い続けたい。
そう思った。
そして私は、夫の職業の都合上夫に毎日は会えない。
だから夫が出勤する時、見送りは99%欠かさない。
必ず笑顔でいってらっしゃいと言う。
無事に帰って来られるよう、一種の呪い(まじない）だ。
実際にそんな効力があるとかないとか。。。あなた次第です！！！！←
いってらっしゃいも、お帰りなさいも、素敵なおまじないだと思う。
そして夫に好きを手渡すことが上手にできるようになってきて、
私たち夫婦には子供ができた。
その子供たちが言葉を喋れるようになり、上の子も下の子も
『おかあさん、だいすき』
と言ってくれるようになった。
時には惰性で、何かのついでに『おかあさん、だいすきー♪』とかふざけて言うこともあるし、こっぴどく叱られた後に半べそで『だいすき・・・』と言ってくれることもある。
私は正直言って、彼らの愛を正面から受け止められないこともある。
それに自分がいい母親かと問われると全くはいとは答えられない。
自分のダメさ加減に子供達ごめんよと思うことも何1000回もある。
もっと優しくしてあげたかったのに。
なのに朝だいすきで始まって夜もだいすきで終えてくれる。
ありがたい。ありがたくて悟り開きそう。
いつか迎えるであろう思春期対策のために『おかあさん、だいすき』を映像に残しておかなくては。
そんな風に夫婦で話をしている。
もう言ってくれなくなるまで、お母さんも大好きだよって言うね。
余談だが、家族で好きを循環させられるようになった私はある日突然閃いた。(というと大袈裟だが）
【noteの世界でも、スキを押したり、やり取りしたことがある人にならこの記事いいね！好きです！ってもっと気軽に伝えたい・・・・】
命も時間も、永遠ではないのだ。
大なり小なり、好意を伝えるのは大切だと思う。(もちろん迷惑でない程度に←日本人）
私はスキ魔になることにした。
字面が怖い。
いつかこの身が風に舞い空に還るなら、
この世に残せるものは少しでも温かいものがいいと思うから。
直接会える人にも、そうでない人にも、好きを手渡していきたい。
いいなと思ったら応援しよう！
