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【小説】魔女と傭兵(著:超法規的かえる、画:叶世べんち) 〜 半熟たまご的に程よく柔らかいハードファンタジー

2024年2月時点で3巻発売を控える「魔女と傭兵」。どちらかといえばハード寄りのファンタジー小説。

僕がこの手の(どちらかと言えば)本格派志向のファンタジー作品を好きになったきっかけはロードス島戦記。その後、指輪物語のような本格派の作品に手を出し、今や小説だけでなく漫画やゲームに至るまでファンタジーな作品を漁る廃人と化したわけですが、そんな私が本作をSNSで知り、今更ながら購入し読了したのでさっそく紹介。まずは、あらすじから。

「魔女」――

魔獣や魔術が失われた大陸で唯一残った未知の存在。

古より恐れられし存在を討伐に向かった傭兵のジグ。

彼は激闘の末、辛くも勝利したが同時に魔女を殺す目的を失ってしまった。とどめを刺さずに去ろうとする彼の背に魔女が依頼を申し込む。

誰にも追われずに生きたいという願い。傭兵は葛藤の後その依頼を受けることにした。

魔女に対する忌避の強いこの大陸では難しいと感じた彼は、以前から存在は知られていたが近年ようやく渡航の目途が立った異大陸に渡ることを決意する。

https://gcnovels.jp/special/gcnb/majotoyouhei/

主人公が男女ペアのいわゆるバディもので、冒険者として依頼をこなす魔女シアーシャと彼女に雇われた傭兵ジグの二人の生き様が物語の核ではあるけれど、読み進めるなかで最初に印象に残ったのは拘りが伺える戦闘シーンで、本作のお勧めポイント。

主人公の二人は戦力的に上位の存在ではあるものの決してチート過ぎず、それぞれが抱える弱さを程よく描く様からはリアルさを表現しようとする工夫が伺えて好印象。特に魔術について、二人が住んでいた大陸と異大陸とでは扱いが異なる点を戦闘描写に活かしていて、それが良いアクセントになっていますね。

その一方で、全体的な表現や文脈からはリアル過ぎないように収めようとする印象も受け、ハードファンタジーながら半熟たまごのような程よい柔らかさに仕上げた点が本作の良さなのかな、と思った次第。

ということで、ひとまず固めのレビューを書いてみたのだけど、なんだかんだ言っても最も気になるのはジグとシアーシャの二人の関係。そりゃ男と女がずっと一緒なわけですから、気にならないはずがない。ですよね、そこの奥さん。(俗っぽくてすみません)

普通の人間であるジグと魔女という人外の存在であるシアーシャの距離がどこまで近づくのか。そこがバディものの醍醐味ですし、そんな二人に対する取り巻きの人々の反応もまた、楽しみだったりするのです。

今後もゴシップを楽しむおばちゃんのような気持ちで二人の行く末を見守っていこうかな。(3巻も楽しみ)

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