なな艸花仕事 4 茶会での植物監修 離れの床の間飾り編
宝庵では数寄屋造の母屋の奥に夢想庵と呼ばれる一畳台目の離れがあります。
打ち合わせの時にお聞きしていたのは、ここで行われる濃茶席で淡い桃色の重菓子をお出しするということでした。
違う色合いで菓子を引き立てるか、あるいは同じ色目で全体を馴染ませるか。
そんなことをぼんやりと思いましたが、茶会前日の生け込み時に庭で咲いている花と相談すればいいよねと、全てを天に任せることに。
生け込み2日前、宝庵へ下見に行ったその日、目についたのは庭のあちこちに咲く様々な色合いのツツジでした。中に淡い桃色(しかも黄色寄りのサーモンピンク系ではない)一本のツツジの木があり、まさにイメージにぴったり。
奥行き感を出すためにもうワントーン濃いめの桃色を背後に入れ、新緑を思わせる優しい色合いの葉をあしらいました。(黄金葉ハニーサックルを分けて下さったNさん、どうもありがとうございました!)
器は、購入時に李朝初期のものと聞いている粉青の壺です。京都の北野天満宮で月に一度開かれている骨董市で手に入れました。淡いベージュの三島手もこの季節の柔らかな色合いにぴったり合いました。
この粉青の器を手に入れたときのことは、以前綴っていたブログに詳しいのでそちらをご覧下さい。 https://fresh2.exblog.jp/14587469/
写真に撮り忘れてしまったのですが、禅の書画のひとつである「円相」を紫陽花の茎を丸めて制作。若草色の色紙掛けを背景に飾りました。仄暗い茶室の中で金属のようにも見えるとの感想も頂戴しました。
これが初かつを。名古屋のお菓子として有名なういろうです。
ぷりんと弾力があってとても美味しかった。
こんなお菓子です。
新宿の高島屋にこの時期、金曜日だけ入荷するという貴重なお品だそうです。
茶会前日、あまりの荷物の重さに新宿に寄らずに鎌倉へやってきた主催の黒田さん。宿に荷物を置いたその足で夜、予約した初かつをを受け取りに、とんぼ返りのように東京方面へ・・・。
ご馳走とは亭主が「馳せ走る」ということ、その言葉の意味を目の当たりにし、しみじみと身体で感じた出来事でもありました。