桃源郷 創作 RADWIMPS
「おい、悟も行こうぜ」
って
あの日お前が誘ってくれた
昼休みのサッカーがすごく楽しくて。
ゲームをしてる方が多い俺は、
あんまりスポーツは得意じゃないけど、
あの日ボールを追いかけるのが楽しくて。
体育の授業でもサッカーはしてるけど、
澄んだような空の青さと日差しのせいか、
あの日の明るい記憶をなぜか鮮明に覚えている。
まわりの奴らも下手な俺がいても笑いながら迎えてくれる雰囲気が好きだったからか、
その日から俺は積極的に外にでる昼休みを過ごした。
そして中学になって、
俺がサッカーにはまるきっかけとなった聡介と一緒に
サッカー部に入ることになった。
聡介は無類のサッカー好きで、
小学校の卒業作文にはサッカー選手って書くような奴。
たしかにサッカーはすごく上手いし
男の俺が言うのはおかしいけどプレー中の奴は
キラキラ輝いてて周りを明るくするパワーがある。
近所の中学はそこそこサッカーにも力を入れてるみたいで楽しみにしてたなぁ。なんやかんや俺も。笑
あっというまに俺たちの代が来て、今日は関東大会出場をかけま試合にまで出れるなんて思いもしなかった。
身体を使うのは得意じゃないし、
チビとまわりに馬鹿にされるくらいでフィジカルも期待できないけど、ゲームで鍛えられたのか、
細かいテクニックだったり、周りを広く見るのが得意みたいで、なんとかアイツと一緒にプレーできるような立場は確保できてる。だってシンプルに楽しいし。
小4からアイツのプレーを見てるから大体のことはわかるし、あれほどのサッカー馬鹿といると感染したのかもしれない。笑
まぁそんな簡単に勝てる相手でもないけど、
今日も俺たちのチームらしいプレーができるだろう。
あいつが試合が楽しみすぎて尻尾がちぎれそうな犬みたいな顔して笑ってるし。
アイツまた平静装ってるけど、
俺に釣られて笑ってるの気づいてないんだろうなぁ笑
俺のおかげでサッカーにハマったとか言ってたっけ。
よく覚えてないけどその日の俺を誉め称えたい。
悟のおかげで俺は今もサッカーを続けられてる。
ぜってーーー言わないけど。
ふと去年の今頃の苦い記憶かよぎるがもう俺様は完全復活してるんだからな。
中1の夏に大きめな怪我をしたのは過去の話だ。
相手にぶつかられたときにピキっと音がしたような記憶がかろうじて残っているようないないようなで気づいたら救急車に乗っていた。おいおい未来有望なサッカー選手(自称だけど))だぜ???
治すのに半年もかかるって言われて目の前が真っ暗になった。半年も休憩してリハビリしてたら衰える云々の前に気が狂いそうだと思った。絶望した。運が悪かっただけでは到底気がおさまらない。
1週間くらい荒れてたのに。
でもなぜか悟にきちんとこれからのスケジュールとかどうしたらいいのか説明されたらストンって理解できて、
アイツ頭いいからなのか、俺が戻ってくることを信じて疑わないまっすぐとした目に安心したのか。
そっからは先生の言う通りにすごしたら、むしろバランスのいい筋肉も携えて俺は復活した。
それなりに強豪って言われるこの中学でもレギュラー取ってる実力と存在感は心強い。悟は飲み込みが早いのと、練習もストイックだし自主練もしたりサッカーすげぇ好きなの。本とか読んで勉強してるのはマジですげぇと思う。自分からはいわないけど、俺は知ってる。
小柄なのコンプレックスらしいけど、
それさえも、もろともさせない強さが
アイツの小さな身体の中に詰まってる。
悟からのパスはいっつも俺の欲しいところにくる。
アイツに目隠しつけて、ノールックパスだけでも、
簡単に神がかりのゴール決められんじゃねえかってくらい。
今日は関東出場がかかった試合だーーー!!!
同じくらいのパワーのチームが相手だからどうなるかわかんないけど、
俺と悟とメンバーがいれば無敵無双では?!!!
楽しむぞーー!既に楽しいけど!
かかってこい!!!!!