REAL

午後9時、カーテンの閉まった窓越しに寒さを感じる。

外は風だろうか、雪だろうか。

いずれにしても、冷たい空気が青い身体の関節を冷やしてゆく。

そんな冷気をよそに、心は燃え上がる。


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はじめての一人旅は5年前。

両親に黙って、旅の全てを手配した。


今どこにいますか?

いつものように連絡が来る。


実は、今大阪に向かってる


その短いメッセージを送るのに手が震えた。

はじめて、親に無断で、県外に行く夜行バスに、乗っていたからだ。


親に面と向かって自分を主張する勇気がなかった。

怒られるのが恐かった、いや、自分の意見に意見されるのが嫌だったからだ。

子どもだったから、と、言ってしまえばお終いだ。それはただの反抗期、と言えばそうで、今だから分かるけれど。社会を知ろうとした。知りたかった。冒険だった。


当時の私は、いろんなことに半信半疑、いや8割を疑ってかかっていた。

自分に自信がなかった。

強くなりたかった。

大人になりたかった。

自由になりたかった。


ただ、責任を取れる年齢ではなかった。

精神的にも、金銭的にも、ほぼ全てにおいて。


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私が今思うことは、恐れすぎるのは良くないということだ。

冷静な判断は必要。

でも熱い気持ちは忘れちゃいけない。


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次の日の朝、目が覚めるとそこには知らない世界。

どんなによく似ていても、それは、はじめての世界。


はじめてはワクワクする。

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