遊び。
時々、じいちゃんばあちゃんの苗字を語る
そんな遊びをする
生前一緒に来たお蕎麦屋さんで
「お名前と人数をお書き下さい。」の記入のとき
もうこの世にいない
その人の痕跡を置いてみる
順番が来て
名前を呼ばれる
「はい。」と応える。
どうしようもない寂しさに襲われて
それと同じくらいの嬉しさが込み上げて
また私は
この遊びを繰り返す
日々の活動からも
現状の婚姻制度や女性が結婚の際に苗字を
強制的に変えなくてはならない事に
あれこれと思うことだらけ。
パートナーがもうこの世にいない同性ふうふの
寂しさは何処に
行き場を無くしてはいないかと
いつだって胸は締め付けられる
もういない最愛の人の苗字を
口にして
私と同じ遊びをしよう
寂しさと
嬉しさと
ひとつであるという安心感と
守られているという安堵と
そして
孤独を噛みしめる
ゆっくりと
ひっそりと
やがてぽおうっと
心の奥が
ずっと奥が
温かくなることを
感じられたら
この遊びは
素晴らしい生をもたらす
私は置いていかれたけど
生きてるんだと
命を感じるだろう
そうやって
蕎麦屋で
蕎麦湯を必ず2杯飲む
そんな
私もいつか
遊びを誰かに渡すかもしれないし
人知れず海の泡となろうとも
またそれも良い
そして
この遊びがいまだって
私を豊かにするけど
同性婚も別姓婚も
1日も早く叶うことを切に願う。