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野草食日記 335 イタドリの葉茶を作る
昨年、うちの近くに群生している植物がイタドリということがわかり、「来年の春はイタドリを食べるぞ!」と意気込んでいたものの、実際時期になり、現物を目の前にすると、わからないことがいっぱい。
どのくらいの大きさのものを採取したらいいのか?!とか、太さは?!とか。
できるだけ太いものを採取して、家に持ち帰ってからは、下ごしらえをどうするかとか、火の通し具合はいかばかりか、などなどをネットで探し始める始末。
ひとまず、動画で美味しいと言っていたきんぴらを作ってみたけれど、うーん、酸っぱいきんぴらってどうよ?!
アク抜きが甘かったのか、この酸味のあるきんぴらこそがイタドリ特有の味わいなのか。正解がとんとわかりません。
そうこうしているうちに、鎌倉でのイタドリシーズンは終焉を迎え、次回チャレンジはまた来年。野草あるあるですね。
それでも、生育旺盛なイタドリは瑞々しい葉っぱを携え、道を塞ぐほどに群生し、目の前にある。
料理に使うのはもっぱら茎だけど、この葉を利用できないのかな?!
そんな疑問が湧いてきた時に、たまたまおすすめに出てきたYoutube動画がこれです。
ほーっ、葉っぱも使えるのかぁ❤️
さらに深掘りしてみると、高知の中山間地域ではイタドリ葉茶は昔から身体に良いという言い伝えがあり、愛飲する人がいたけれど、過疎化・高齢化が進む中で知る人が少なくなり、忘れ去られつつあるとのことなのです。
こちらのサイトにそのことが書かれています。
さて、実際の作り方なのですが。
薬草研究家で本も出版されている中村臣市郎さんによると、生薬にされるイタドリの根っこ(虎杖根)ではなく、その茎葉が痛みをとると言います。
イタドリという名前も痛みをとるというところから来ています。
中村さんのイタドリ茶の作り方を見ると、茎葉を刻んで日干し乾燥させたものを炒って熱湯で5分煮出す、また重度の痛みがある場合は半量に煮詰め濃くしたものを3ヶ月続けて飲むと書かれています。
ところで、イタドリできんぴらを作った時に酸っぱかったのは、シュウ酸が含まれているからなのですが、シュウ酸の摂りすぎは尿路結石の原因となるため、水晒しでアク抜きをしっかりする、あるいはカルシウムと一緒に食べるなどの工夫が必要です。
中村さんの作り方では葉をそのまま日干ししているため、シュウ酸が葉に残ってしまわないだろうか、常飲をしたり、半量に煮詰めて飲んでしまって本当に大丈夫なのだろうか?!という疑問が湧いてきます。
私は吸引分娩で生まれながらに首を痛めています。
そのため常に首痛があり、イタドリで痛みが取れたらいいなとぁと思うけれど、
尿路結石はいや。
なので、動画のチロちゃんの作り方 (蒸して揉んで炒る) で作ることにしました。
実際、蒸してみると蒸し器の下に入れた水が鈍い黄緑色になり、ここにアクが溶け出していることがわかります。
この行程を採用することで、もしかしたら中村さんの言われるようなイタドリの効き目が半減しちゃうのかもしれないと考えると、ちょっと残念な気もするけれど、やっぱり結石はいや。
蒸したものを揉んでから、キッチンペーパーで軽く水気を吸い、そのあとフライパンで空炒りします。
蒸しているせいか結構水分が含まれていて、完全に乾燥するまでにかなりの時間がかかりました。
ようやく出来上がったのがこれです。
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味見してびっくり。
蒸してアクが若干抜けているとはいえ、シュウ酸は残っているに違いない、そんなふうに想像していました。
だから、酸っぱい味をイメージしていたのです。
でも、全く酸味はなく、ほうじ茶にも似た味わいで美味しい。
普段野草茶は数種類合わせて市販のほうじ茶とブレンドしています。
いつものブレンド茶に、イタドリ葉茶を合わせると、心なしかお茶全体がまろやかになる気がします。
意外な結果となりました。
そこでイタドリの葉の成分が無性に気になりはじめ、調べてみました。
「令和元年度和歌山県農林水産試験研究成果情報」に掲載されている表がこちらです。
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春に食べる酸っぱい茎に比べると、葉に含まれるシュウ酸の量は半分以下ということがわかります。
この量だったら、中村さんが書かれているように日干しした葉を煮出して3ヶ月飲み続けても大丈夫なのでしょうか。
研究が待たれますね。
兎に角も、イタドリ葉茶が酸っぱくなかった原因がわかってスッキリしました。
また、痛みを取るという点についてですが、イタドリ葉にはルチンの含有量がとても多いことがわかります。
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この表を見ると、ルチンの効果には関節の痛みを和らげるとありますね。
イタドリ葉をたった10g摂取するだけで1日量30mgがまかなえてしまう。
茹でた蕎麦100gに含まれるルチン量が10mgであることと比較すると、かなり多いことがわかります。
痛みをとるイタドリ。
続けて飲んだら果たして効果が出てくるのでしょうか。
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