野草食日記 264 晩秋のヨメナご飯
春日野に煙立つ見ゆ娘子らし春野のうはぎ摘みて煮らしも
(かすがのに、けぶりたつみゆ、おとめらし、はるののうはぎ、つみてにらしも)
万葉集に収められている作者不明の歌です。意味は
春日野に煙が立っているのが見えるなあ。おとめ達なのだろう。春の野のうはぎを摘み取って煮ているようだ。
春日野というのは奈良の春日山、御蓋山(みかさやま)の麓に広がる野のことで、現在の奈良公園のある地域のことだそうです。
そして、「うはぎ」というのはキク科の多年草であるヨメナのことを指す、と言われています。
ヨメナは田の畦道など、湿気の多い場所に育ち、中部地方より西に生息している植物です。
関東地方では、ヨメナより一回り大きいカントウヨメナが自生しています。どちらも春の若芽が食用とされ、茹でた葉を細かく刻んでご飯に混ぜ込む「ヨメナご飯」が有名です。
そんな春の風物詩とも言えるカントウヨメナが、先日近くの緑地に行ってみると、湿地に青々と広がっていました。
いつも、お茶室の庭で見ている鄙びた様子のヨメナとは全く違い、ぷっくりと大きな丸い葉がいかにも柔らかそうです。
秋だけど?!と思いつつも、摘み取って帰り、茹でて一枚味見をしてみました。
多少えぐみは感じられましたが、ご飯に混ぜ込むことだし、そう気にするほどではない。短時間アク抜きすれば問題ないレベルです。
最近、日中暖かいせいでしょうか。
思いがけず味わった晩秋の「春の香り」でした。
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