KPIを緩めないとDXは進みません
#日経COMEMO から「 #DXに失敗する理由 」というお題が出ていました。
私自身、そこそこの大組織でDXの渦中でもがいてきた人間でしたので、失敗する理由は痛いほど良く分かっております(笑)
結論からいうと、KPIを緩めないとDXは進みません。
今時は、どこの組織もガチガチのKPIでがんじがらめになっているのではないでしょうか。大量のKPIを達成するために、ギリギリの攻防戦を闘っているというケースが多いと想像します。(うちの会社もそうでした)
一方で、KPIを満たすために、網の目のように組み上げられた業務でがんじがらめになっているからこそ、DXというコンセプトを突破口にして、成長を加速させたいというのが、DXを導入したい上層部の動機だと思います。
とはいえ、通常、プロセスや業務自体を変えると、どんな組織でも一定期間、生産性が落ちてしまいます。慣れというのもありますが、デジタルはバグがつきものですし、システムのパフォーマンスが安定しないケースもあります。デジタルはデジタルの不安定性があって、最初、ユーザーは振り回されてしまいます。
それだけでなく、はじめから完璧なプロセスを作ることなど不可能ですので、走りながら改善することになります。ユーザー側がそのようなマインドがないと、不満が噴出することでしょう。
不満の背景ですが、ユーザー側はユーザー側で満たさなければいけないKPIがあるわけです。DXによる一時的な生産性低下を見込んでKPIの緩和をしなければ、衝突は避けられません。緩和をしなければ、ユーザー側は、安全マージンを取って、小さなリスクやイレギュラーケースまで考慮した、ガチガチのビジネス要件を要求することになります。そうなると、結局今と変わらないものが出来上がるわけですね。(もしくは、DXに反発するか、骨抜きにする、というのが普通です)
KPIを緩める、これは、その権限がある上層部が決めない限りは無理でしょう。ここが「経営者が本気になる」ということの本丸だと思います。普通はできない。だからこそ、できる会社が強いのですね。
ちなみに、「KPIが掲げられているが、全く満たせない」、というくらい、危機的な状況が常態化していれば、むしろDXを成功させるチャンスがあるかもしれません。ただ、「どうせ満たせないから、無視しよう」というしたたかさがあれば、という条件付きですが・・・。