配信するのはゲームが好きだから
いきなりですが、ちょっと暗い話から入ります。
小学校2年生くらいの頃、本当の友人はいなかった。マンガを描くきっかけになったまっつぁんは、阪神淡路大震災で転校してしまった。震災で家庭環境も良くなかった。自分は特に受けなかったが、いじめもあった。そんな環境から、逃げ出したかった。けれど、物理的にそのようなことは、小学生には難しい。
そこで、脳内逃避行をすることにした。
具体的には、『ファイナルファンタジー6』のキャラ達と、飛空艇に乗りながら旅をする妄想を、自転車の練習をしているフリをしながらしていた。家は一人にはなれない。だからだったと思う、自転車漕ぎながらというのは。
周りは野球やゴム跳びなんかをしているなか、同じ住宅のルートをぐるぐる回っていた。周りを見るとなく見てたけれど、頭の中はロックやエドガー、マッシュやセッツァーとか、そばにいてくれる心強い兄貴達と空を飛んでいた。そういえば女性キャラよりも、男キャラばかり浮かべていた。ひとりっ子な俺は、兄貴が欲しかったのだろう。周りの眼は気にならなかったし、何にもなかったと思う。そんなことより、頭の中のファンタジーの方が色彩は鮮やかだった。
暗い話と言ったけれど、俺自身、この記憶を暗いとは思っていないのです。むしろ、楽しかった。学校のことなんか覚えていないけれど、この記憶は「楽しかった」と残っている。第三者的には「暗い」部類に入るのはわかるのだけれど、むしろ、「救い」だったとさえ思っている。それほど大変な環境ではなかったのだと思うのだけれど、当時の俺は「救い」を求めていたし、救われたのだ。
フィクションやファンタジーが人を救う、という感覚は、もしかしたらこれが原体験なのかもしれない。
けれど、別に、そこに崇高さとかを付け足す気はないのです。確かに、「ゲームは悪」みたいな風潮(当時、この風潮はとても強かった)への反発心はあるけれど、俺は『ファイナルファンタジー6』に救われたんだ、というのは事実なんです。
ちょっと暗い話が長くなりましたが、何が言いたいかというと、俺にとって、ゲームって、とても身近で楽しくて凄いもんなんです。
よく考えたら、大人達がプロ意識を持って、世界に売っている商品なのだから、そら凄くて楽しいんですよね。
ゲームとしての遊び方の工夫、考え込まれたストーリー、想像力をかきたてるキャラクターや風景、それに沿った音楽。これらが集結してるのって、贅沢だなーとさえ思います。
そんな作品だから、小学生の自分でも没入して、甘えれたんだろうな。うん、甘えたかったんだ。ここまで書いて、ようやく何から救われたかったのかわかりました。
そんな自分がゲーム配信なんてことをしてるのは、自分が救う側になりたいとかではもちろんなくて、これまた別の原体験があるのです。こっちは明るいバカ話なのでご安心くだせー。
あれは中学3年の頃。ダチの家に5人くらいで泊まって、『クロックタワー3』を一つのコントローラー回しながら、ワイワイガヤガヤやっていたのです。ブラウン管の画面、六畳くらいのスペースに野郎5人、ベッドの上や椅子や床に身を置き、女子高生アリッサを操作して凶悪変態殺人鬼から逃亡をはかっていたのでした。余談ですが『クロックタワー3』は、あの深作欣二さんの遺作となります。
ブラウン管一つに映る金髪美少女アリッサを救い出そうと、あーだこーだ言いながら攻略するのは、すんごく楽しかった! 青春の一ページにくっきりと『クロックタワー3』は入っています。そして、床に背中さえつけれれば、脚を曲げてようがどこでも寝れる、机の下でさえ、というどうでもいいことも発見しました。
その時に友人が投げかけた言葉で覚えているのが、
「漢那、もうええって」
「何が?」
「パンツ見たいんやろ?」
「ちゃうわっ! 操作が……」
「もうええって」
です。今なら見放題どころか、同志の紳士淑女と一緒に楽しめるという、インターネット万々歳です。
そう、そーよ。俺はあの時のような、一つの画面でわーきゃー言いながらゲームを楽しむのがしたくて配信しているのです。
「んなの一人や身内だけでやってたらよくね?」、ですって? 残念ながらノーなんです。年齢を重ねるにつれて、あっし、ニッチ度が増しやしてですね、したいゲーム全てを友人とかに強要してたら、友人発狂します。そこは、類は友を呼ぶ、好きな人同士でわーきゃー言うのが楽しいやないすか。
それを別途費用とかなしで、現代テクノロジーを使えば世界中の人とできるし、なんならその時都合が合わなくても履歴から観れる、これはおもろい! となって、ずぶずぶと沼にハマっていっているわけです。
まあ、確かに自己満ですし、ゲームというものをお借りしてやっているわけですし、大したクオリティもないです。けれども、「好きだから」ってのはちゃんとした理由だと思うのですよ。よく考えたら、一番本腰入れてる小説だって、「好きだから」続いてるんですよね。「好き」って立派な理由です。これに反論するなら、プロポーズで「利益なるから」言うてみてください。ボコられますよ。
そんなわけで、俺は今後もゲーム配信を楽しんでいきます。みんなでアリッサのパンツ見よーぜ!(2024/4/25時点、まだ『クロックタワー3』の配信は行っておりません。よって、アリッサのパンツはご自身で検索するかプレイするかでご鑑賞ください)
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