見出し画像

ガザの現実と日本人にできること

本の売り上げの一部を駐日パレスチナ常駐総代表部に寄付しました。

ガザ地区戦闘から1年が過ぎた今、死者は4万3,508人に上るとされ、うち44%が子どもであり、最も若い犠牲者には生後わずか1日の男児も含まれます。

このような事実を前に、母として胸を痛めずにはいられません。日本から遠く離れた地で起きている惨劇に対し、私たち一人ひとりができることは何なのか、今回の訪問を通して改めて考えさせられました。

駐日パレスチナ常駐総代表部のシアム大使から伺った現地の実情は、私たちの日常からは想像もつかない過酷なものでした。

例えば、物価の異常な高騰で、ミカンが数千円に相当するなど、他にも生活必需品の価格が大変な事になっています。さらに安全な水は手に入らず、塩分を含む水を飲まざるを得ない状況です。2歳未満の子どもの3人に1人が栄養不良に苦しみ、毎晩の爆撃とプロペラ音によって、多くの人々が慢性的な睡眠障害に悩まされています。また、敵軍による常時監視や仕事の不足によって、若者たちはテロ組織への参加を余儀なくされる場合もあると言います。

大使ご自身も、難民の両親のもとで育ち、中東や欧米などさまざまな国を移り住んできましたが、日本が初めての「心の拠り所でありホーム」と感じると話されていました。

その彼が語った、遠く離れた日本からの支援のかたちは、いくつかの観点で私たちにも深く響くものがあります。

1. 現在の状況だけでなく、その背景にある歴史にも目を向けること

ガザ地区の情勢を理解するには、ニュースの映像や記事に目を向けるだけでなく、その背景にある歴史や経緯を知ることが重要です。

正直なところ、私自身もなぜこれほどまでに対立が続いているのか、十分に理解していませんでした。そんな時、以下のコンテンツが、この複雑で長期にわたるパレスチナ問題をできる限り中立的に理解するための手助けとなりました。

「パレスチナ問題ってなに? 1からわかる!イスラエルとパレスチナ」(NHK)

このサイトは、パレスチナ問題の背景や要因についてわかりやすく解説されており、知識を深める第一歩としておすすめです。

「映像の世紀バタフライエフェクト 砂漠の英雄と百年の悲劇」

100年以上にわたる歴史を紐解く映像で、複雑な中東情勢とその中での人々の葛藤が映像で描かれています。¥220で視聴できる貴重な資料です。

【パレスチナ大使単独インタビュー】ガザで何が?(ReHacQ)
1年前の戦闘開始直後のインタビュー。大使直接の視点から語られるため、深い理解を得るのに役立ちます。

【イスラエル大使単独インタビュー】なぜ地上侵攻?(ReHacQ)
一方で、イスラエル側の視点や立場を理解することも重要です。こちらのインタビューでは、イスラエル大使が地上侵攻の理由や背景について述べており、双方の視点をバランスよく把握できます。イスラエル大使のメッセージからも、双方が戦いを望んでいないことがよく分かります。

2. 中立的な報道機関から情報を確かめること

特定の側に偏らず、中立的で信頼性のある報道機関や個人のジャーナリストから情報を得ることは、理解を深めるために不可欠です。紛争や戦争に関するニュースは感情的になりやすいものですが、冷静であることを心がけたいです。

3. 人道的な声を継続的に上げること

時が経てばこのニュースも忘れ去られるでしょう。しかし、現地の人々の苦しみや悲しみを想い、人道的な観点から声を上げ続け、ジェノサイドと言える事態に警笛を鳴らし続けることが、何よりも大切だと感じます。

4. 日本がパレスチナ国家承認に向けた対話を進めること

日本はパレスチナを国家として認めていません。シアム代表は、日本がパレスチナ国家としての承認とイスラエルとの共存実現に向けた対話を進めてほしいと希望しています。日本は中東情勢に直接的な関与が少ないものの、平和を望む国として、できる役割を果たすべきです。

5. 国際的な停戦への協力を期待する

新たな指導者たちの下で、停戦に向けた国際的な努力が進むことを願っています。特に、各国のリーダーが平和的解決のための対話を行い、現地の人々に希望を与えられるような協力が求められます。

シアム代表は最後に「我々はユダヤ人(イスラエル)を憎んでいないし、戦いたくもない。共存を実現したいだけだ」と述べました。この言葉には、私たちが抱くべき未来への指針が含まれていると感じます。

母として、また、微力ではありますが報道に携わる者として、平和な未来を望む気持ちは変わりません。小さな支援でも、遠く離れた場所にいる子どもたちの生活に少しでも光をもたらすことを願い続けています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?