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三十路OLの恋愛論:こんなキスが好き

 キスって、なんかちょっとしたミステリーやと思う。映画やドラマでは、キス=ロマンチックなシーン、または物語のクライマックスに使われるけど、現実のキスってそれほどドラマチックでもない。奈菜にとって、キスはどちらかというと、ちょっと照れるし、ドキドキするけど、それ以上に「どうしてこんなタイミングで?」という謎めいた瞬間なんや。

 恋愛映画やドラマでは、キスってめちゃくちゃ理想的に演出される。夕日をバックに、静かな空気の中でお互いの気持ちを確かめるように…。だけど、現実のキスって、そんなシーンとはちょっと違う。奈菜が経験したキスは、大体が「え、今?」というタイミングだったり、「ちょっと待って、口紅つけたばっかりやのに!」という慌ただしさだったりする。

 キスのタイミングって、もっと難しい。「タイミングが大事」ってよく言われるけど、実際にその「大事なタイミング」をどうやって見極めればいいのか、未だにわからへん。デートの帰り道、相手が「お疲れ様」って言った瞬間にキスしていいのか、顔を少し近づけてみて「今、行けるかな?」という微妙な空気を探るべきなのか…。本当に迷う。相手がちょっとでも気を使ってるなと感じたら、「あ、ここじゃないな」って思ってしまう。でも、その「ここじゃないな」と感じた瞬間に限って、相手もタイミングを逃して、ただの「手を振ってお別れ」になったりする。「無理してキスしなくてもいいのに」という気持ちと、「でも、できたらしたかったな」という気持ちが交差する。

 そして、キスの後どうなるかも気になる。映画みたいに、キスの後に急激にストーリーが進むことはほとんどない。「ちょっと待って!あれ?キスしてこの先どうすれば?」という不安が頭をよぎる。実際、キスした後って無理に会話を続けるのが難しい。「え、今、何話したらいいの?」と一瞬の静寂に戸惑うことも。その空気をどう埋めるかが、次に繋がるかどうかの大事なポイントやけど、正直、その空気を上手く埋められる自信はない。

 でも、そんな「不安や戸惑い」の中でも、キスが持つ魔力は否定できへん。キスの後に「やっぱりちょっとドキドキしたなぁ」と感じる瞬間があって、それが心の中で「いいかもしれない」と思わせてくれる。たとえ、相手の顔が少し汗ばんでても、「あ、キスって、こういうもんなんやな」と納得できる瞬間がある。むしろ、完璧じゃないからこそ、キスに特別な意味が生まれるんかもしれへん。

 奈菜が求める理想のキスは、映画やドラマに出てくるようなシーンやなくて、もう少しリアルでユニークなもの。相手がちょっと間違えて鼻をぶつけて、「痛っ!」ってなったり、キスした瞬間に「お前、歯磨きした?」と確認されたり。それでも、その中で「やっぱり、なんだかんだでいいな」と思える瞬間を大事にしたい。キスって、理想通りにはいかないからこそ、その不完全さが魅力的に感じるんやと思う。

 

結局、キスって「完璧」を目指すものじゃなくて、お互いの気持ちを伝え合う、ちょっとした勇気の表れ。だから、無理に完璧なタイミングを求めたり、映画のシーンのようにドラマティックにしようとしなくてもいい。むしろ、「あ、今や!」という瞬間に、自分の気持ちに素直になれたら、それが一番素敵なキスなんちゃうかな、って思う。

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みさき なな
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