隔離ホテルチェックイン時のハプニング ~いきなりピンポンダッシュ?!~
8月22日
桃園空港からタクシーで40分ほど、新北にある隔離ホテルについた。
タクシーから降り、運転手に「謝謝」とだけ言ってお金を渡して荷物を受け取る。
正直日本を出国してからのあれこれで肉体的・精神的に疲れてしまったので、新北のホテルでよかったと思った。台南や高雄にしていたら、着くころにはすっかり日が暮れていただろう。
着いたのはホテルの地下駐車場で、ここでチェックインをするようだった。隔離期間の値段設定からして高級ホテルであるはずなのだが、少し独特の、下水のようなにおいがする。
日本人のスタッフはいないのとのことで、英語・中国語が流暢な、イケメン風男性スタッフにいろいろ手続きをしてもらう。わたしが中国語を聞き取れないと、英語や怪しげな日本語でも説明を加えてくれた。
カードキーを渡され、エレベーターに乗るように言われた。「バイバイ」と笑顔で手を振られ、こちらもすっかり気がゆるんでいるので手を振り返したが、ふとカードキーを見て気づいた。
部屋の番号が書いていない…
きっとスタッフのお兄さんが伝え忘れたのである。
5階に到着したあと、各部屋を見渡した。部屋にも、名札などはついていない。
ホテルの公式LINEに連絡するもAIの自動回答となっていて使えないし、電話をかけてもつながらない。
地下にもどろうとエレベーターのボタンを押したが、ボタンは動かなかった。ホテルスタッフしか動かせないような使用にでもなっているのだろうか??(のちに気づいたが、単純にカードキーをエレベーターに差し込めばいいだけで、客でも動かせた。ただ、あまりにも焦っていたので全然気づかなかったのだ)
重い荷物をもったまま、ここでボーゼンとしていても仕方ない。
5階の部屋は、ぜんぶで約12部屋ほど。
わたしに残された選択肢は、1つだった。
よし!!と覚悟を決め、端の部屋から順に、かたっぱしからカードキーをかざして回ったのだ。中にいた人たちは、だれかが自分の部屋を開けようとするもんだから相当な恐怖だったかもしれない。(とても申し訳ない)何人かは、ドアを開けて外を確認したようだった(廊下まで出てきた人はいなかったため、怒鳴られなかったのは幸いだった)
そうしてようやく、7部屋目でカードキーをかざしたとき、ランプが青く光った。(残り5部屋の住人たちは幸運だった)
ガチャ。扉が重い音を立てる。
ついに!!!わたしを7日間閉じ込めることになる、部屋の扉が開いたのだ。
そのときのわたしはこれから待ち受ける隔離のつらさなんてどうでもよく、ただただ部屋を探し当てたことが嬉しく、ゲームをクリアしたような気持ちだった。
部屋はダブルルームだったこともあり、案外広く、トイレと風呂もきちんと分かれていて、清潔だった。
部屋の隅にはダンボール箱がおいてあり、中には水のボトルが大量に入っている。
ほかにもシャンプー、ボディソープ、タオル、テレビ、ドライヤー、歯ブラシ、お湯のポット、トイレットペーパー、食器、スポンジ、洗剤、ビニール袋…などなど7日間の隔離に必要そうなものはなんでもある。
親切にもカップラーメンまで二つおいてあった。
部屋に置かれた決まり事などを読んでいると、食事は毎日8時、12時、18時に運ばれてくるとのことだった。
特段なにもすることのない隔離生活、食事だけが唯一の楽しみになりそうだ。
また、隔離開始日を0日として3日は絶対に外出は禁止、その後4日間は、2日ごとにPCR検査をやれば必要物品の買い出し程度は可能とのことだった。
どんな理由をつけてでも4日目からは外出するつもりだ。
もともと、一日中家にいるのは耐えられないタイプなので、まる3日も外に出られないと考えただけでも鬱になる。
さきに風呂をすませると時間はもう18時だった。さっそくドアの前においてある弁当を食べることにした。
この日はザージーパイ、豆腐と枝豆の炒めもの、きんぴらごぼうのようなもの、かぼちゃ、青菜、ごはん、そしてなぞの汁(おそらくオーギョーチーという、ゼリーのようなデザートだったのだが、あまりにも薄味でなにを食べているのかわからなかった)。
このホテルは隔離中のご飯が評判がよかったので選んだこともあったのだが、たしかにおいしかったし、満腹になった。そのあと多少パソコンをいじったり友人と電話したりして、はやばやと就寝。一日でいろいろなことがありすぎて疲れたのだと思う、ベッドに入ったあとの記憶がないまま次の朝を迎えた。